菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

現実の中で虚構を生きられるか。虚構の中で現実を生きられるか。 『アネット』

2022年04月30日 00時00分57秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2044回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 


『アネット』

 

 

 

コメディアンとオペラ歌手の夫婦と娘アネットの愛の変遷を描くロックオペラ・ミュージカル。

第74回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。

 

主演は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『最後の決闘裁判』のアダム・ドライヴァーと『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』、『君と歩く世界』のマリオン・コティヤール。
共演は、サイモン・ヘルバーグ。

監督は、『ポンヌフの恋人』、『ホーリー・モーターズ』のフランスの鬼才レオス・カラックス。

異色の兄弟バンド、スパークスの原案と音楽を基にしている。

 

 

物語。

挑発的なスタイルのスタンダップ・コメディアン、ヘンリーは、国際的に有名なオペラ歌手アンと情熱的な恋に落ち、世間の大いなる注目を集める。やがて2人の間にミステリアスな娘アネットが誕生し、アンとヘンリーの結婚生活も少しずつ狂い始めるのだったが…。

原案:スパークス
脚本:ロン・メイル、ラッセル・メイル、レオス・カラックス

 

 

出演。

アダム・ドライヴァー (ヘンリー)
マリオン・コティヤール (アン)

サイモン・ヘルバーグ (指揮者兼伴奏者)

ラッセル・メイル (スパークス) 
ロン・メイル (スパークス)

古舘寛治 (産科医)
福島リラ (看護師)
ローラ・ジャンセン (看護師)

デヴィン・マクダウェル (アネット)

アンジェル (6ガールズ)
ジュリア・ブルック (6ガールズ)
クラロン・マクファーデン (6ガールズ)
水原希子 (6ガールズ)
ナタリー・ジャクソン・メンドーサ (6ガールズ)
ノエミー・シェレンズ (6ガールズ)

 

 

 

スタッフ。

製作:シャルル・ジリベール、ポール=ドミニク・ヴァシャラサンチュ、アダム・ドライヴァー
コプロデューサー:堀越謙三

撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
美術:フロリアン・サンソン
衣装:パスカリーヌ・シャヴァンヌ

人形担当:ユウ・イノセ、ナオタロー・タカハシ

編集:ネリー・ケティエ
音楽:スパークス

 

 

 

『アネット』を鑑賞。
現代フランス、コメディアンとオペラ歌手の夫婦と娘アネットの愛の変遷を描くロックオペラ・ミュージカル。
ひたすらに、自己のエゴを貫き、愛の不安と支配の大海原に揺られていく。
兄弟バンドのスパークスによるストーリー原案と音楽を基にしている。
実際に現場でキャストが生で歌っている、つまり歌で芝居し、映画的なアクソンで踊る。画面も舞う。歌う芝居と踊る肉体、舞う画面、映画がミュージカルしている。
ストーリーの上にある何かがこの世界を推進させる。
第74回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
監督はフランスの鬼才レオス・カラックス。いつもながらの映画の既存、ミュージカル映画の既存から、はみ出して、映画と創作への愛を歌い上げる。
アダム・ドライヴァーが愛に進化退化していく類人猿ぶり。マリオン・コティヤールは全身の存在感で立ち座り横たわる。サイモン・ヘルバーグに日本人キャスト、端々のキャストまで歌い、心をかき乱す。デヴィン・マクダウェルが心をかきむしる。そうそう、アネットの操作は日本人チームだそうですよ。
アネットを見るためにこの映画を見ても損はないほどの造形と動きとそれに逆に動かされる俳優たちの反転。
見えないけど確かにある何かに動かされて、人はどうしようもなく迷い、呻き、前進する。
私もまた映画を見る時、その最悪の展開を望んではいないか、そして、そうなってしまうからこそそうならないことを望んでいる。観客は手を出せぬ思うだけの最も残酷な神だ。
彼女の未来に置きッとそれがまた覆いかぶさるだろうけど、今度はかわせるだろうか。そう願う。
海の場面の動く書割に心がざわついたよね。
海に向かって波立つな! とは叫ばない水作。




 

 

 

おまけ。

原題は、『ANNETTE』。
『アネット』。

娘の名前です。

 

2021年の作品。


製作国:フランス / ドイツ / ベルギー / 日本
上映時間:140分
映倫:PG12

 


配給:ユーロスペース  

 

 


 
アネット - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

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アネット」 : ヨーロッパ映画を観よう!

 

 

 

ややネタバレ。

元の物語は、アンとアネットの物語が中心だったそう。

 

 

 

 

ネタバレ。

ヘンリーは、自分が「神の類人猿」を名乗るように、人々を人間だと見れない。
アンは供物だし、伴奏者は子守だ。多くの人は観客に過ぎない。
だから、アネットは人形だ。
ヘンリーは、最下層まで落ちて、初めて人(人形)を人として見ることが出来た。
その意味で、この物語がある部分ではハッピーエンドだといえるところだろう。

アネットが人形なのは、ヘンリーにとってだけではない。アンにとっても愛の復讐として、人形としている。
その呪いは、アネットの歌となる。

 

 

人間を人間扱いしない人間社会。

 

 

 

 

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