森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

「カメハメハ大王役、募集中!」

2017年05月26日 | ハワイアナ


ここ数年、ハワイを舞台にした映画が続々と作られている感じがします。3月にもハワイ諸島の一つ、ニイハウ島で真珠湾攻撃後に実際に起きた事件を題材にした映画「ニイハウ」の制作発表があったばかり。

俗にいうニイハウ島事件は、真珠湾爆撃後にニイハウ島に不時着した日本軍のパイロットが島の人々に救出され、しかし、やがて彼が敵軍のパイロットであったことが知れて事件に発展する…という悲しい物語です。

ハワイでもこの映画には注目が集まっているのですが、またしても! 主要人物のハワイアン男性を白人俳優が演じることがわかり、ハワイでもひと悶着があったばかりなのです。

そのハワイアン、ベン・カナヘレはハワイでけっこう名の知れた人なので、「え? あのベンを白人が演じるの?」と違和感バリバリだったわけです。

ところがつい最近、制作発表がった映画「アイランド」では事情が違いました。この映画ではクック船長到来からカメハメハ大王のハワイ諸島統一、そしてハワイ王国の崩壊までを史実に忠実に描くそうなのですが…。なんとカメハメハ大王役を「絶対にハワイアンの中から選ぶ」と監督が名言。この夏、大王役を含めもろもろのキャストの選抜が行われるそうです(冒頭の写真は、そのニュースを報じた地元紙の記事です)。

その記事によると、映画のアドバイザーを務めるハワイアン男性はこんな風に言っています。「大王役を務める人間は、誰であれ、真にハワイの歴史を理解するネイティブ・ハワイアンになる予定だ」。ああ、何だかワクワクしますね~。

思い返せば2015年のラブコメディ「アロハ」でも、主要キャストは白人ばかり。主役のハワイアン女性もエマ・ストーンが演じたので、ハワイからは「何がアロハだ!」と大ブーイングが起こりましたっけ。

きわめつけは2009年の「プリンセス・カイウラニ」でした。カイウラニ王女といえば最後の女王リリウオカラニの姪にあたり、ハワイの人々がこよなく愛する絶世の美女(母がハワイアン、父がイギリス人)。そのカイウラニ役をペルーの血を引く女優が演じたため、ハワイの人達はそれは悔しい想いをしたのです。

そんなわけで、かのカメハメハを真のハワイアンに演じさせると宣言したティム・チェイ監督は、なかなか話のわかる人だと思いました。彼はアフリカ系アメリカ人ですが、微妙な民族問題への理解が深い人なのでしょう。

...と、来月に迫ったキング・カメハメハデーを前に、なんだか嬉しいニュースだったのでシェアさせていただきました。長々読んでくださってMAHALO!

(それにしても。映画「ニイハウ」で、主役もしくは準主役となるベン・カナヘレを白人俳優が務めるのは、けっこう無理があると私も思います。このベンさんは身体が大きく力の強い人だったそうで、写真を見るとまさに屈強なハワイアンなのです。ベン・カナヘレの孫という男性を知っているのですが、彼もかなりいかつい感じでしたっけ…。さて、「ニイハウ」と「アイランド」という2つの映画が、いったいどんな仕上がりになるのか。今から楽しみでなりません)




コメント
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