ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

方向の定かでない与太とばし

2015-02-11 23:31:26 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)
夏の終わりに訪れて以来 小樽と函館のことを書くつもりでいた 大きなテーマを真正面からはなかなか書けない 具体的な細部を切り取らなくてはならない   その水は濁っている 細い透明なビニールパイプから気泡が吹き込まれ水面に同心円が拡散していく 循環することが水を浄化するという   運河は 小樽のまちの昔の栄光の象徴だ 過去だから美しい 石造の倉庫たちは本来の . . . 本文を読む

江ノ島~稲村ケ崎

2015-02-11 13:44:28 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)
新宿から小田急線のロマンスカー朝一番片瀬江ノ島行きひとり降りて 波という名の裸像寝そべる短い橋を渡り マクドナルドのモーニング・ソーセージマフィンセット390円食べる マッシュポテトのフライと薄いコーヒー 髪の長い女と小太りの若い男が並んで座って夜が明けたような顔している 江ノ島が砂州のうえの自動車橋と歩道橋の向こうに見える 気仙沼は遠い 黒いカバンが重い   砂浜に . . . 本文を読む

笛を吹く男と恐るべき子供たち

2015-02-11 00:18:31 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)
1284年6月26日 ドイツの都市にキッチュなファッションの放浪のミュージシャンが現れ130人の子供たちを惑わして連れ去った 子供たちはミュージシャンの笛の音に恍惚して行列のまま天国か地獄まで歩いて行ったともいうあるいは都市から十数キロメートルの沼地で遭難したともいうついに都市には戻らなかった   1284年のドイツの笛からどんな音色でどんなメロディが流れたのか 20世紀のデカ . . . 本文を読む