マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

塀の中のジュリアス・シーザー/私も入ってみたい!

2012-12-20 | 映画分析
  タヴィアーニ兄弟の2012ベルリン国際映画祭グランプリ受賞作品は、ローマ郊外の刑務所で実践されている演劇活動をドラマ化したものだ。受刑者たちは舞台に立つことで生き甲斐を見出し、一般の観衆とのふれあいを楽しんでいる。 goo 映画  登場する役者は、演出家を除いて、全員が重警備棟に収監されている服役囚または元服役囚だ。ほとんどがマフィア出身の重犯罪者で、終身刑を宣告されている。  噂を聞きつけ、 . . . 本文を読む

籠の中の乙女/ 永遠の命題  

2012-12-13 | 映画分析
   多様な解釈が出来る秀作。 goo 映画  ギリシャ郊外の豪邸で暮らす5人家族(父母、ハイティーンの長女・次女・長男)の物語だ。父は愛する家族を外敵から守るという名目で、高い塀を巡らせ、外界との関係を完全に断ち切っている。境界を自由に往来できるのは父だけ。子どもたちは名前もなく、父の妄想に沿った閉鎖的な教育を受けている。楽しみは、熱湯に指を入れる我慢大会や麻酔遊び、奇妙な . . . 本文を読む