さかしまに 空にくつろぐ ななつ星 夢詩香
*きついものが続くので、今日は少々くつろぎましょう。
かのじょは生きていたころ、かわいい柴犬を飼っていました。夕方ごろに散歩をさせるのが日課でした。つらいことの多い人生の中で、愛するものとくつろげる貴重な時間でした。
春の時期は、近くの公園のそばを犬と一緒に通ると、突然空が開けて、北斗七星がさかさまになって空にかかっていた。あれを見るたび、あの人は不思議な感動に浸っていました。
まるで神さまのようだと。
神は、山よりも大きくていらっしゃりながら、木の葉一枚よりも軽いのです。だから、その大きなお体で、空で逆立ちすることなど、軽々とおできになる。そのまま居眠りもできるほど、くつろぐことがおできになる。
小さな肉体を持ち、地球の重力に縛られている身から見れば、あまりにも大きく、広やかで、愛に満ちている。
神を見る時の感動は、きっとこれに似ているのだろうと、思いながら、かのじょはあの、さかさまに空にかかったななつ星を見ていた。
かわいらしい人でした。ほんの小さなことにも、目を輝かせて感動してくれる。あの様子が愛らしいので、わたしたちはみんな、あの人を愛しているのです。
危なっかしいほどまっすぐで、女の子にしたほうが安心するのにというくらい、やさしいのだ。男の人だというのに、すぐに自分を曲げて、みなに譲ってくれる。ああ、そうなのですかと、言って。
暖かい涙にも、微笑みにも、その人でなければ表現できない表情がある。それを見たら愛さずにはいられない、心がそこにあるのに。
もうここでやめましょう。明日はまた、すこしきついのを出します。