(ネタばれ注意!)
女性の自立を描く作品ではあるが、観ていて疲れた。
無謀な冒険を実現させた主人公に拍手は送れない。「自分の夢を叶えるために」莫大な捜索費用をかけて税金の無駄遣いをするのはやめてほしい。
時代のアイコンとして、政府も社会も彼女を利用し、彼女もそれを逆手にとっていたのだが・・・。
goo 映画
女性は今も差別され続けている。世界不況の嵐が吹き荒れていた1930年代は、今以上に女性蔑視がきつかったのだろう。だから「女性第1号」をめざすといった生き方をするのは、ある程度仕方がないとは思う。
彼女が、パイロットとして時代の脚光を浴びることにより、女性が生きやすい社会に向けて組織づくりをしたことも評価したい。
しかし、本作には女性監督ならではの視点が感じられないのだ。
「自由・自立」といった、アメリアが目指していた理念は、表層的な表現に留まり、「男性の庇護のもとに夢を実現していく女性 」というイメージが強い。
女性が生きにくい時代だったことは分かるが、彼女の活躍の背景には、女性たちとの連帯もあったはずだ。そうした場面は少しはあるが、印象が薄い。
「自立」については、「1人でも生きていける」と言い切った彼女が、なぜ結婚したのか?その辺の心情が明確に描かれていないので、理解に苦しむ。
「自由」に関しても、他の男との浮気が発覚すると、いとも簡単に夫の元に戻ってしまう。自力で資金を獲得し、自由に羽ばたくという力強さは見られない。
「国境のない大空、そこには自由がある」と、つぶやく彼女。名声を支えにして、平和運動をするといったこともない。言葉が上滑りしている。
ホームレスを見て、「不況なのに浮かれすぎ」と自戒するが、ニューディール政策の「希望の星」と持ち上げられて終わり。大統領夫人との夜間飛行を提案するに至っては腹立たしくて様にならない。
ラスト・フライトの世界1周は、それまでの彼女の集大成であるはずなのに、功を焦ったのか、準備不足のまま、「史上最も危険な飛行」と言われつつ敢行した。
燃料の積み過ぎに加え、モールス信号装置ゼロ、飲酒癖のある自信過剰のナビゲーターの採用、給油地は点にしか見えない小さな島1つだけ・・・。
誰が考えても無謀な冒険であるのに、「無謀ではない。私は夢を追う飛行家」と言い切る。
予想通り、彼女は交信不良となり、行方不明になった。未だに謎に包まれたままである。
「勇気があれば、人は海を飛び越えられる」「夢には限界がない」「世界が私を変えた」と 彼女は言うが、傲慢だったのではないだろうか?
人は自分1人では生きられないのだ。心配して中止を進言してくれた夫がいるのに、振り切って突っ込んだ彼女は英雄でも何でもない。自己中心の厭な奴にすぎない。
実際のアメリアは、きっと違うと思うが、余りにも魅力のない人物の造形にがっくり。 フィクションでもいいから、もう少し共感できる人物であってほしかった。
★★★(★5つで満点)
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女性の自立を描く作品ではあるが、観ていて疲れた。
無謀な冒険を実現させた主人公に拍手は送れない。「自分の夢を叶えるために」莫大な捜索費用をかけて税金の無駄遣いをするのはやめてほしい。
時代のアイコンとして、政府も社会も彼女を利用し、彼女もそれを逆手にとっていたのだが・・・。
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女性は今も差別され続けている。世界不況の嵐が吹き荒れていた1930年代は、今以上に女性蔑視がきつかったのだろう。だから「女性第1号」をめざすといった生き方をするのは、ある程度仕方がないとは思う。
彼女が、パイロットとして時代の脚光を浴びることにより、女性が生きやすい社会に向けて組織づくりをしたことも評価したい。
しかし、本作には女性監督ならではの視点が感じられないのだ。
「自由・自立」といった、アメリアが目指していた理念は、表層的な表現に留まり、「男性の庇護のもとに夢を実現していく女性 」というイメージが強い。
女性が生きにくい時代だったことは分かるが、彼女の活躍の背景には、女性たちとの連帯もあったはずだ。そうした場面は少しはあるが、印象が薄い。
「自立」については、「1人でも生きていける」と言い切った彼女が、なぜ結婚したのか?その辺の心情が明確に描かれていないので、理解に苦しむ。
「自由」に関しても、他の男との浮気が発覚すると、いとも簡単に夫の元に戻ってしまう。自力で資金を獲得し、自由に羽ばたくという力強さは見られない。
「国境のない大空、そこには自由がある」と、つぶやく彼女。名声を支えにして、平和運動をするといったこともない。言葉が上滑りしている。
ホームレスを見て、「不況なのに浮かれすぎ」と自戒するが、ニューディール政策の「希望の星」と持ち上げられて終わり。大統領夫人との夜間飛行を提案するに至っては腹立たしくて様にならない。
ラスト・フライトの世界1周は、それまでの彼女の集大成であるはずなのに、功を焦ったのか、準備不足のまま、「史上最も危険な飛行」と言われつつ敢行した。
燃料の積み過ぎに加え、モールス信号装置ゼロ、飲酒癖のある自信過剰のナビゲーターの採用、給油地は点にしか見えない小さな島1つだけ・・・。
誰が考えても無謀な冒険であるのに、「無謀ではない。私は夢を追う飛行家」と言い切る。
予想通り、彼女は交信不良となり、行方不明になった。未だに謎に包まれたままである。
「勇気があれば、人は海を飛び越えられる」「夢には限界がない」「世界が私を変えた」と 彼女は言うが、傲慢だったのではないだろうか?
人は自分1人では生きられないのだ。心配して中止を進言してくれた夫がいるのに、振り切って突っ込んだ彼女は英雄でも何でもない。自己中心の厭な奴にすぎない。
実際のアメリアは、きっと違うと思うが、余りにも魅力のない人物の造形にがっくり。 フィクションでもいいから、もう少し共感できる人物であってほしかった。
★★★(★5つで満点)
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