菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

きゅっと、顔が変わる微笑。  『きっと、ここが帰る場所』

2012年07月11日 00時00分59秒 | 映画(公開映画)
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第322回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『きっと、ここが帰る場所』








パオロ・ソレンティーノのアメリカ進出作。


50歳を越した元ミュージシャンの長く続く人生の違和感の正体を探る、矛盾と省略と困惑と唐突のロードムービー。

どことなく不明な設定をキャスト、映像、編集、挿話が歪に突きつけ、映画ならでは味わいを残す。



のりまくったキャストの芝居が楽しい。

ザ・キュアのロバート・スミスをモデル作られたキャラを演じるショーン・ペンの顔芸は必見。
ゆっくりな動作で、突然、短気になる怒りを秘めた奇妙な役柄。
過剰演技も、このコミカルさなら珍味。

フランシス・マクドーマンドの自然体たるや。
ジャド・ハーシュ、イヴ・ヒューソン、ケリー・コンドン、ハリー・ディーン・スタントン、ジョイス・ヴァン・パタンは役に命を与える。

そして、歌まで披露する本人役のデヴィッド・バーンがドラマにその存在感で説得力を与える。




切り返しのための構図など微妙に顔にかかるなど違和感が残るように構図が作られている。

撮影は、ルカ・ビガッツィは、パオロ・ソレンティーノとコンビでの進出。
編集は、クリスティアーノ・トラヴァリョーリで、ドキュメンタリー出身ならではの大胆な編集が魅力。



痛々しさとコミカルとが、同居する、悲しくもおかしい旅。
欠けた部分を埋めているうちに、見た人それぞれの器が出来ていく。











おまけ。
『きっと、ここが帰る場所』というタイトルは、元はトーキング・ヘッズの曲名の『this must be home』を意訳した邦題。
ロードムービーなので、“ここ”というよりは、“そこ”という感じ。



ショーン・ペンが惚れこんだという前作の『イル・ディーヴォ』が見たいんだけど、ソフト化されてないのよね・・・。


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