マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

松ケ根乱射事件/失速する共同体

2007-04-30 | 映画分析
 観ている間中、タイトルから想像される乱射事件が通奏低音のように響く。私たち人間の誰もが、「死を待つ存在」であるという運命から逃れられないように・・・。  それはいつ起こるのだろうか。あってはならないことを待ちつつ、私たちはドラマを追う。  すべてのシーンが、私たちの頭の中の死のイメージとダブり、重みを持って迫ってくる。だが、喜ばしいことに(?)、予測はみごとにはぐらかされる。 goo 映画  冒 . . . 本文を読む

さくらん/飛び出す金魚

2007-04-14 | 映画分析
  「SAYURI」とは対極をなすフェミニスト好みの作品だ  さすがに女性監督の視点は鋭い。  自分の人生に対するシビアな考え方を、ヒロインに託してアピールしている。  goo 映画  3人の遊女が登場する。  金持ちに身請けされて出世する、したたかな粧い。  恋人に溺れて、悲惨な運命を辿る花魁の高尾。  自力で足抜けすることを考えているヒロインのきよ葉。  彼女たちは、それぞれが自分の . . . 本文を読む

あるいは裏切りという名の犬/女性に乾杯!

2007-04-08 | 映画短評
 フィルム・ノワールは、 コントラストと夜間撮影を多用し、作品全体に暗く陰鬱な雰囲気が漂うのが特徴だ。さらに、必ず警官やギャング、情報屋などが登場し、”運命の女”がキーとなって、複雑な相関関係が展開される。 goo 映画  このジャンル、ハリウッド作品では、スタイリッシュ&ワイルドになるが、フレンチとなると、いぶし銀のように渋くて、ストイック&粋なムードが漂う。  主人公の二人の警官レオ(オ . . . 本文を読む