で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1355回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『模倣霊』
韓国の伝説"長山虎(チャンサンボム)"を題材に、得体の知れない声に翻弄される一家の恐怖を描いた異色ホラー。
ウェブコミックの映画化。
出演は、『箪笥 たんす』のヨム・ジョンア、『タクシー運転手 約束は海を越えて』のパク・ヒョックォン。
監督と脚本は、『かくれんぼ』のホ・ジョン。
物語。
ある殺人が起き、犯人は隠蔽のために長山(チャンサン)のある洞窟を目指していた。
ヒヨンは、義母の介護と心の傷を治すため、夫と長女ジュニと義母と山に囲まれた夫の故郷の長山に引っ越した。
心の傷とは、長男を3年前に行方不明になったのだ。
ある日、犬を探しに来た姉弟に呼ばれ、森の中で洞窟の中を探すことに。
洞窟のそばで、泥だらけの少女を見つける。物言わぬ少女はどうやら迷子のようで、自宅に招き入れ、風呂に入れてやる。
少女はぽつりぽつりとしゃべりはじめる。
だが、少女はじょじょに長女の声どころか映像で見た長男の声とそっくりに模倣し始める。
出演。
ヨム・ジョンアが、ヒヨン。
パク・ヒョックォン
シン・リナ
イ・ジュニョク
スタッフ。
製作総指揮は、キム・ウテク。
撮影は、キム・イルヨン。
編集は、スティーブ・M・チョー。
音楽は、キム・ホンジプ。
現代韓国、封印された洞窟と声を操る謎の少女とある家族を描くホラー。
脚本はがしゃがしゃですがホラー的な行き当たりばったりエネルギーがある。丁寧に整理したら、かなり面白くなりそう。
邦題は嘘。霊ではない。いわば『模倣鬼』。
音、造型、なにより子どもらと母が怖い。
ヒューマンな『哭声/コクソン』という評価に惹かれていったが、ホラー好きでないときついか。逆に好きなら興味深いところ多し。神話の現代化(『長山虎』という伝説をベースに漫画にしたものの映画化)。
とにかく、少女に耳目が引き裂かれる声作。
おまけ。
原題は、『장산범』。
『長山虎』。(『長山犯』か?)
出てくる伝説の怪物ですね。
英語題は、『THE MIMIC』。
『真似』、『まねし』、『擬態』ですね。
ギレルモ・デル・トロの『ミミック』(1997)てのもありましたね。あれの原題は、『MIMIC』でTHEがありません。
邦題は間違いです。
霊ではなく怪物。
『模倣鬼』でしょ。
『真似鬼』か『声鬼』か『声色鬼』か『囁く鬼』、または『鬼が呼ぶ』でもいいかも。
まぁ、『鬼声/キセイ』か『鬼声(おにごえ)』か『鬼声/ギソン』か『鬼哭/キコク』もありかも。さすがに『哭声/コクソン』に寄せ過ぎか。
上映時間は、100分。
製作国は、韓国。
映倫は、G。
2018年7月から開催の<カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018>にて上映。
ネタバレ。
母の介護があまり機能してない。息子とのエピソードを掘り下げた方がよかったのではないか。
そうすれば、長女もちゃんと描けたはず。
というか、謎の少女を少年にしていたらどうだったろう?
あの祈祷師をもっとちゃんと描いて欲しかったなぁ。
声の鬼が視力を奪うって面白さをもうちょっと膨らませてもよかったかも。
面白いエッセンスがあるので、リメイクしたいなぁ。
韓国ホラーには、『ボイス』もあるけどね。
あと、『アナイアレイション -全滅領域-』にも声色を使う怪物が出てきましたね。あれだけで一本出来るはず。