で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1710回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
19世紀後半アメリカで、女性の結婚と幸せを巡る四姉妹それぞれの人生模様を、小説家を目指す次女ジョーの視点から瑞々しく綴る時代ドラマ。
四姉妹役は長女にエマ・ワトソン、次女にシアーシャ・ローナン、三女にエリザ・スカンレン、四女にフローレンス・ピュー。
『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ(監督・脚本)がシアーシャ・ローナンと再びタッグを組み、ルイーザ・メイ・オルコットの不朽の名作『若草物語』を現代的解釈で映画化。
物語。
1860年代のアメリカ、マサチューセッツ州。
マーチ家の四姉妹の次女ジョーの夢は小説家になること。そのためなら結婚できなくても構わないと思っていた。そんな強い信念ゆえに、周囲と衝突することもしばしば。
一方、長女のメグは結婚こそが女の幸せと信じるおしとやかでしっかり者の女性。
対照的に末娘エイミーは生意気盛りで元気溌剌な女の子。
そして、家族の誰からも愛されている心優しい三女のベスは周囲へ愛を振りまいていた。
ある日、メグと一緒に参加したパーティの会場で、近所の裕福な家庭の若者ローリーと出会う。
原作:ルイーザ・メイ・オルコット
脚本:グレタ・ガーウィグ
出演。
シアーシャ・ローナン (次女ジョー)
エマ・ワトソン (長女メグ)
フローレンス・ピュー (四女エイミー)
エリザ・スカンレン (三女ベス)
ローラ・ダーン (四姉妹の母)
ティモシー・シャラメ (セオドア"ローリー"/"テディ"・ローレンス)
クリス・クーパー (Mr.ローレンス)
メリル・ストリープ (マーチ伯母)
トレイシー・レッツ (Mr.ダッシュウッド)
ボブ・オデンカーク (マーチ神父)
ジェームズ・ノートン (ジョン・ブルック)
ルイ・ガレル (フレデリック・ベア)
ジェイン・ハウディシェル (ハンナ)
メアリーアン・プランケット
スタッフ。
製作:エイミー・パスカル、デニーズ・ディ・ノヴィ、ロビン・スウィコード
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、アダム・メリムズ、エヴリン・オニール、レイチェル・オコナー
撮影:ヨリック・ル・ソー
プロダクションデザイン:ジェス・ゴンコール
衣装デザイン:ジャクリーン・デュラン
編集:ニック・フーイ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を鑑賞。
19世紀後半アメリカ、田舎町のある四姉妹の人生模様を小説家志望の次女の視点から綴る時代ドラマ。
グレタ・ガーウィグが監督と脚本を手掛け、名作『若草物語』を現代的解釈で映画化。快活なリズムと映画ならではの時間軸操作で喜怒哀楽が雨のように降り注ぐ。
見る目の多層な捉え方で語りは年輪ごとし。
ダイジェストにならず、思い出のオーナメントを吊り下げたクリスマスツリーのよう。
全役者陣が陽を透かした木々や果実のように輝きを冠にしたシルエットを見せる。フローレンス・ピューは蜜が発光した林檎。エリザ・スカンレンのつつましやかなあり方が掬い上げる。シアーシャ・ローナンの目と手が全てを包む。
撮影の四季と光の暖かさ、美術の眼福、ああ、この編集の青々しい草原よ。
男女ともに性質の明暗を見せ、性に影落とさずに人間の歓びへ導く。
演劇、小説、絵画、音楽、舞踊、家事、祈り、遊びに誉れを、争いが遠くに居座り続けるがゆえに。
完璧な落し方に背筋が若々しい枝を広げる。
心が新緑に萌え、華々しく染まっていく。
芽、根、幹、花、枝葉、枯れ葉にまで水が行き渡る緑作。
おまけ。
原題は、『LITTLE WOMEN』。
『小さな女たち』。だが、あえて、『少さな女たち』と書きたい。
邦題は、あまり胸に入ってこないこないけど。
『リトル・ウィメン 若草物語』くらいにできなかったかのかね。
2019年作品。
製作国:アメリカ
上映時間:135分
映倫:G
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
受賞歴。
2020年の米アカデミー賞にて、最優秀衣装賞をジャクリーン・デュランが、受賞。
ほかに、70以上の賞を受賞。
撮影のヨリック・ル・ソーは『パーソナル・ショッパー』、『ふたりの5つの分かれ路』などでオリヴィエ・アサイヤスやフランソワ・オゾンの目だったベテラン。
編集のニック・フーイは、『レディ・バード』でも組んでいる、若手で、ジョナ・ヒルの監督デビュー作の『ミッドナインティーズ』が待機中。
映画慣れしていないと時間軸のズラシを読み解けないとは言いつつ、この時間軸ズラシ自体を並べるのが脳にすんなり入らないというタイプがいるのかもしれない。
『我が谷は緑なりき』を思い出した。
ネタバレ。
メタ視点にして、『若草物語』誕生前の実際の四姉妹の物語にして、ジョーへ女性の生き方への批評性を加えてる。
最後の著作権のくだりでは、女性の権利と語り手の権利についても針を刺している。