マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

SAYURI/ロマンティック・ラブ・イデオロギー

2005-12-26 | 映画分析
本作のテーマは、家父長制文化の中で女性の従属的位置を認める”ロマンティック・ラブ・イデオロギー”である。 SAYURI  ロブ・マーシャル監督の前作「シカゴ」は、男性優位の文化に意義申し立てをするという内容だった。ハリウッドのミュージカルは”カーニバル”という概念を内包している。”カーニバル”には、疎外され抑圧されている者たちが、自らの文化を創出しうる力を持つという側面がある。  「SAYURI . . . 本文を読む

空中庭園/女王は甦る

2005-12-17 | 映画分析
冒頭、古代世界の七不思議の一つ「バビロンの空中庭園」を描いた蛍光灯の傘が、家族の食卓の真上に映し出される。この庭園を作ったのは、偉大にして悪女(堤防を築き、夫を毒殺したといわれる)のセミラミス女王という説がある。本作の主人公の絵里子は、現代のセミラミス女王である。 空中庭園  母に愛されなかったという幼い日のトラウマから逃れられない絵里子。高校時代には不登校を繰り返し、母を殺そうとしたことさ . . . 本文を読む