マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

いつか読書する日 /執着と解放と

2005-08-20 | 映画分析
(ネタバレ注意!!)アイデンティティは、他者との関係(=世界との苦闘)の結果によって形成されるが、同時に、他者に対する行為の原因ともなる、というパラドックスを孕んでいる。  美奈子は、15歳のとき、”一生この街を出て行かない”と決め、20歳のとき、”一人で生きていく”決心をした。どちらも、高梨との恋愛関係の結果、決めた生き方であるが、その後30年間、彼に対する行為の原因ともなっている。 . . . 本文を読む

ヴェラ・ドレイク/ 世界と繋がる

2005-08-07 | 映画分析
マイク・リー監督の最新作。女性の視点で堕胎という深刻な問題を扱っている。切り口はいろいろあるが、私は”ヴェラの行為”に焦点を当ててみた。 ヴェラ・ドレイク  1950年ごろのイギリスでは、1861年に制定された人身保護法により、堕胎が禁じられていた。もちろんわが国では合法化されていたが、イギリスでは1967年まで非合法だった。  そんな中、1929年に、「医師が認めた場合のみ合法とする」と . . . 本文を読む