皆さんは、「ライエイカヴァイ」という有名なハワイ神話をご存知ですか? ライエイカヴァイは絶世の美女の名です。ある事情から、父王から隠され、泉の中を通ってしかたどり着けない洞窟の中で、ひっそり育てられたとされています。
ライエイカヴァイを和訳すると「水の中のライエ」という意味になりますが、その名の背景にはライエイカヴァイが生まれ育った、かの洞窟が関係しているというわけです。
ところで。ハワイ王国7代目の君主カラカウア王は、古来の文化の存続に力を入れた王様。自身も「ハワイの伝説と神話」という本を書いており、それが冒頭の写真の本なのですが。同書の中に、本の編者ダゲット氏がライエイカヴァイゆかりの泉を訪問した時の話が出てきます。
一行がオアフ島を旅していた時、直系30メートル位の澄んだ泉、ワイアプカに突き当たったそう。その泉は、ライエイカヴァイを含め、たくさんの神話・伝説の舞台になった泉として知られていたとか。しかもダゲット氏一行の目の前で、あるハワイアンが泉に潜り、実際に洞窟を見つけたという話が紹介されています。
まあ実際に、ライエイカヴァイというお姫様がその洞窟で育てられたわけでもないでしょうが。その不思議な洞窟を知る、想像力豊かな昔々の誰かさんが、美しいお姫様の物語をつむいだのかな…とは考えてもよさそうですネ。
泉の位置は、ある書物の中でかなり特定されていたので、先日、写真を撮りにいきたいと思っていたところ。著名なフラマスターでハワイ文化のエキスパートであるフランク・ヒューエットさんに、残念な話を聞きました。フランクさんは若い頃、実際にワイアプカの泉を見たことがあるそう。ところがハワイ州がその泉を埋めてしまったのだそうです。なぜか…。
こうして、神話の舞台となった泉を特定することはできなくなりましたが、いつか、(泉はなくとも)その場所を訪れたいものです。そうして目に見えないものに想いを馳せ、土地の持つマナを感じてみるのも、神話世界の楽しみ方の1つと思うのですが、いかがでしょうか?