ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

専制君主と月

2011-01-27 23:08:39 | ご挨拶
専制君主が月を見上げる 月は三日月 専制君主がつぶやく 月よ我が宮殿へ参れ 謁見を許す 月がにやりと笑う 月が地上に近づき語る 王よ 青い髭の王よ おまえの甘言が処女を誘い 甘い夜が おまえのみに甘い夜になる 繰り返されるその夜が絶えるとき 私は おまえを訪問しよう そしてまた かすかに笑う 専制君主が月を見上げる 何も語らず ふいと 寝室にとって返す 月の重力が耐えきれぬ というように 寝 . . . 本文を読む

これでいいのだ

2011-01-25 22:06:42 | ご挨拶
ホンワカホンワカ ホンソワカ 正面の ガラスのドアから白い壁を廻り込んで 冷たい風を避け ホンワカと陽を浴びて 陽だまりに佇んで ホンワカホンワカ ホンソワカ タップタップタップ ランランラン ギャーテ ギャーテ ハラソギャーテ ボジソワカ マカハンニャララ ランラララン 冷たい一月の 陽だまりに佇んで 風を避けて 暖かく ホンワカホンワカ ホンソワカ 何も考えず のんびりと 何も . . . 本文を読む

冷えている

2011-01-18 21:44:43 | ご挨拶
夜空が晴れわたって 上天に月が光っている そばの南向きの高い空に オリオン座が くっきりと見える 冷えている 晴れわたった空のもと 地上は しんしんと 冷えている まちのネオンサインが 透明な空気の向こうに くっきりと 浮かび上がる 遠くの大島の稜線が 暗い世界に ぼんやりと 沈んでいる 橋から連なる旧国道を ぽつりぽつりと 車が往来する 冷えている 雪は 降っていない 雨も 降っていな . . . 本文を読む

私はクールだ

2011-01-10 16:59:46 | ご挨拶
私はクールだ ホットでない ネクタイを緩めたままで 斜に構えて 行動したくない 行動できない じっと 見つめている 眺めている 掴み取らない 見て 聞いている 触らない 味うことをしない 漂う匂いは覚える 記憶する 行動しない 覚醒したまま 眠っている 夢を見て 語らない 黙ったまま 座っている . . . 本文を読む

もうひとつの世界

2011-01-10 16:57:41 | ご挨拶
もうひとつの世界が 笑う この世界は 見えない もうひとつの世界が 泣く この世界は 冷たい 暖かな温もり 肉体の実在 あなたがいるから リアルは暖かい 屋外は 冷たい この世界は ない この世界は冷たく 意味がない もうひとつの世界が ある 豊かな意味を育んで もうひとつの世界が ある 実在に虚構が重なって はじめて 社会は暖かい ストーブで灯油が燃焼するから この部屋は暖かい 服 . . . 本文を読む

笑うクジラ

2011-01-02 23:28:25 | ご挨拶
クジラが笑う ウヒョーウガー ウガガー ウガー 沖では オキアミが大漁だ 大きな口を開けて オキアミを掬いこむ 飲み込む クジラが笑う ウヒョーウガー ウガガー ウガー 沖では オキアミの葬式だ 悲しく 悲しく オキアミが 仲間を弔う チ チ チ チ オキアミが 仲間を弔う クジラが泣く キァーキァー キゥーンキゥーン キィー 太平洋の 向こう岸の母と こちらの岸の 遥かな距離を測っ . . . 本文を読む

新年の辞

2011-01-01 01:49:50 | ご挨拶
新年だ 新年である 新年です 新年であります さて 新年にあたって 新年だから何が目出度いか よくわからないのでありますが まあ 新年 目出度し目出度し であり 明けましておめでとうございます とまずは 型どおり ご挨拶を申し上げるわけであります とはいっても 暦の上で年が改めっても 去年も良きことはあったわけで 今年も良きことばかりあるわけでもないでしょう 目出度い目出度いと 浮かれてばかり . . . 本文を読む