ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

山口尚 日本哲学の最前線 講談社現代新書

2022-01-23 12:52:29 | エッセイ
 山口尚氏は、1978年生まれ、京都大学総合人間学部から大学院博士課程を出て、大阪工業大学講師、京都大学講師、専門は「形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について」、ということは、ひっくるめて言えば哲学ということになる。著書に『哲学トレーニングブック-考えることが自由に至るために』(平凡社)、『幸福と人生の意味の哲学-なぜ私たちは生きていかねばならないのか』(トランスビュー)など。 扉をめくると . . . 本文を読む

大塚信一 河合隼雄心理療法家の誕生 トランスビュー

2022-01-18 13:04:32 | エッセイ
 大塚信一氏は、岩波書店の編集者で、元社長。同じ著者で同じ出版社の『河合隼雄 物語を生きる』(2010年)は既に読んでいる。こちら「心理療法家の誕生」は、2009年刊ということで、順番としては逆になってしまった。岩波・朝日文化人などという言葉があって、現在の日本においては素直に尊敬の言葉ではあり得なかったりするが、私などは、その末席のさらに外側にうごめく文化人もどきに過ぎない。大塚氏の手のひらのう . . . 本文を読む

谷川俊太郎 どこからか言葉が 朝日新聞出版

2022-01-13 12:25:57 | エッセイ
 2021年6月30日付けの発行。ちょうど良く、見開き2ページに収まった詩が、52編。月1回とすると52月、4年と4月。「これからしばらくこの紙面に月一回 何かを書かせてもらえることになった」 冒頭の「私事」(わたくしごと、とルビ)、第2連はじめの2行である。ネットで見ると、朝日新聞デジタルの同名の連載で、現時点でまだ続いているようである。いちばんはじめの作品が2017年1月掲載のようで、現時点で . . . 本文を読む

玉田尊英 詩集 風の岸辺 南北社

2022-01-09 23:24:25 | エッセイ
 玉田尊英氏の2021年6月に刊行された第二詩集である。 詩誌THROUGH THE WINDを共にする盟友・原田勇男氏が、別刷りのしおりに「本質的にヒューマンな詩人」ということばを寄せられている。「玉田さんの詩を概観すれば、自然や季節の移り変わりを描きながら、その折々に自己の心象風景を投影させて、人間の生と死を深く表現していると言えるだろう。生きることの内実と亡くなった人への鎮魂の思いを見据え、 . . . 本文を読む

吉増剛造 和合亮一 未知の、不確かなほうへ歩いていく 現代詩手帖2022.1月号

2022-01-09 11:53:13 | エッセイ
 連載「石巻から/浪江から」の2回目で、今回は、福島県浪江町における対談。同じ対談が、もっと要約された形で「未来からの記憶 被災地での対話PARTⅡ福島・浪江」と題して、河北新報12月8日付に掲載されている。 おふたりは、この日対談前に、浪江町の震災遺構・請戸小学校を訪問した。【不思議な化石】「和合 …請戸は、…原子力発電所の爆発からすぐに立ち入り禁止となったために、当 . . . 本文を読む

森川すいめい オープンダイアローグ私たちはこうしている 医学書院

2022-01-03 23:50:02 | エッセイ オープンダイアローグ
 精神科医森川すいめい氏の著作は、『感じるオープンダイアローグ』(講談社現代新書、2021)についで2冊目である。 序章「オープンダイアローグはこうして生まれた」の冒頭は、こう始まる。【当事者の困難の発見】「現代の精神医療の現場は、「症状を分析し、診断名を確定し、治療や支援方針を決める」というスタイルが中心になっています。生活を支えるための公的な資源の多くも、診断名に基づいて設計されています。 し . . . 本文を読む

ミルキイウェイにぶら下がって

2022-01-02 22:36:54 | 月刊ココア共和国 投稿詩
ミルキイウェイにぶら下がって流れ去る星の煌めきを眺める鵲の橋を渡る年に一度の逢瀬を想ってため息をつく牽牛織女の恋ほとんど引き裂かれた恋ほとんど終わった恋の物語永遠に終わることのない終わった恋の物語肉体を失った感情も失った視線だけを残した見上げる夜空の向こうに輝く無数の星のはてに熱を失った漆黒の空漠が拡がるミルキイウェイにぶら下がって虚空のブランコに乗って年に一度の逢瀬を息を殺して待つ私は待つもの私 . . . 本文を読む