2015年、アメリカ、エドワード・ズウィック監督
冷戦時代に実在した米国のチェスチャンピオンが、チェス最強国ソ連の王者と世紀の対局に挑む姿を描いた。
トビー・マグワイヤー主演&製作。
代理戦争として政治に利用され、政府の監視下に置かれる2人。
主人公が次第に精神的に追い詰められていく様子を、克明に映し出す。
チェスを知らなくても、十分に面白い。
大写しの表情と、駒を動かす手元 . . . 本文を読む
2015年、フランス、アルノー・デプレシャン監督、
マチュー・アマルリック主演。ほろ苦い青春時代の恋の思い出を描いた、いかにもフランス的な映画。
3部構成だが、それぞれの関係性は濃密ではなく、それとなく匂わせているだけ。
しかし、伏線になっているような気にさせるところが粋だ。
だらだらと遠距離恋愛が続き、眠気と戦うことになる。
自己中心的な2人なので、浮気も仕放題。
共感できない . . . 本文を読む
観ている間中、幸せに包まれていた。終わって欲しくない!と祈りながら観る作品なんてそんなに多くはない。
アジアを代表する女性監督のアン・ホイ(『女人、四十』)が、本作のプロデューサーの実体験に基づいて撮った温かい物語である。登場人物の全てが善人だが、嘘っぽさはまったく感じられず、ドキュメンタリーを観ているようだ。
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愛知国際女性映画祭より
パレスチナは、1967年の第3次中東戦争以来、イスラエル軍の占領下に置かれている。分離壁の建設により、自由に動けない住民たち。彼らの中には、貧しいが故にイスラエルに情報を提供して収入を得る「密告者」と呼ばれる人たちがいる。
命がけで身内を裏切る彼らには、斬首の報復が待っている・・・。
本作は、スパイ行為が発覚したため、保護を求めてイスラエルに逃れた一家の日常に密着し . . . 本文を読む
愛知国際女性映画祭より
中国西部・新疆地区の少数民族の遊牧民、カザフ族の悲喜を描いた骨太な作品。監督もウルムチに生まれ育った少数民族出身である。10年前に撮ったドキュメンタリー作品を掘り下げ、描ききれなかった部分を肉付けしてドラマ化した。
森林伐採などによる水不足のため、高地を追われる牧夫。定住先では羊を飼うことが出来ず、転職を余儀なくされる。
家の前の湖で魚が獲れることを知り、養魚にチ . . . 本文を読む
『ミラノ、愛に生きる』富豪に嫁いだロシア出身のヒロインの心身の解放を描く。
故郷を捨てた悲哀、夫によりモノ化された日常、能面のような表情で暮らす贅沢三昧・・・。
人間の本能である「食」に触発され、虚飾に満ちた人工の世界~自然児へと脱皮するプロセスに共感。
料理やインテリア 、衣装などのセンスが光る 。
ヴィスコンティを想起させる、いや彼を超えるかもしれない豪華でシュールな映像美は . . . 本文を読む
『ストリートダンス』
コンテスト優勝をめざすロンドンのダンスチームを描く物語。
元気を与えてくれるこのダンスが好きだ。
吹き替えには面食らったが、スタジオの確保と他チームとの差別化を図るため、
クラシックバレエとの融合に活路を見出すアイデアがいい。
「越境」はお互いの限界を打破するためにも必須だ。
ヨーロッパトップクラスのアーティストによるダンスシーンも見どころ。
なかでもラストのダンスシーン . . . 本文を読む
鬼才園子温の『恋の罪』。4人の女性の生きざまを通して、抑圧された究極の深層心理を抉り出す。言葉と肉体、表象と意味のズレは、永遠に辿りつけない「城」を目指して旋回するようなもの。人間が唯一、辿りつけるのは「死」だが、予測のつかない展開にゾクゾクする。必見!
★★★★★(★5つで満点)
『ツリー・オブ・ライフ』のテーマは「この世は試練を受けるためにある」。
善人のヨブでさえ、神から想像を絶 . . . 本文を読む
・『奇跡』で 子どもたちはとにかく道を走る。
それも半端じゃなく真剣に。
「生きる」とは「死」への道程だ。道を辿る行為は、願いや欲望を超えて「世界」を開く。
奇跡とはまさに世界の開かれだ。彼らの叫んだ言葉は転がり、周辺を巻き込み、思いがけない巡り合わせを生み出す。
登場人物すべての成長物語である。
★★★★★(★5つで満点)
・『風の中の子供』は、小津や溝口も天才と認めた清水 . . . 本文を読む
・「ゲンスブールと女たち」
醜男なのにモテまくりの彼。イジメ、ユダヤ人、戦争などのトラウマを抱え、その反射として類まれな才能を開花させた。苦悩が人を魅力的にする典型。分身の暗躍は、彼の原点を解りやすく表現しているが、饒舌すぎる。無くてもよかった。
★★★★(★5つで満点)
・ポーランド映画祭その1
「ぜったいにダメ!」
浮気な夫と別れ、娘と自立する妻の恋。恋人の秘密を知って、つり橋上で立ち往生す . . . 本文を読む
南太平洋のツバル、イタリアのベネチア、アラスカのシシマレフ島。これらの島は今世紀中に海没するだろうといわれている。
本作は、”喪われゆく世界”をテーマに、この3つの島の現状を3年間かけて映像化。気候変動がもたらす地球環境への影響の大きさを問題提起すると同時に、美しい風景や守りたい風俗・伝統、住民の心情などを丁寧に掬いとっている。
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監督の海南智子は、10代から環境問題に関心を . . . 本文を読む
60~70年もの演奏歴を持ち、現在も現役として活躍中のマエストロたち22名が、ニューアルバムを制作するために一堂に会し、世紀のコンサートを実現させたドキュメンタリー。国宝級の演奏者たちが、世界3大劇場の1つ、ブエノスアイレスのコロン劇場で開いた一夜限りの夢の競演だ。
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同様のドキュメンタリー「ビエナビスタ・ソシャルクラブ」や「ヤング@ハート」など、年を重ねた演奏家たちの音色の . . . 本文を読む
今年度の邦画マイベスト=ナンバー1。
水になった村
観ている間中、幸せいっぱいで、心が温かくなった。
自然と共に生きる、たくましい村人たち。
先祖の知恵を現代に継承し、最大限に活かす歓び。
生死に執着しない生き方。
人間も生き物の仲間なんだとしみじみ感じさせてくれる。
田植えなど共同作業が必要なため、助け合いの精神が根付き、一人暮らしになっても、他人のために食べ物を . . . 本文を読む
先日、日本映画を応援する「中津川映画祭シネマジャンボリー2007」に初めて参加した。
神山征二郎監督の舞台挨拶があった。監督と主役を務めた三国連太郎さんが、いきさつや裏話など、大変濃いトークを30分ほどされた。
公開は12月だが、岐阜県出身の監督がこの映画祭の顧問をしているので、特別上映が可能となったという。
映画は、実在のモデルのエピソードを基にしている。旧制高校同士の因縁の野球試 . . . 本文を読む
フィルム・ノワールは、 コントラストと夜間撮影を多用し、作品全体に暗く陰鬱な雰囲気が漂うのが特徴だ。さらに、必ず警官やギャング、情報屋などが登場し、”運命の女”がキーとなって、複雑な相関関係が展開される。
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このジャンル、ハリウッド作品では、スタイリッシュ&ワイルドになるが、フレンチとなると、いぶし銀のように渋くて、ストイック&粋なムードが漂う。
主人公の二人の警官レオ(オ . . . 本文を読む