みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『サウルの息子』観ました。

2017-03-06 16:00:00 | 洋画
2015年:ハンガリー。 監督:ネメシュ・ラースロー。 WOWOWからの録画。
ちょっと以前に評判になった映画なので、観てみました。
かつてナチスによって行われたアウシュビッツ=ビルケナウ収容所でのユダヤ人の大量殺戮
が物語のベースになっています。
この映画を観て気づかされたのですが、大勢のユダヤ人をガス室送りにした後、その死体の
処理を遅滞なく行うためには僅かな数のドイツ軍人だけでは到底手が足りず、
“ゾンダーコマンド”と名づけ編成させたユダヤ人の特殊部隊に実際の仕事の大半を請け負わ
せていたという事実があったようです。
しかし彼らもまた一定の期間が過ぎると用済みとなり『処分』されてしまうのですが。

 
また新たに大勢のユダヤ人が到着した。       全裸でガス室へ誘導されるユダヤ人たち。

ハンガリー系ユダヤ人のサウルは、“ゾンダーコマンド”の一員として、次々と到着する
同胞たちを処理する仕事に就いていた。
処理の仕事とは、●衣服を脱がせガス室に誘導●扉を閉める●脱がせた衣服から金目の
ものを分別●上着・下着・靴などの分別●使用後のガス室内の床・壁の清掃など。

 
血や吐瀉物にまみれた床を洗う。          ガス室で死に切れなかった少年。

ある日ガス室では死に切れず、その後絶命した少年がいた。何とそれが生き別れた自分の
息子であることに気づいたサウルは、せめて息子をユダヤ法の通りに弔ってやろうと決心。
少年の死体は解剖後に焼却されるところをサウルは医師に「焼かないでくれ」と頼みこむ。 
(ユダヤ教では死体を焼くのはタブーだそうです。キリスト教ではOK)
困惑する医師。「俺だって同じくユダヤ人なんだ、独軍の目につくような危ない真似はできない」

  
結局、医師は死体を隠しておいてくれた。      しみじみ息子の顔に見入るサウル。

医師はそう言ったものの、結局はサウルの親心に免じて死体を隠しておいてくれた。
次は葬式を執り行ってくれるラビ(=宗教的指導者)を探さねばならない。
周囲の者に「誰かラビを知らないか」と聞きまわるサウル。
例え“ゾンダーコマンド”であっても、一瞬先の自分の運命さえ見えない状況の中で
彼の行動は異様に目立つ。
収容所内でユダヤ式の葬式をしようとしているなどと独軍側に漏れてはサウル一人の
処分だけでは済まないだろう。

 
仲間から詰め寄られるサウル。           一方、収容所からの脱走計画も進む。

いくら自分の息子といえど所詮は死体にすぎない。いま生きようともがいている人間から
すればサウルの行動は、やはり異様とも見える。
いっぽうユダヤ人たちの中には脱走を計画、少しづつ武器を貯めているグループがいた。
サウルは度胸のある男と見られ、計画に加わらないかと声がかかる。
事態はある日急変する。三千人ものユダヤ人がいちどきに搬送されてきて収容所は
手いっぱいの状況に。ちょっとした騒ぎを”チャンス到来”とばかりに脱走計画グループが
反乱を起こす。

 
纏めて穴に突き落とす方がガス室よりも早い。    息子の死体を抱えてひたすら逃げるサウル。

ユダヤ人からの思わぬ攻撃を受けて、ドイツ兵たちがひるんだ一瞬。
そのタイミングをみて脱走グループは収容所から一斉に逃亡。
サウルも布に包んだ息子の死体を担いで、やっと見つけたラビと共に逃げ出すのだったが....。
ここでちょっとした疑問が湧いてきました。
いくら自分の息子が大事といえども、すでに死んでいるのです。
父親といえど、そこまで”息子が大事”の行動となるものなのかな~という思い。
ですが、そのあたりの疑問は終盤に挿入された、ちょっとしたシーンによって
解き明かされたように思いました。そのシーンの有る無しでは映画全体のニュアンス
さえ少し変わってしまうとも感じました。

それにしても、あれはちょっと鬼気迫るって感じがありましたね(^^; 

画角は4:3のスタンダードサイズ。解像感も甘くて少々モッタリした印象となります。
ただしこれは制作側の狙いだったかもしれません。凄惨な内容を伝えるのに、
最新のパリッとした画質では似合わないと踏んだのかもしれません。
一方、音響は緻密さを感じさせるサラウンドとなっています。
少し古さを漂わせる画面に比べるとチグハグな感じがしてしまいましたね(^^:

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