で、ロードショーでは、どうでしょう? 第824回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ストレイト・アウタ・コンプトン』
アイス・キューブ、ドクター・ドレー、イージー・Eらによって結成された伝説的ヒップホップ・グループ“N.W.A.”の誕生から崩壊、その後の顛末を巡る知られざる真実の物語を完全映画化した音楽伝記ドラマ。
主役のN.W.A.メンバーは全員オーディションで選ばれ、アイス・キューブ役には実の息子オシェア・ジャクソン・Jrが抜擢されて話題に。
監督は『交渉人』、『Be Cool/ビー・クール』のF・ゲイリー・グレイ。
もちろん、黒人でアイスキューブとサウス・セントラルを舞台にしたコメディ『fraiday』 を作っています。
物語。
1986年、アメリカ屈指の危険な街、カリフォルニア州コンプトン。
暴力とドラッグがはびこるこの街では、黒人というだけで警察から容赦ない取り締りの対象となってしまう。
そんな中、売人のイージー・EはDJのドクター・ドレー、作詞ノートを持ち歩くティーンエイジャー、アイス・キューブらとともにN.W.A.を結成、自分たちの周りで起きている現実をラップにして世の中に訴えはじめる。
彼らの才能に目をつけたジェリー・ヘラーがイージー・Eと共同でルースレス・レコードを設立すると、たちまち大ブレイクする。
だが、その過激なリリックと成功は彼ら自身も困惑するほどの激しい衝突を生み出していく。
原案は、S・レイ・サヴィッジ、アラン・ウェンカス、アンドレア・バーロフ。
脚本は、ジョナサン・ハーマン、アンドレア・バーロフ。
出演。
コーリー・ホーキンズが、ドクター・ドレーことアンドレ。
ジェイソン・ミッチェルが、イージー・E。
オシェア・ジャクソン・Jrが、アイス・キューブ
実の息子がオーディションを受けて、勝ち取ったそうです。
インタビューでは「20年、役作りしていたようなもの」と答えているほど。
オルディス・ホッジが、MCレン。
ニール・ブラウン・Jrが、DJイェラ。
ポール・ジアマッティが、ジェリー・ヘラー。
悪徳プロデューサー役をやらせたら、当代随一。
『ラブ&マーシー』とはまた違う、差別に怒り、見る目がある男を造形。
R・マルコス・タイラーが、シュグ・ナイト。
キース・スタンフィールドが、スヌープ・ドッグ。
マーク・ローズがトゥパック・シャクール。
ほかに、アレクサンドラ・シップ、シェルドン・A・スミス、など。
ラップやDJの訓練もたっぷり受けたそう。
製作は、アイス・キューブ、トミカ・ウッズ=ライト、マット・アルヴァレス、F・ゲイリー・グレイ、スコット・バーンスタイン、ドクター・ドレー。
製作総指揮は、ウィル・パッカー、アダム・メリムズ、デヴィッド・エンゲル、ビル・ストラウス、トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ。
撮影は、マシュー・リバティーク。
熱のある撮影が最高です。
プロダクションデザインは、シェイン・ヴァレンティノ。
編集は、ビリー・フォックス。
80年代感を今のテイストでつかまえていて、現在と地続きな感覚があります。
音楽は、ジョセフ・トラパニーズ。
音楽監修は、ジョジョ・ヴィリャヌエヴァ。
伝説のHIPHOPグループ“NWA”の誕生と崩壊を描いた音楽伝記映画では、北米市場で最大のヒット作。
実際のメンバーたちが製作に関わったからこその再現度、しかも、多くのマイナス面も逃げずに描いているがゆえの痛みもきちんとある。
『ファック・ザ・ポリス』の誕生とその影響を背骨に、ドクター・ドレの彷徨を肋骨にし、強固な物語が心臓の鼓動を早くする。
映画館でさえ暴動が起きるのではないかと思えるほどの熱さに震える燃作。
おまけ。
原題も『STRAIGHT OUTTA COMPTON』。
『コンプトンから、まっすぐ外へ』で、ファーストアルバムのタイトルから。
ファースト・アルバム「ストレイト・アウタ・コンプトン (Straight Outta Compton)」は、ローリング・ストーン誌の大規模なアンケートで選出された『オールタイム・ベストアルバム500』に於いて147位にランクインしている。
N.W.A.(エヌ・ダブリュ・エー)は、 Niggaz Wit Attitudes(アティテュードのあるニガ達)の略。
メンバーは、イージー・E(Eazy-E)、MC・レン(MC Ren)、DJ・イェラ(DJ Yella)、アイス・キューブ(1989年脱退)、ドクター・ドレー(1991年脱退)。
あと、オリジナルメンバーのアラビアン・プリンス(Arabian Prince)(1988年脱退)もいますが、映画にはまったく出てきません。
上映時間は、147分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、R15+。
キャッチコピーは、「言葉で世界をぶっ壊す。」
この辺のヒップホップ抗争関連の話は、ドキュメンタリー映画『ウェルカム・トゥ・デス・ロウ』や『トゥパック:レザレクション』にも詳しいです。
ほかにも、『デス・オブ・ア・ダイナスティ/HIP HOPは死なないぜ!』(実在のヒップホップ・レーベル“ロッカフェラ・レコード”の内幕をパロディにした異色コメディ。ジェイ・Zと共にロッカフェラをヒップホップ界の一大帝国へと築き上げた立役者デイモン・ダッシュが自らメガフォンをとり、後に現実となる帝国の崩壊を、虚実入り乱れて描き出す)や、『ノトーリアスB.I.G.』なども。