で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1220回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『オレの獲物はビンラディン』
アメリカを愛するあまり自分でビンラディンを捕まえようと、たった一人でパキスタンに乗り込み、ビンラディンの行方を追って奇天烈な行動を繰り広げた実在のアメリカ人、ゲイリー・ブルックス・フォークナーのトンデモ珍道中を描いた実録コメディ。
実在の人物を超える芸でニコラス・ケイジが怪演。
監督は、『ボラット』、『ブルーノ』のラリー・チャールズ。
物語。
愛国心が過ぎる中年ゲイリーは、未だにオサマ・ビンラディンの行方が分からないというニュースに苛立ちを募らせる。そんなある日、突然“パキスタンに行って、オサマ・ビンラディンを捕まえよ”との神の啓示を受けるゲイリー。使命感に燃えた彼はたった一人でヨットに乗り込むと、武器として調達した日本刀とともにパキスタンへと向かう。
原作は、クリス・ヒース。
脚本は、ラジーヴ・ジョセフ、スコット・ロスマン。
出演。
ニコラス・ケイジが、ゲイリー・ブルックス・フォークナー。
ラッセル・ブランドが、神。
ウェンディ・マクレンドン=コーヴィが、マーシ・ミッチェル。
ケノア・モリソンが、リジー。
ポール・シェアーが、ピクルス。
ウィル・サッソが、ロイ。
マシュー・モディーンが、ロス医師。
デニス・オヘアが、エージェントのドス。
レイン・ウィルソンが、エージェントのシモンズ。
スタッフ。
製作は、ドーン・オストロフ、ジェレミー・ステックラー、エミール・グラッドストーン、ジェームズ・D・スターン、ジュリー・ゴールドスタイン。
製作総指揮は、パトリック・ニュウォール 、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、ルーカス・スミス、フェルナンド・ビジェナ。
撮影は、アンソニー・ハードウィック。
プロダクションデザインは、セバスティアン・ソウクプ。
衣装デザイン: メアリー・E・マクロード。
編集は、クリスチャン・キナルド、フェルナンド・ビジェナ。
音楽は、デヴィッド・ニューマン。
10年代、神の啓示を受けて、一人でパキスタンでオサマ・ビンラディンを捕獲しようとしたアメリカ人ゲイリー・ブルックス・フォークナーの実話を描くコメディ。
「おい、これ実話かいっ!」(もちろん脚色されてはいるが)とツッコミつつ、巧みに構成されており、知性が試されるような内容。でありつつ、ただただ濃く厚いキャラコメディでもある。
ニコラス・ケイジの芸がリアルを超え、下手な芸人なら裸足で祈り出す。
がっつりなアメリカンコメディの体裁に『アダプテーション』の呪いが匂ったり。
本人のおかしさを周囲が支えていることにほのぼのと慄く。
誇るべき、高い情熱、強い行動力、濃い個性、固い信念がすべてちょっとした要素で狂っていく、ジョーカー4枚入りトランプのように。
現代ドン・キホーテのサンチョ・パン作。
おまけ。
原題は、『ARMY OF ONE』。
『一人の軍隊』。
ランボーのイメージなのかな?
2016年の作品です。
上映時間が、92分。
製作国が、アメリカ。
映倫が、PG12。
キャッチコピーは、「正気じゃないけど とことん本気」。
韻だけでイマイチです。 内容まんまなんですけどね。面白味がないです。
たとえば、「とことん本気! リアル(実話)に狂気」とかね。
オサマ・ビンランディンか、オサマ・ビン・ラディンか、分かれるところですが、後者で表記されることが多いです。
ネタバレ。
ゲイリーは、少なくとも6回、パキスタンに行き、地元の言葉の一部を学び、溶け込むために長い髭まで生やしたそう。
1981〜1993年にコロラド州刑務所で、強盗、窃盗、仮釈放違反といった異なる刑期で合計約7年間の収監されたとのこと。
彼はパキスタンへは、観光ビザで入国し、聖書とプラスチックの手錠を持って行ったという。
弟にスコット・フォークナーがおり、彼は2010年の5月30日にデンバーの空港までゲイリーを送っている。
2人はゲイリーが生きて還らない可能性を話し合ったそうで、ゲイルの剣が報道された後、スコットは「彼はあなたや私と同じくらい普通です」「彼は非常に情熱的なだけです」とコメントしている。
ゲイルの妄想の原因は、透析というよりは、同時多発テロによる強烈なショックもあると言われている。
劇中で、ゲイリーがロバが自分の守護動物だというのは、まさにドン・キホーテのロシナンテを示しているのだろう。