412 風船

日曜といふさみしさの紙風船　　岡本眸

紙風船は、どうやっても空高くには打ち上げられない。その寂しさ。

それが現実であり、それを受け止めなければならないのだ。

413 菜の花忌

海見ゆる坂を登れば菜の花忌　福原知子

２月12日は司馬遼太郎の命日。菜の花忌。

414 梅見

青空のいつみえそめし梅見かな　　久保田万太郎

青空の日が増えてきたように思います。

415 椿

赤い椿白い椿と落ちにけり　　川東壁梧桐

「椿三十郎」という映画を思い出しました。

416 二月

眼帯や街に二月の風荒き　　桂信子

二月の風は冷たく、そしてまた、強い。近頃は、眼帯でなく、マスク越しに、それを感じるのだ。

417 草餅

草餅や色濃きを食み雨ごもり　　岡本　眸

春になると食べたくなるものの一つが草餅。大地の香りがして、すごく美味しい。

417 梅

勇気こそ地の塩なれや梅真白　　中村草田男

気概もなく、度量もない。現状を打開していく勇気もない。そんな為政者たちには、さらばと言いたい。

418 春めく

草よりも影に春めく色を見し　　高木晴子

今日は暖かい一日でした。

419 余寒

遠きほど家寄り合へる余寒かな　　廣瀬直人

人は人を恋しく思い、そして、人は人を疎んじくも思う。寒ければ寒いほど、その気持ちは強くなるのかもしれない。

420 余寒

鎌倉を驚かしたる余寒あり　　高浜虚子

一旦暖かくなったと思った途端の寒さは、体に堪えると言うこと。歳をとると、なおさら。

421 春一番

本日、春一番が吹いたというニュースを聞いた。

春一番棺ぐらりとかつぎ出す　宮下翠舟

422 立春

立春の庭に捨てられ鬼の面　原コウ子

昨日の主役だった鬼の面も、翌日には捨てられる運命。人生とは、なんと儚いものなのだろうか。

423 節分

節分の豆少し添え患者食　　石田波郷

入院中の多くの方が元気になることを祈りつつ。「鬼は外、福は内」と大声て叫ぶ。

424 2月の始まり

2月は28日、あるいは29日しかないので、他の月よりも早く終わる。気をつけていないと、あっという間に過ぎてしまう。