マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬/他者との約束

2006-04-28 | 映画分析
 アカデミー賞監督賞に輝いた「ブロークバック・マウンテン」に続き、異色のカウボーイもの「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」と「アメリカ、家族のいる風景」の2本が公開された。まずは、カンヌ映画祭主演男優賞と脚本賞に輝く「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」のレヴューから。 メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬  カウボーイ同士は「馬上の友」といって、特別な同志愛(性的な関係を含む)で結ば . . . 本文を読む

プルートで朝食を/境界を生きる

2006-04-24 | 映画短評
アイルランド出身、ニール・ジョーダン監督の最新作。 プルートとは冥王星のことで、最近、太陽系から外された小さなナゾの星。 手の届かない幻想的な理想郷のメタファーである。 プルートで朝食を 「ダブリン上等」「マイケル・コリンズ」といったアイルランドを舞台にした作品で知られるニール・ジョーダン。 今回も1960年代にアイルランドからロンドンへ、自分を捨てた「女優ミッツイ・ゲイナーに似ている幻 . . . 本文を読む

家の鍵/無限の責任

2006-04-14 | 映画分析
 不在の母、突然出現した父、そして重度の障害を持つ15歳の息子の「人生の重みを問う」物語。力作である。 家の鍵  出生時の事故で母親を亡くし、障害ゆえに父親にも逃げられたパオロ。孤児になった彼は、母親の私生児として叔父夫婦に大事に育てられてきた。 一方、父親のジャンニは、パオロを見捨てた罪の意識に囚われながらも、別の女性と結婚し、8カ月になる息子がいる。 父と子は、15年ぶりに顔を合 . . . 本文を読む