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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

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男殺し。 『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』

2017年07月30日 00時01分34秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1130回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』

 

 

  

 

 

第1次世界大戦時、ロシアの最終兵器として対ドイツ戦の最前線に送り込まれた女性部隊の実話を基に描き、ロシアのアカデミー賞といわれるゴールデン・イーグル賞で4部門を受賞した戦争ドラマ。

 

監督は、ドミトリー・メスキエフ。

 

 

 

 

物語。

1917年、第一次世界大戦末期。

ドイツ軍の毒ガス攻撃や塹壕戦によって、ロシア軍は壊滅の危機に追い込まれていた。

なにより、1914年から4年目に入った長期戦闘で軍の士気は著しく落ちていた。

そこで、苦肉の策として、プロパガンダとして、士気高揚のため、女性だけの秘密部隊を編制することになる。

集まったのは、貴族や学生、労働者など様々な身分の女性たちだった。

壮絶な訓練を耐え抜いて最前線へと送られた彼女たちは、激化する戦いの中で勇猛果敢にドイツ軍に立ち向かっていく。

 

脚本は、イリヤ・アヴラメンコ、エフゲニー・アイジコビッチ、イーゴリ・ウゴルニコフ、ドミトリー・メスキエフ。

 

 

 

 

出演。

マリヤ・アロノーヴァが、大隊長のマリヤ・ボチカリョーワ。

この感じですが、史実では27歳です。

 

マリヤ・コジェフニコヴァが、軍人の娘でリーダーのナタリヤ・タクシチェヴァ。

ロザムンド・パイク似です。

 

ニコライ・アウジンが、指導官のニコライ・セレズネフ。

 

ヴァレリヤ・シェクランドが、後にリーダーになる貴婦人のベーラ。

アローナ・クチコワが、お嬢様でオペラ歌手のナージャ。

レスヤ・アンドレーワが、召使いのフローシャ。

 

マラト・バシャロフが、大臣のアレクサンダー・ケレンスキー。

 

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、フョードル・ボンダルチュク、ドミトリー・ルドフスキー、ポール・ヘス、マイケル・シュリクト。

製作総指揮は、イーゴリ・ウゴルニコフ。

 

撮影監督は、イリア・アベルバク。

 

プロダクションデザイナーは、セルゲイ・スタルチョフ。

編集は、アレクセイ・マクラコフ、マリア・セルギエンコバ。

  

音楽は、ユーリ・ポテイェンコ。

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『BATALON』。
英語題は、『THE BATTALION』。

『大隊』ですね。

大隊(だいたい)は、陸軍編制上の戦術単位の一つ、約3~600名程度。中隊(約50~100名)の上位、連隊(約2~3000名)の下位にあたる。

隊長は中佐か少佐程度で、2から6個程度の中隊で部隊を編制(大隊から部隊と呼称され、中隊までは隊と呼称する)。ちなみに、中隊だとその編成内容(歩兵中隊や砲兵中隊など)で英語では呼び名(カンパニー、バッテリー、トループなど)が変わる。

 

2015年の映画です。

 

 

 


上映時間は、123分。
製作国は、ロシア。

 

 

 

 

キャッチコピーは、「戦え この命が尽きるまで」「第一次世界大戦 最前線で戦った女性部隊の熱き実話」

 

 

 

 

受賞歴。

2015年のホノルル映画祭にて、監督賞を、ドミトリー・メスキエフ(と制作会社のコーナーワーク)が受賞。

2016年のゴールデン・イ-グル賞にて、最優秀助演女優賞をマリヤ・コジェフニコヴァが、音楽賞をユーリ・ポテイェンコが、編集賞をアレクセイ・マクラコフ、マリア・セルギエンコバが、音響デザイン賞をアナトリー・ベロゼロフ、レフ・エズホフが受賞。

2017年のAPKIT Awardsにて、最優秀女優賞をマリヤ・アロノーヴァが、受賞。

 

 

 

 

 

 

新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」(17年7月15日~8月18日)上映作品。

 

 

南北戦争時に実在したアメリカ初の黒人部隊(北軍の第54連隊)の運命を描く『グローリー』(1989)を思い出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

ウィキによると。

ロシア婦人決死隊は、英語では"1st Russian Women's Battalion of Death"。

映画の中では、数回しか出てこないが、プロパガンダとしての意味がかなり重要だったよう。

当時、女性からの兵への志願がそこそこあったようで、ニコライ2世の許可で軍人になっていたマリア・ボチカリョーワが婦人部隊の結成を提案していた。

それをロシア暫定政府のアレキサンダー・ケレンスキー戦争大臣が厭戦ムードを払拭すべく、士気高揚のプロパガンダになるだろうと1917年5月に許可。

だが、女性を戦地に送ることを軍の中でも恥と思う者も多く、妨害があった。

(劇中でも、厳しい入隊条件、不祥事による解散宣告、全員合格などなどがそう。休暇を求めたのもその工作だった可能性も高い)

約2000名の応募があったが、最終的には約300名になった。

一か月の訓練を経て、6月には、ロシア西部戦線に送られる。

実際に、戦闘を行い、勝利し、ドイツ軍を塹壕3ライン分を押し戻した。

だが、援軍はなく、撤退してしまう(婦人決死隊の死傷者は一部だった)。

マリヤ・ボチカリョーワも負傷して、ペトログラードに帰還。

この成果が広まり、女性の志願が増え、次の婦人部隊である、第1回ペトログラード女子大隊(約1500名)が結成される。(その後、第2回モスクワ婦人決死隊、第3回クバン女子ショック大隊などが編制された。婦人部隊に入隊した人数は3~5000人程度と推測される)

だが、その編制に、マリヤ・ボチカリョーワは形ばかりの協力をしただけだった。

その後、婦人決死隊はボリシェヴィキの1917年10月の十月革命(ロシア革命)で戦闘を行った記録がある。

1917年11月、左派勢力ボリシェヴィキによる政権が、全女性軍隊の公式解散を命じた。

しかし、第1回ペトログラード女子大隊と第3回クバン女子大隊のメンバーは、1918年の初めまで戦闘を行った記録がある。

字幕に出た内戦は、ロシア内戦のこと(1918~1922年)。

1917年2月にケレンスキーによる二月革命が成功し、ケレンスキー政権が樹立。7月にボリシェヴィキによる蜂起後の10十月革命でボリシェヴィキによる政権が樹立。

その後、ロシア内を制定するために、ロシア国内の反ボリシェヴィキ勢力やロシア革命に介入した国々との戦争を行う。これがロシア内戦。

 

 

マリア・ボチカリョーワは、かなり面白い人物で、彼女の人生だけでも2本映画が出来るほど。

1889年7月に農家の家に生まれる。

15歳、1905年にアファナーシイ・ボチカリョーフとシベリアで結婚。夫の暴力に耐えかね、数年で離婚。

その後、ユダヤ人肉屋ヤーコフ・ブークと暮らしはじめるが、1912年(22歳)に彼が窃盗犯で逮捕され、ヤクーツク送りになると、そこまで追いかけ、肉屋を開店。しかし、釈放後ブークはギャングとなり、彼女にDVを行うようになる。

24歳、1914年に第一次世界大戦が始まるとニコライ二世の許可(電報を送り)を得て、ブークから逃げる。

11月にロシア帝国軍に入隊。同僚からひどいいやがらせを受けるが、戦場の活躍で認めさせ、ヤーシカ(Яшка。日本語でいうなら夜叉=女鬼)と呼ばれるように。

1915年には三度受勲、中尉になる。

26歳、1917年に婦人決死隊を編制、大隊長となる。

1917年の十月革命でも戦闘に参加。ボリシェヴィキにつかまり、死刑宣告を受けるが、自分の部下だった兵士(1915年頃の隊)により救出され、1918年にアメリカへ国外逃亡。

27歳、1918年6月にウィルソン大統領と面会し、その情熱的な訴えで協力をとりつける。回想録『ヤーシカ:農夫としての我が人生、追放と兵役』(1919年にアメリカで出版)を聞き取りで作成。イギリスに行き、ジョージ5世と面会、帰国への資金援助を得る。

28歳、1918年8月にアルハンゲリスクに到着し、再び婦人部隊を編制しようとするが失敗。

1919年4月、白軍(ロシア革命期における革命側の赤軍に対する反革命側の軍隊の総称)の提督アレクサンドル・コルチャークの下で、婦人衛生部隊を編制しようとした最中、ボリシェヴィキに逮捕される。4ヶ月の取調べの後、死刑を宣告され、秘密警察チェーカーにより1920年5月16日に銃殺。29歳だった。

 

写真も残っていて、劇中の感じに似てます。かなり情熱的だったようで、映画での描写よりも、もっと激しかったかも。

 

 

 

 

 

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2 コメント

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Unknown (めぐちゃん)
2019-11-17 19:06:34
記事を拝見して
『オバタリアン』という懐かしい漫画を思い出してました。
返信する
アン (ひし)
2019-11-18 06:24:14
『オバタリアン』は、ホラー映画『バタリアン』から引用されたタイトルですね。『バタリアン』は原題が大隊を意味する『BATTALION(バタリオン)』だったのです。
返信する

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