菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ロミオとジュリエットが料理人だったら。『マダム・マロリーと魔法のスパイス』

2014年11月23日 00時00分44秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第630回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『マダム・マロリーと魔法のスパイス』







フランス南部の町で、インド料理店を開いた移民の家族と、その真向かいに建つミシュラン1つ星の名フレンチ・レストランの女主人マダム・マロリーが、互いの料理と文化を巡って衝突するさまとその顛末をつづる、料理と輝く食材に眼福あふるるハートウォーミング・ドラマ。



物語。
カダム家はインドで料理店を経営していたが、ある事情から故郷を離れ、南フランスに移住し、再びインド料理店を開店することに。
だが、その真向かいには、マダム・マロリーのミシュラン1つ星を誇るフレンチ・レストランがあった。
マダム・マロリーは亡夫の残してくれたそのレストランを厳しく守ってきたので、カダム家の店の派手な電飾と騒がしいインド音楽は品位を落とすとクレームをつける。
マダム・マロリーと父は対抗し、互いの店は戦争状態になってしまう。
そんな中、次男でコックのハッサンとマダムの店の副シェフのマルグリットは互いに心通わせていく・・・。


原作はリチャード・C・モライスの『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(集英社刊)。


脚本は、スティーヴン・ナイト。
『イースタン・プロミス』、『ハミングバード』などサスペンスあふれる世界の日常を得意とする作家ならではの趣向が隠れている。







キャッチコピー。
「南フランスの名門レストランvs.インド料理店――その“戦い”は、奇跡のはじまり…
そのスパイスは、あなたの人生を“美味しく”変える。」







出演。
マダム・マロリーに、ヘレン・ミレン。

移民家族のパパに、オム・プリ。


次男でコックのハッサンに、マニシュ・ダヤル。

フランス料理店の副シェフのマルグリットに、シャルロット・ルボン。

柔軟な町長に、ミシェル・ブラン。



ほかに、アミット・シャー、ディロン・ミトラ、アリア・パンディア、クレマン・シボニー、ヴァンサン・エルバズ、ローハン・チャンドなど。







製作は、スティーヴン・スピルバーグとオプラ・ウィンフリーとジュリエット・ブレイク。


撮影は、リヌス・サンドグレン。
食材と料理の美しさと光の見せ方は眼福。


プロダクションデザインは、デヴィッド・グロップマン。
ファンタジーのようなセット、素晴らしいレストランや厨房もまさに眼福。


編集は、アンドリュー・モンドシェイン。
詰め込みまくった内容をぺろりと食べさせる。


音楽は、A・R・ラフマーン。
インド映画界の巨匠がここでも機会なマサラミュージックと西洋音楽のミックスは耳福。






フランス料理とインド料理のレストラン版『ロミオとジュリエット』風味だが、いろいろ入っていて、味付けは薄め。
しかも、ロミオとジュリエットが同じ料理人なのでライバルという面白み、その親の話が半分を占めている新味あり。

料理と食材の写し方にひと工夫アリで、後味がかなりいい秀作。
















おまけ。

原題は、『THE HUNDRED FOOT JOURNEY』。
100フット?
てことは、100足?
なら、百足(ムカデ)の旅か?
どうやら、フィートの単数形っぽい。
100フィート=30mの旅、ってことみたいです。
お向かいさんへの旅ってことですものね。
これを踏まえるとラストのシ-ンが味わい深い。




上映時間は122分。


製作国は、インドとアラブ首長国連邦とアメリカ。

フランスを舞台にしたインドの家族を題材にしたアメリカ映画ということになるのよね。
メイン言語は仏語と印語なんだけど、この処理を間をつなぐのが英語というのをきちんと3つの言語をうまく見せていて上手い。
字幕も英語だけ翻訳していて、文化の違いの難しさもちゃんと伝えている。






オランダ出身のラッセ・ハルストレムは、『ギルバート・グレイプ』、『ショコラ』、『砂漠でサーモン・フィッシング』、『サイダーハウス・ルール』、と食材系タイトルの多い方。
まぁ、グレイプもサイダーも食材の方じゃないけどね。

そういや、『ショコラ』でも、チョコレートにスパイスを入れる描写があったね。





どストレートな光の演出で、美味や心のキラメキを見せてくれるのはお手本のような素直さで、ズドンと胸に届く。

これは、先日紹介した『ニンフォマニアック』でも同様で、あちらは性的快感や恋愛のトキメキを表現していたが、今作では味と才能の輝きを見せるのに使っていた。



料理の撮影は、コマーシャル的なシズル感よりも本当の食事という感じを目指したのだそう。
そこで、美味しいという料理を食べたという表情も、アップで感情たっぷりに見せるのをなるべく避け、さりげないものにしたそう。
これは予告編でも分かるほど。
ただ、映画の最初の方では、アップで惜しいという表情を見せるのも使っていた。




ヘレン・ミレンのインタビューの一言がよかったので、ご紹介。
「この映画を見るときは空腹で見て欲しい。見たあとで、フランス料理とインド料理のどちらかを食べに行きたくなるはずだから」







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