で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1012回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ミス・シェパードをお手本に』
英国の劇作家アラン・ベネットの驚きの実体験を、アラン・ベネット自らの脚本で映画化したヒューマン・コメディ。
オンボロワゴン車で寝泊まりする偏屈老婦人と、彼女のために自宅の敷地を提供した劇作家の15年にわたる奇妙で心温まる交流をユーモラスに綴る。
主演はともに舞台版でも同じ役を演じたマギー・スミスとアレックス・ジェニングス。
監督は、アラン・ベネットとは数々の舞台でタッグを組む盟友で、映画でも『英国万歳!』、『ヒストリーボーイズ』に続いて、これが3度目のコラボとなる、ニコラス・ハイトナー。
物語。
1970年代、ロンドンのカムデン、グロスター・クレセント通り23番地。
文化人が多く暮らすリベラルなこの地区に、壊れかけた一台のバンが停まっている。所有者はみすぼらしい身なりの老婦人、ミス・シェパード。
ホームレスの彼女は、このバンで寝泊まりし、自由気ままに暮らしているが、彼女が古都に奈多tのは複雑ないくつかの理由があった。
彼女は、そのせいもあって、プライドが高く、心配する近所の住人の親切にも悪態で返す偏屈ぶりで、煙たがられながらも。
ある日、通りが駐車禁止になり、いよいよいられなくなる。
だが、劇作家のベネットは、そんな彼女に、次の場所を探す間、三か月だけと自宅の敷地にバンを停めていいと提案する。
作家として、ミス・シェパードをねたになるかもといういやらしさもあった。
軽い気持ちで提案したベネットだったが、これが15年間にわたる、彼と彼女の奇妙な共同生活の始まりだった。
脚本は、アラン・ベネット。
出演。
マギー・スミスが、ミス・シェパード。
アレックス・ジェニングスが、アラン・ベネット。
ジム・ブロードベントが、アンダーウッド。
フランシス・デ・ラ・トゥーアが、ヴォーン・ウィリアムズ夫人。
ロジャー・アラムが、ルーファス。
ほかに、ドミニク・クーパー、デボラ・フィンドレイ、クレア・ハモンド、クレア・フォイ、グウェン・テイラー、ニコラス・バーンズ、リチャード・グリフィス、サミュエル・バーネット、サミュエル・アンダーソン、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ジェームズ・コーデン、サッシャ・ダーワン、アンドリュー・ノット、クライヴ・メリソン、ジェイミー・パーカー、ラッセル・トヴェイ、アラン・ベネット、など。
スタッフ。
製作は、ケヴィン・ローダー、ニコラス・ハイトナー、ダミアン・ジョーンズ。
製作総指揮は、クリスティーン・ランガン、エド・ウェザレッド、チャールズ・ムーア、マイルズ・ケットリー。
撮影は、アンドリュー・ダン。
プロダクションデザインは、ジョン・ビアード。
衣装デザインは、ナタリー・ウォード。
編集は、タリク・アンウォー。
音楽は、ジョージ・フェントン。
劇作家ベネットとホームレスのミス・シェパードに庭を貸したことで始まった奇妙な関わりの実話の戯曲の映画化。
邦画のタイトルがイマイチ。イギリス的な強めのユーモアで現実の不可思議を物語化した体臭的ドラマなのだから。
マギー・スミスのクセになる魅力。受けきるアレックス・ジェニングスの吸水力。
匂わせる演出、的確な美術と撮影、センス、ユーモア、語りの髄を嗅がせる傑作。
おまけ。
原題は、『THE LADY IN THE VAN』。
『バン住まいの淑女』。
イギリスというか西洋ではバンはある種の象徴として使われます。
『リトル・ミス・サンシャイン』とか『トラフィック』とか、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』もその変形ですね。
『HANA‐BI』もその点が西洋でウケた理由かもしれません。
家族というか家が多いかな。ジプシーと関係があるのかも。場所の現代版というかね。
おいらなら、『ミス・シェパードの忘れがたき残り香』ってつけるかな。
あ、2015年の作品です。
上映時間は、104分。
製作国は、イギリス。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「ボロは着てても心は錦! ポンコツ車のレディがやってくる」
受賞歴。
2016年のイブニング・スタンダード・ブリティッシュ・フィルム・アワードにて、最優秀女優賞をマギー・スミスが受賞。
他にもゴールデン・グローブなどで同賞にノミネートされました。
ややネタバレ。
ちらっとドミニク・クーパーが俳優役で出ています。
関係があるのかしら?
エリオット・レヴェイが劇演出家として出てますが、あれはニコラス・ハイトナー役ではないってことなのかな?
ネタバレ。
ラストの撮影シーンに出てきたのはアラン・ベネット本人です。