菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

暮らしの中で悪となる。 『アイリッシュマン』

2019年12月11日 00時00分10秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1630回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『アイリッシュマン』

 

 

 

第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生、その盛衰を、実在の殺し屋“アイリッシュマン”ことフランク・シーランの半生を通して描いた実録犯罪大作映画。

 

 

マーティン・スコセッシが、盟友ロバート・デ・ニーロと『カジノ』以来22年ぶり9度目のタッグを組んで、チャールズ・ブラントが2004年に発表したノンフィクションを実写映画化。

伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えた実在の殺し屋で、1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファをはじめ、多くの殺人を含む事件に関与したとされるフランク・・シーランをロバート・デ・ニーロが演じ、ジミー・ホッファ役のアル・パチーノ、ラッセル・バッファリーノ役のジョー・ペシなどのハリウッドのレジェンド級俳優が豪華共演している。

 

 

 

物語。

年老いたシーランは、回想していた。彼の半生とアメリカの裏社会の栄枯盛衰を。
フランク・シーランは全米トラック運転組合(チームスター)のドライバーとして、冷凍肉を運んでいた。ある日、マフィアに頼まれ、その肉を盗み、彼らのレストランのために横流しするようになる。
その物おじせず、まっすぐで実直な性分を買われ、彼はさまざまなことで頼りにされるように。特に、すでに伝説だったマフィアのブファリーノに目をかけられてから、それはエスカレートしていく。それは、特別なペンキ塗りの仕事にまでたどりつき、ついにはアメリカを騒がすジミー・ホッファの護衛まで頼まれ、彼と懇意になっていく。

 

原作は、チャールズ・ブラントの『I Heard You Paint Houses』。

脚本は、『シンドラーのリスト』、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の、スティーブン・ザイリアン。

 

 

 

 

出演
ロバート・デ・ニーロが、フランク・シーラン。

アル・パチーノが、ジミー・ホッファ。
ジョー・ペシが、ラッセル・バファリーノ。


レイ・ロマノが、ビル・ブファリーノ。
ボビー・カナヴェイルが、フェリックス・ディトゥリオ。
ハーヴェイ・カイテルが、アンジェロ・ブルーノ。
スティーヴン・グレアムが、トニー・プロ。

アンナ・パキンが、ペギー・シーラン。
ステファニー・カーツバが、アイリーン・シーラン。
キャスリン・ナルドゥッチが、キャリー・ブファリーノ。
ウェルカー・ホワイトが、ジョゼフィーヌ(ジョー)・ホッファ。
ジェシー・プレモンスが、チャッキー・オブライエン。
ジャック・ヒューストンが、ロバート・ケネディ。
ドメニク・ランバルドッツィが、アンソニー・サレルノ。
ポール・ハーマン
ルイス・キャンセルミ

マリン・アイルランド
セバスティアン・マニスカルコ
スティーヴン・ヴァン・ザント
ダーシャ・ポランコ
アレクサ・パラディノ
ケヴィン・オルーク
ポール・ベン=ヴィクター
ジェイク・ホフマン
バリー・プリマス
J・C・マッケンジーが、ジミー・ニール。
ジョン・セナティエンポ
ロバート・フナーロ
ジェニファー・マッジ

スティーブン・アンドレッタが、ジョゼフ・ルッソ。
トーマス・アンドレッタが、ジェレミー・ルーク。

ドン・リックルズが、ジム・ノートン。

エド・パーティンが、クレイグ・ヴィンセント。
フランク・フィッツシモンズが、ゲイリー・バサラバ。

 

 

 

 

スタッフ

製作は、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ジェーン・ローゼンタール、エマ・ティリンジャー・コスコフ、アーウィン・ウィンクラー、ジェラルド・シャマレス、ガストン・パヴロヴィッチ、ランドール・エメット、ガブリエル・イスレイロヴィッチ。
製作総指揮は、リック・ヨーン、リチャード・バラッタ、ベリー・ウェルシュ、ニールス・ジュール、ジョージ・ファーラ、ニコラス・ピレッジ、ジャイ・ステファン、タイラー・ザカリア、チャド・A・ヴェルディ。
キャスティングは、エレン・ルイス。

撮影は、ロドリゴ・プリエト。

プロダクションデザインは、ボブ・ショウ。
衣装デザインは、サンディ・パウエル、クリストファー・ピーターソン。

編集は、セルマ・スクーンメイカー。

音楽は、ロビー・ロバートソン。

 

 

 

 

 


第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生の盛衰を、実在の殺し屋“アイリッシュマン”ことフランク・シーランの半生を通して描く実録犯罪大作映画。
マーティン・スコセッシが、盟友ロバート・デ・ニーロと『カジノ』以来22年ぶり9度目のタッグを組んで、チャールズ・ブラントが2004年に発表したノンフィクションを実写映画化。
209分、20代から80代まで時間軸を行き来するが、すべてを特殊効果でロバート・デ・ニーロが演じ、その違和感は映画の新しい世界を切り開いた。本人が演じるため時代が変わっても混乱なく物語を受け止められる。もちろん、そこには若さも演じるロバート・デ・ニーロの芸が支えている。これからの演技者は新たな技巧の世界に突入する。あ、日本ではまだだいぶ先まで関係ないですか。いまやもう映画後進国ですしね。
あえての209分、個人の視点で描き出すことで、暴力的な真面目さゆえに追い込まれていく一人の男の迷えない歩みが一気見5話のドラマのごとく提出され、しかも、映画の豊かさがそこに堂々と横たわり、のめり込ませる。
周囲もアル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテルなどのレジェンド俳優が出演し、スコセッシ世界を紡いでいる。こちらも特殊効果でしっかりと役に没入させる。
いつもの多様な映画技法はやや抑え気味にして、キャラと語りに集中させている。ネットフリックスオリジナル映画ゆえの画角もまた計算されており、豪華過ぎない画面作りが庶民的になっており、たゆたう時間に揺らせてくれる。
これぞ21世紀の顔の映画。
シンプルさを幾重にも幾重にも重ねて、生活の悪を当たり前として見せる顔作。


 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

おまけ。

『アイルランド人』。
小説の原題が、『I Heard You Paint Houses』が副題のように途中でクレジットされる。
吹替版では、『
聞いたぞ、お前がーー家のペンキを塗っていると』と出ます。
 
 
 
 
 
 
 

製作国は、アメリカ。
上映時間は、209分。
映倫は、PG12。

 

 

 

Netflixで2019年11月27日から配信。配信に先立つ11月15日から一部劇場にて公開。
日本では第32回東京国際映画祭のクロージング作品としても上映。

 

 

 

若い頃のシーランもロバート・デ・ニーロが演じている。インダストリアル・ライト&マジックによるCGと特殊メイクの組み合わせによって、風貌を若返らせることで、20代から80代までを一人の俳優が演じきることが可能になった。

 

 

 

ややネタバレ。

スコセッシとデ・ニーロは『タクシードライバー』をつくり、現代に『アイリッシュマン』をともにつくっている。
『キング・オブ・コメディ』は『ジョーカー』の元になり、そこにデニーロ自身も出ている。
映画には、そういう奇跡が起こるのだという事実が救いとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

観客に話しかける第四の壁を超える演出は、最後のインタビュー依頼と繋がっているのだろう。

 

 

大作も作れず、映画技術(俳優の技術は映画だけとは言えません)は刷新されず、一部の作家によるアートは認められても、自らの力で国内でさえ戦える作家は片手に満たない程度、まともな映画祭もアカデミーも持ってない、映画業界でしか情報は共有されず、メジャーにおけるオリジナル作品も少なく、国の援助体制は微々たるもの、この状況はもはや後進国。
自国映画の制作本数は多くても、海外映画や古典の公開本数は増えても、商業的には世界第4位でも、それらが張りぼての数字であることは明白。

 

 

さすがに若い時のアクション部分は年を感じますがね。

 

 

主人公の方向性の間違った真面目さは、ギャングたちに愛されるが、家族には愛されない。
そういったちょっとしたズレ。
ホッファが言われた、感謝の示し方が下手というのも同様で、伝説的な人物でも、普通の人と変わらぬ、上手く行かなさを抱えているのを見せていたのはかなり面白い視点だなと。
そして、特殊メイク特殊効果の意味性の持たせ方の深み。他の同様の技術を使ったものと一線を画す部分。顔をモチーフにして映画を構成していた点が流石のスコセッシ。アメコミものを揶揄したのもうなづけるところだったりします。(若くする特殊効果をきっちり映画全体で使用したのは『キャプテン・マーベル』が初なので)

顔をひたすら撃ち続けるのもその一つ。

 

 

 

 

 

 

 

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