2015年、日本、山田洋次監督
説明過剰な山田監督作品は以前から苦手だった。今回もセリフの多用が目につく。
助産師役の吉永小百合が、仕事をしている場面は皆無。セリフを流すだけ。清く、正しく、美しい老母、伸子…。20歳の息子の母役を演じるのは、流石に無理がある。
どこが過剰なのか?
亡霊の息子、浩二は母に、「(婚約者の町子にとって)僕よりいい男はいないよ」と二度も言う。
上海のおじちゃんが . . . 本文を読む
2015年、日本、圡方宏史監督
ドキュメンタリーで実績のある東海テレビのクルーが、大阪の組事務所に密着取材100日間。モザイクなしで、ヤクザの日常を撮った貴重な作品だ。
テレビ放映で話題になり、今回、劇場用に編集。名古屋と東京で公開中。
二度と撮れないだろう、永久に残る名作、といわれている。
怖いもの観たさ以外の理由はない私。
ヤクザは今や絶滅危惧種だ。
法律や条例 . . . 本文を読む
2014年、ジョージア・フランス・イギリス・ドイツ、
モフセン・マフマルバフ監督
社会派の気骨あるイランの監督が、現代社会に蔓延しつつある独裁政権とその崩壊後を、ロードムービーの手法で、普遍的な視点から批判している。
前半は、革命後、逃げそびれた大統領が、貧しい国民を銃で脅してボロ服や食料を奪い、変装に変装を重ね、孫を連れて逃亡する様子を、皮肉たっぷりに描く。
傲慢で強欲で、ひとかけらの人情 . . . 本文を読む
2015年、アメリカ、エドワード・ズウィック監督
冷戦時代に実在した米国のチェスチャンピオンが、チェス最強国ソ連の王者と世紀の対局に挑む姿を描いた。
トビー・マグワイヤー主演&製作。
代理戦争として政治に利用され、政府の監視下に置かれる2人。
主人公が次第に精神的に追い詰められていく様子を、克明に映し出す。
チェスを知らなくても、十分に面白い。
大写しの表情と、駒を動かす手元 . . . 本文を読む
2015年、フランス、アルノー・デプレシャン監督、
マチュー・アマルリック主演。ほろ苦い青春時代の恋の思い出を描いた、いかにもフランス的な映画。
3部構成だが、それぞれの関係性は濃密ではなく、それとなく匂わせているだけ。
しかし、伏線になっているような気にさせるところが粋だ。
だらだらと遠距離恋愛が続き、眠気と戦うことになる。
自己中心的な2人なので、浮気も仕放題。
共感できない . . . 本文を読む
2015年 アイスランド、デンマーク/グリームル・ハゥコーナルソン監督
昨年度カンヌ映画祭、ある視点部門グランプリ受賞作品。
最近、本作の舞台であるアイスランドを訪れた知人は「日出ずる国、日本に帰ります。極夜は沢山です」と、SNSに書き込んだ。
神話の世界のようなロケーション。まさに地の果て。無限に広がる灰色の空間…。
1年中雪や氷が身近にあり、夏には昼が、冬には夜が長くなる。
広 . . . 本文を読む