ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

想い出

2021-11-02 22:07:22 | 月刊ココア共和国 投稿詩
冷酷なことも
残酷なことも
非道なことも

悲しいことも
淋しすぎることも
泣きたくなるようなことも

すべて
透明に
美しくなる

いつのまにか
透明になる
内実が脱け落ちて形相だけ残って

ものをつかんだり食べたり
爪が髪の毛が伸びたり
足あとをつけたり
そんなことはもう決してできない

可愛らしい笑顔とか
見つめている視線とか
そう噛むことはできなくても
見つめることだけはできる

純粋な重力として
遠い記憶の中で
ぼくを
見つめている

※月刊ココア共和国10月号電子版佳作集掲載


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2 コメント

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Unknown (halu)
2022-04-29 17:28:58
はじめまして。
素敵な詩なのでついコメントを書きたくなりました。
情景が浮かぶこちらの詩が好きです。
心に思い出がすぅっと入ってきました。
優しい詩をありがとうございます。
有難うございます (千田基嗣)
2022-04-29 19:44:00
haluさん

 ご感想有難うございます。
 そういう風に思っていただければ幸いです。
 コメント力になります。
 別の詩も読んでいただければ幸いです。

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