マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

最新鑑賞映画短評6本

2011-06-09 | 映画短評
・「ゲンスブールと女たち」
醜男なのにモテまくりの彼。イジメ、ユダヤ人、戦争などのトラウマを抱え、その反射として類まれな才能を開花させた。苦悩が人を魅力的にする典型。分身の暗躍は、彼の原点を解りやすく表現しているが、饒舌すぎる。無くてもよかった。
★★★★(★5つで満点)

・ポーランド映画祭その1
「ぜったいにダメ!」
浮気な夫と別れ、娘と自立する妻の恋。恋人の秘密を知って、つり橋上で立ち往生するシーンは、袋小路に陥ったかと思わせ、圧巻だが、その後がお粗末。ハリウッド映画の「ブルーバレンタイン」の方が秀逸。
★★★(★5つで満点)

・ ポーランド映画祭その2
「裏面」
ワルシャワ蜂起に関わった人たちのその後。紆余曲折しながら、暗い時代を乗り越えていく主人公の家族。人間の2面性をリアルに描くスリリングな展開。カラーで現代を、モノクロで過去を表現。ラストで明かされる秘密が胸を打つ。
★★★★★(★5つで満点)

・「海洋天堂」
生きとし生けるものを愛する自閉症の息子と余命いくばくもない父。2人のピュアな生きざまが、周りの人々に温かい気持ちを湧出させる。善人ばかり登場するのも納得!デリダの幽霊など、哲学的命題が続々・・・。映像もキャラクターの造形も全てが素晴らしい。
★★★★(★5つで満点)
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・「悲しみのミルク」
ペルーの先住民族の抑圧と解放の歴史を、1人の少女を通して詩情豊かに描く。ジャガイモ、階段、路地、小窓、シャッター、鳩、真珠、道、トンネル、海・・・、 メタファーづくしの美しい映像。大好きなジャジャンクーを思わせるポップ&キッチュなシーンが、即興の民族音楽と相まってイメージを膨らませる 。
★★★★★(★5つで満点)


・「マイ・バックページ」
「偽善」がテーマ。伏線に次ぐ伏線が見え見えであざとい。大甘な主人公と彼がシンパシーを感じる左翼学生の造形もステレオタイプで荒削りだ。伝わってくるものがないので、2時間20分もの長さは退屈。原作のサンプルを読んだ限りではまずまずの面白さだが、実在者の自伝の映画化は結構難しいのかも?
★★★(★5つで満点)
 

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