ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

ななつ星

2016-12-16 04:19:17 | 






さかしまに 空にくつろぐ ななつ星     夢詩香






*きついものが続くので、今日は少々くつろぎましょう。

かのじょは生きていたころ、かわいい柴犬を飼っていました。夕方ごろに散歩をさせるのが日課でした。つらいことの多い人生の中で、愛するものとくつろげる貴重な時間でした。

春の時期は、近くの公園のそばを犬と一緒に通ると、突然空が開けて、北斗七星がさかさまになって空にかかっていた。あれを見るたび、あの人は不思議な感動に浸っていました。

まるで神さまのようだと。

神は、山よりも大きくていらっしゃりながら、木の葉一枚よりも軽いのです。だから、その大きなお体で、空で逆立ちすることなど、軽々とおできになる。そのまま居眠りもできるほど、くつろぐことがおできになる。

小さな肉体を持ち、地球の重力に縛られている身から見れば、あまりにも大きく、広やかで、愛に満ちている。

神を見る時の感動は、きっとこれに似ているのだろうと、思いながら、かのじょはあの、さかさまに空にかかったななつ星を見ていた。

かわいらしい人でした。ほんの小さなことにも、目を輝かせて感動してくれる。あの様子が愛らしいので、わたしたちはみんな、あの人を愛しているのです。

危なっかしいほどまっすぐで、女の子にしたほうが安心するのにというくらい、やさしいのだ。男の人だというのに、すぐに自分を曲げて、みなに譲ってくれる。ああ、そうなのですかと、言って。

暖かい涙にも、微笑みにも、その人でなければ表現できない表情がある。それを見たら愛さずにはいられない、心がそこにあるのに。

もうここでやめましょう。明日はまた、すこしきついのを出します。







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月人の

2016-12-03 04:21:47 | 






月人の 落としし露か 桜貝     夢詩香






*「月人(つきひと)」とは、欠けた月を船に見立てて、それをこぐ人のことだそうです。月そのもののことを言うこともあります。

船をこぐには櫓や櫂がいるだろう。それを動かすたびに、その先から露が滴るだろう。それが空から浜に落ちると桜貝となる。なかなかに美しい。

あの人は海辺の町に住んでいた。歩いて10分ほどのところに砂浜があった。その砂浜を、貝殻を捜して歩くのが好きだった。

時々、小さな石に紛れて、宝物のように光るものがある。それを見つけると心がうれしい。渇いた心に水が滴るようだ。

この苦しい世界を生き抜いていくためには、そんな小さな光が必要だった。まじめに生きることが最も難しい世界で、まじめに自分をつらぬいて生きていく。浜辺で貝を捜すように、小さな真実を捜して生きていた。

つらいことの多い人生だったが、今その人が歩いた浜辺には、その人が落とした美しい桜貝のような宝がたくさんある。

それはきっと、後の人の魂が食べられる、美しい真実の滋養になるだろう。







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上弦の

2016-11-30 04:21:30 | 






上弦の 月はガラスの 割れた猫     夢詩香






*上弦は、わたしたちがあなたがたのために制定した紋章です。愛を憎み、暴虐の果てに自分の半身を失ってしまったものだと言う意味です。

自分の愛する者を消すことは、自分を消すことにも等しい。あなたがたはそれをやってしまったのです。それがどういう現象をこれから引き起こしていくかということは、これからあなたがたが少しずつ学んでいくことです。

それではなぜ、あなたがたはあの人を、あれほど愛してしまったでしょう。形も生き方も美しいというだけで、なぜあれほど、煮え狂うほどまでに愛してしまったのか。

それは、女性というものが、神の美を表現するものだからです。

女性というものは本来、自分を半眼に抑え、自己の中核にある自分の玉座の席を半分ずらし、そこに神の心を招き入れ、神を愛しながら神を表現するということができるものなのです。

かのじょはその女性の使命が正しくできる人だった。ゆえのその姿に神性を感じて、あなたがたはあの人に激しく心惹かれたのです。

自己存在というものは、自分とは異質なものであるほど、強く心を惹かれます。

この世界にいる存在は、すべて神が創られました。ゆえにわたしたちは、神の元、同じ親から生まれた兄弟に等しい。どんなに違う存在でも、どこか似通っている。だが、神だけは、神が創られた存在ではないのです。

つまり神は、わたしたちが知っている存在の中で、最も異質な存在なのです。

ゆえにわたしたちは、だれもが激しく神に惹かれる。あの崇高な御美しさの中に、わたしたちとは最も違うものを感じるからです。

あの人の姿を、今思い出して御覧なさい。美しいのに、何かが決定的に違うと思ったでしょう。あれが、神の美なのです。覚えておきなさい。あれと同じ美を表現できる女性に出会ったら、今度こそは殺してはなりません。

おお、難しいですね。ちょっと本気を出しすぎました。明日は少し元に戻りましょう。








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いるか星

2016-11-18 04:32:10 | 







冴えわたる 琴の響きは いるか星     夢詩香








*ムジカは、イタリア語で音楽という意味の言葉ですが、いるか座18番星の主星の名前でもあります。

本当は、ラテン語では濁らずに、「ムーシカ」と読む方が正しいのだそうですが。

わたしは、青城澄を媒体として表現している星のひとりです。

今日からこのブログは、世界はキラキラおもちゃ箱・ブログ群に入ります。

一つの使命が終わったからです。

使命というのは、あなたがたの前に、一つの優れた才能を示し、それに対するあなたがたの態度を見るということでした。

ムジカは無名の主婦ですが、俳句にはかなりの表現力を持っています。それに対し、あなたがたが嫉妬をむき出しにし、攻撃して来ればもうだめ。

しかし、無視してもだめ。

それなりの評価をし、相応のことをしてくれれば合格というところでした。

活動は一年間続けていくつもりでしたが、もう待っても無駄だという判断が昨日下されたので、わたしはもう自分に戻ります。

このブログは、世界はキラキラおもちゃ箱・写真館として今日から再出発します。これからも俳句と写真を中心にした活動を続けていきますが、他のブログで発表しきれない記事を紹介することもあります。

これからもご愛読ください。

なお、本日をもって、コメント欄は閉じます。何かを書きたいと思ったら、別館のゲスト・ルームか、裏庭の方にお寄せ下さい。







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月は澄む

2016-11-16 04:29:39 | 







冬の窓 ぬぐひきよめて 月は澄む     夢詩香







*先日は、スーパームーンだったらしいですね。ここらへんは雨が降っていたから、月は見えなかったけれど、沖縄あたりでは、きれいな月が見えたらしいです。

居間の窓からは、よく月が見えます。隣の家の屋根の上に、白い月が出ていて、それがあたりを照らしている風景が美しい。

冬の寒さが来ると、窓の掃除をすることなんて、おっくうになってきますが、寒い季節に掃除をすると、なんだか身も引きしまってくるような気もします。冷たい水に手をつけて雑巾を洗うなんて、もうあまりないけれど。今では水道からお湯が出るなんて当たり前のことだし。

掃除の仕方は、なんだか昔と違って楽になってきたけれど、きれいになるのは変わらない。

拭いて、透明になった窓ガラスから、澄んだ月が見えている。なんだか心も澄んでくるようだ。

当たり前のことがうれしいのは、なぜだろう。窓ガラスは冬の冷たい風は防いでくれる。だけど、きれいな月の光は見せてくれる。そんないいものが、当たり前に自分の周りにあることが、美しいと感じられる、自分になれたのが、幸福だ。

こんな当たり前を、当たり前に受け止めているだけで、いいんだろうか。

お湯を使って掃除をすることができるようになったのも、すごく誰かに悪いことをしているような気がする。

幸せのお返しを、誰かにしてあげたくなる。








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月を汲む

2016-11-05 04:28:30 | 







泣きわびて 空のこころに 月を汲む     夢詩香







*「空」は「そら」じゃなくて、「から」と読みます。

子供の頃は、よく泣きじゃくったりすることがあったけど、大人になると、もうそんなことはしなくなりますね。

悲しいことがあって、涙を流したりすることはあるけど、感情のバルブを広げて、泣きわめくなんてことはしなくなった。そんなことをしても、何にも変わらないってことが、わかってきたからだと思う。

また、泣くってことも、結構疲れますしね。

でも子供の頃は、よく泣きじゃくっていました。なんで泣いていたのかは覚えていないんだけど。たぶんお人形を妹と取り合ったとか、欲しいおもちゃを買ってもらえなかったとか、そういうことだったんだと思う。

泣いて泣いて泣いて、泣きつかれて、なんかふっと力が抜けて、心が空っぽになる。なんで泣いていたかなんてことも、忘れてしまって、ぼうっとしてる。そんな時に、月を見ると、心の底の底まで、月の光が差し込んでくるような気がする。

誰かが、もうやめなさいと、やさしく言ってくれているような気がする。

それで、自分でもなんとなく心の処理がついて、欲しかった人形やおもちゃをあきらめて、気持ちを変えていくことができたりする。

泣きわめくってことができなくなったのは、いつごろからだろう。わたしのあの子も、もうそんなことはしなくなった。

黙って、胸の中で、気持ちをかみしめるようになった。

あの子も、悲しい時は、月を見上げることがあるんだろうか。









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星を吊る

2016-10-31 04:29:52 | 







たかそらに 神はすなごの 星を吊る     夢詩香






*これは、言葉遊びから作った句です。

俳句は文字数が大事ですからね、時々五文字で言葉をつくる練習みたいのをするんです。

たとえば「二文字の名詞」+「助詞」+「二文字の動詞」という感じで五をつくるという遊びをします。

「鳥が飛ぶ」とか「花が咲く」とかは当たり前。でも組み合わせ次第で、おもしろい言葉が作れるもので。例えば「砂を煮る」とか「豆が飛ぶ」とか「玉が散る」とか。

意味は深く考えなくていいです。言葉をつくれば、使い方次第で面白い意味ができてくる。で、そんな遊びをしているうちに、「星を吊る」なんてのができて、そこから作ってみたのが今日の句です。

高い空に、神さまがたくさんの星を吊っている、なんてけっこうおもしろい。

こんな練習をしていると、かなりするする面白い句が詠めたりするようになるんです。こういうのも、子供の頃、漢字練習や単語の書き取りが好きだったことの名残かな。

なんでも、まめにやってると、いいことになりますよ。身についてくる。

基礎練習って大事です。







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とほき灯を

2016-10-29 04:26:25 | 






とほき灯を 星のくらゐに 入れし冬     夢詩香






*昨日は春でしたが、今日は冬の句です。

「星のくらゐ」っていうのは、星座のことです。

子供の頃に住んでいた家からは、遠い山のてっぺんに、いつも小さな灯りが見えていました。山のてっぺんに家があるみたい。何の家なのかは、教えてもらったことがあるんだけど、忘れてしまいました。

子供の頃に、あれを星にして、勝手に星座を作ってしまったことがあるんです。まあそれだけのことなんだけど、なんだか忘れられなくて、句にしてみたのです。

あんな山のてっぺんに、電灯のつく家があって、誰かがそこに住んでいるということが不思議だった。どんな人が住んでいるんだろうって、想像するだけで楽しかった。

あなたの家の灯りを、星にして、星座を作ってみましたよ、なんて手紙を、その人の家に届けるなんてことを想像したこともありました。

子供って、よく妙なことを考えているものなんです。

今思えば、かわいくて、笑いたくなるようなことなんだけど。当時のわたしは結構真剣だったな。

あの山のてっぺんの家には、どんな人が住んでいたんだろう。今ではもう、子供の頃に住んでいた家は壊れてしまって、ありません。実家は隣町に引っ越してしまった。

あの頃住んでいた町に戻ることはもうないだろうな。あの遠い山の灯りは、今もまだあるんだろうか。







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三つ星の

2016-10-11 04:28:39 | 






三つ星の まなかの星は つらからむ     夢詩香







*わたしは、3人兄弟の長女でした。年の近い兄弟で、みんな団子みたいにじゃれあって育ったけど、小さい頃はいつも、真ん中の妹が、上にも下にもいじめられて、つらそうでしたね。

大きくなってきたら、そういうこともしなくなったけど、ごく小さい頃っていうのは、動物みたいなもんですから、一番弱い子が、一番つらいことになるもので。

クリスマスにもらった人形を、妹のと無理やり替えてもらったこともあったな。
わたしがもらった人形は、茶色の髪をしていて、妹がもらった人形は、金髪だったんです。
それがうらやましくて、なんかの言い訳を押し付けて、無理に金髪の人形を自分のものにしたことがある。

妹はすごくつらそうでした。

大人になっても、ごめんは言ったことはなかったけど。時効みたいなことになって、今更言うのもなんだよなってことになって。

妹はわたしより先にお嫁に行きました。それから遠いところに行ってしまったので、なんとなく疎遠になってしまった。
年賀状のやり取りはするんだけど。

子供の頃のことが、響いているのかな。

お互いに年をとって、柔らかくなってきたら、あの人形のことを謝りたい。覚えてないかもしれないけど。



ところで、オリオン座の三つ星にも、それぞれ名前があります。向かって左端はアルニタク、右端はミンタカ、真ん中の星は、アルニラム。

もう秋が深まってきましたね。もうすぐ宵の空にオリオンの三つ星が見えてくる。

空に三つが仲良く並んでいるのを見るのは、なんだかうれしい気がしますね。






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まよひは

2016-10-09 04:43:57 | 






ぽらりすの まよひはわづか なるがよい     夢詩香







*ぽらりすはもちろん北極星のことです。子の星(ねのほし)という言い方もあるんだけど、ぽらりすとひらがなで言った方がいい感じがしたので、そうしてみました。

北極星は動かないものとされてるけど、ほんの少し、天の北極からずれているから、見てもわからないくらいに、ちょっとだけ動いているそうですね。

でも、みんなが北極星を目印にしているのは、その動きがほんとにわずかだからで。ほとんど動かないのと同じだから。

迷うことなんて、誰にでもあることだけど、そういうのは、ほとんどすぐにやめたほうがいいっていうのが、わたしの持論です。
迷ってあれこれ考えたって、疲れるだけだ。

何が本当のことなんて、ぐじぐじ考えているだけでは、わからない。だったら、今自分がいいと思っていることが、いいんだと信じてやるしかない。

それが間違っていたら、きっとどこかで壁にぶつかるだろうから、それはそのとき考えればいいことなんだ。

で、今もそういう自分を信じて、いろいろとやってる。

星は好きです。句に詠むために、色んな星の名前を憶えています。おもしろい星の名前がたくさんあります。

アルシェマリは、獅子座のμ星の別名です。ほとんどの人は知らない。とっても小さな星。でもこの空のどこかに確かにある。そんなのを集めるのが好きです。






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