院長の大石です。
今年、私たち夫婦は、大切な友人Tさんと、お別れをしました。
私たちはお互いに心から信頼できる友人として10数年のおつきあいをして来た間柄でした。
今年の8月に、TさんのパートナーのOさんから電話があり、ここ数年からだをこわしていた、Tさんの具合が急に悪くなり、いま、緩和病棟(ホスピス)に入院していますと、告げられたのでした。
主治医から、会わせたい人がいるのなら今のうちに呼んでくださいと言われ、私たちに電話をしてくれたのです。
私たちは、驚いて唐津の、病院に駆けつけました。
病室でのTさんは、呼吸が苦しそうでゆっくり息をしていましたが、いつものように明るい笑顔で、私たちは、少しほっとしました。
「この前、隣の病室のおじいさんが、廊下でこけそうになっているのを見て、走って行って助けようとしたら、自分がこけちゃった。自分が病人だって言う事すっかり忘れてた!」そういいながら、おかしそうに笑うTさんは、いつもと変わらぬ、やさしいTさんでした。
どんな時でも、困った人に手を差し伸べようとする、本当に天使のような人でした。
それから一ヶ月ほどした日曜日に、神湊に魚を食べに行こうという主人に、食べるのなら呼子のイカがいい!とお願いして、私たちは唐津に向けて車を走らせました。
久留米を出発して間もなく、唐津の病院にいるTさんの事をふと思い出し、呼子の帰りに寄る事にしました。
Oさんに電話をすると、Tさんは、1週間前から食事を一口もとらなくなり、主治医から、もっても、あと一週間くらいでしょうと言われたと言うのです。
その日にここに来るなんて、なんと言う偶然、いえ、きっと私たち、心で呼ばれたのでしょう。
病室に入る前に、Oさんが、もうしわけなさそうに言われるには、Tさんは薬のせいか意識が、もうろうとしていて、「起きていても、もうお二人を認識できるかどうか分かりません。」との事でした。
ところが私たちが、病室に入ると、眠っているはずのTさんは、奇跡のように意識がはっきりとしていて、私たちを見て、とてもうれしそうでした。
2週間ほど前に、彼女は、パートナーのOさんと、病室で入籍をして、結婚式を上げたのだそうです。
ウエディングドレス姿の二人の写真を見て、「とてもきれいね。」という私に、Tさんは、私の顔を見ながらゆっくりと「あ、り、が、と、う」と言ってくれました。
そして、帰り際に、主人が黙って深くうなづくと、元気だったときそのままに、まるでぱっと花が咲いたようなとびきりの笑顔を見せてくれたのでした。
その二日後、Tさんのご主人から電話がかかり、T私たちが見舞いに行った次の日の夕方に、Tさんが静かに亡くなった事を知らされました。
あのとき会えて本当に良かった。
呼んでくれてありがとう。最高のお別れでしたね。
大好きなTさん、花のようなあの笑顔、忘れません。
今思うと、あの「ありがとう」は、私たちの、仲間すべてへの「ありがとう」だったのだと思います。
こちらこそ、たくさんの愛を本当にありがとう。
Tさんの思いは、私たちみんなで、引き受けたからね。
私たち、Tさんからいただいた愛を、みんなに広げて行くから、どうぞ安心していてください。
そして私たちが、勇気を持って、自分の使命を果たせるように見守ってくださいね。
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