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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ラ・ラ・ラブ&ド・ド・ドリーム。 『ラ・ラ・ランド』

2017年03月11日 00時00分58秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1046回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『ラ・ラ・ランド』

 

 

 

 

『セッション』のデイミアン・チャゼル監督(脚本も)が、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンを主演に迎えて贈る映画オリジナルの本格ミュージカル・ラブストーリー。

 

大きな夢を抱いてLAへとやって来た男女の出会いと甘く切ない恋の行方を、カラフルかつマジカルなミュージカル・シーンと、夢と現実の狭間で苦闘する主人公2人の葛藤のドラマを織り交ぜほろ苦くもロマンティックに綴る。

 

 

 

 

物語。
現代、夢を追う人々が集う街、ロサンゼルス。

女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながら、いくつものオーディションを受けるが、役はもらえず、意気消沈の日々。ある日、パーティの帰りに車をレッカーに運ばれ、トボトボ歩いていると、場末のバーから流れてくるピアノの音色に心惹かれ、店内に入る。

弾いていたのは、彼女と以前フリーウェイで最悪な出会いをした相手セブだった。

セブは自分の店を持って思う存分ジャズを演奏したい、という夢をロサンゼルスで暮らしていたが、人に騙されたりして、厳しい現実に打ちのめされていた。

だが、そんな二人の再会。

しかし、恋が始まる気配はまるでなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

出演。

ライアン・ゴズリングが、ピアニストのセブ(セバスチャン)。

初ミュージカルですね。ダンス歌ピアノと特訓の成果が多少はあります。

 

エマ・ストーンが、女優のミア。

舞台『キャバレー』でミュージカル主演してます。

 

ジョン・レジェンドが、ミュージシャンのキース。

さすがの素晴らしい歌声。

 


ローズマリー・デウィットが、ルームメイトのローラ。

ソノヤ・ミズノが、ルームメイトのケイトリン。

彼女の素晴らしいダンスをもうちょっと見たかったなぁ。

 

J・K・シモンズが、レストランのオーナーのビル。

ここでも怖いですが、サプライズも。 

 

 

ほかに、フィン・ウィットロック、ジェシカ・ロース、キャリー・ヘルナンデス、トム・エヴェレット・スコット、ミーガン・フェイ、デイモン・ガプトン、ジェイソン・フュークス、ジョシュ・ペンス、トレヴァー・リサウアー、など。

 

素晴らしい群舞を披露したダンサーたちに拍手を。 

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、フレッド・バーガー、ジョーダン・ホロウィッツ、ゲイリー・ギルバート、マーク・プラット。
製作総指揮は、マイケル・ビューグ。

 


撮影は、リヌス・サンドグレン。

現代的な動きのあるカメラワークと落ち着いた配置と古典的なクレーンワークを組み合わせている。

 

 

プロダクションデザインは、デヴィッド・ワスコ。
衣装デザインは、メアリー・ゾフレス。

現代をハリウッド黄金時代に変えています。

 

編集は、トム・クロス。

古典と現代の技法をうまく混ぜています。

 

 

振付は、マンディ・ムーア。 
作詞は、ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール。
作曲は、ジャスティン・ハーウィッツ。
音楽は、ジャスティン・ハーウィッツ。
音楽監修: スティーヴン・ギジッキ
エグゼクティブ音楽プロデューサーは、マリウス・デヴリーズ。

 

映画オリジナルの楽曲と舞踊での素晴らしい仕事。 

まさに、新しいスタンダード。 

 

 

 

 

 

現代のLAで芝居と音楽で夢を追い求める男女が恋に落ちるミュージカル。
旧シネマスコープなど古典回帰のようで、生歌、役者主演、時間操作という現代的手法を組み込み、現在にアプローチしている。いわば温新知故。
巧と拙で歩み寄ってくる浸透感、音と舞で飲み込まれる酩酊感、騒と寂を行き来する都会感が、ここにイきたいと思わせる。
明るい曲のメロディのアレンジの繰り返し(特に『someone in the crowd(群衆の中の誰か)』のピアノ)で切なさを出し、世の陰陽を浮かび上がらせ、グッとくる。
エマ・ストーンの不気味さ、ライアン・ゴズリングの堅固さ、それがほどけていく心地よさ。
映画オリジナルならではの映画的ミュージカルの楽しさがいっぱい。
なにより、物語と気持ちに沿ったミュージカルシーンの絶妙。
夢を叶えるにはまず目覚めることと思い出させる、起きてすぐ思い出す夢のような傑作。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題も、『LA LA LAND』。

英語では、"La La Land" には、3つの意味がある。

1、カリフォルニア州ロサンゼルス
2、現実離れした世界、おとぎの国
3、現実から遊離した精神状態

表記としては、"La-La Land"になるようです。

 

ちなみに、アメリカには、La-La Land Recordsという映画のサントラを出しているレコード会社があるのです。

でも、きっと、『ラ・ラ・ランド』のサントラはこの社からは出ないのですけどね。

 

 

 

 


上映時間は、128分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。

スクリーンサイズは、シネマスコープで、昔のように最初に表示が出ます。しかも、昔の2.52:1の画面サイズだそう。 

 

 

 

 

キャッチコピーは、「夢をみていた」

まんま、La-La Landの意味からの訳ともいえますね。

タイトルを翻訳した感じにも見える。

 

 

 

 

受賞歴を書くと、もうそりゃたくさんなので、2016年の米国アカデミー賞にて、監督賞を、デイミアン・チャゼル、が受賞。

32歳1か月7日での監督賞受賞は史上最年少で、第4回アカデミー賞で『スキピイ』のノーマン・タウログ監督が打ち立てた記録(32歳8か月18日)を86年ぶりに更新した。

 

 

 

 

 

 ライアン・ゴズリングは同時期に『ナイスガイズ!』で全く違う役をやっているので、見比べるのも楽しいですよ。

 

 

 

 短い出演ですが、ルームメイト役のソノヤ・ミズノは東京生まれの日系ハーフで素晴らしいダンスを披露してます。『エクス・マキナ』での役も印象深いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

さまざまなミュージカルからの引用がある。

ストーリーは『ニューヨーク ニューヨーク』.

業界を題材にしたのは、『雨に唄えば』の影響もあるようです。

出会いのダンスで街灯に絡むのはこれの影響ですね。

 

ジャック・ドゥミ作品、中でも『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』。

これは監督自身、ミュージカルの目覚めとさえ言っている。

 

フレッド・アステア作品の『トップ・ハット』、『有頂天時代』、『バンドワゴン』など。

あと、おいらは、自分が好きな『恋愛準決勝戦』も引用元なんじゃないかな。『I left my hat in Haiti(ハイチに帽子を忘れてきた)』とかね。

(この作品の『You're All The World To Me(あなたは僕の全世界)』は『インセプション』のあるシーンの元ネタ)

 

 

エマ・ストーンは、少しミュージカル経験があるが、ライアン・ゴズリングはピアノもダンスも歌も本職ではないながら、映画用の練習で身につけている。

 

冒頭のシーンでラジオが人々を表すのは、『裏窓』から、クラクションや仕草の音から踊り出すシーンは『今晩は愛して頂戴ナ』(1932)というコメディをヒントにしたそう。

かように、多くの名ミュージカルシーンからの引用でできている映画ともいえます。 

 

これは、ウディ・アレンの映画的ミュージカルの革新作『世界中がアイ・ラブ・ユー』の影響も大きいようですね。

中でも、川沿いで、突然、飛び始めるシーンはプラネタリウムの元ネタになっています。

 

現場での生歌を使用しているシーンもいくつかあるそうで。

最近だと、『レ・ミゼラブル』からの現代ミュージカルの流れも汲んでいる。

 

がっつり歌と踊りで繋がないでドラマを進めていくのは、現代のディズニー系アニメ・ミュージカルの傾向でしょう。

途中途中のミュージカルシーンはいわゆる妄想ではなく、ミュージカルシーンであり、ひいては誰かのそうなるかもしれない気分を表しているのではないか。

わざと現実の耳障りな音から、素敵な音楽になり、そこからまた現実の音が鳴り響く、こっからミュージカル、こっから現実ですよという線引きがある。

(現実の音楽を導入にしてとか、オーディションみたいに入り口ありで入るパターンもあるけど)

きっちりと現実と少し違う現実としてのミュージカルシーンとして構成されている。

だが、最後のロングナンバーはそうなったかもしれない現実であり、ちょっと違ったけどもう過去であり、戻ってこない可能性の世界。

そう、この映画のミュージカルシーンは、夢でも妄想でもなく可能性の具現化なのではなかろうか。

こうなるかもしれない可能性の現在、こうなるかもしれなかった可能性の過去がミュージカルになっているのだ。

これは、新しいミュージカルの解釈だ。

 

 

 

 

ストーリーのどっかにあった定番感は、ミュージカルというよりは、オペレッタの頃からジャンルのスタイルなので、ホラー映画は人が死に過ぎだよと言うのと同じ。

『ニューヨークニューヨーク』の影響とか言うけど、最近作の舞台から映画化もされたミュージカル『ラスト5イヤーズ』もそこそこ似てるんだよね。(舞台版は初演2001年。余談だが、この脚本の構成は『ぼくは明日、昨日のキミとデートする』にも似ている。)

ラストも似てる(これはネタバレではなく、そこから始まる映画なので)ので、影響受けてるんじゃないのかしら。

まぁ、学生時代から構想してたそうだけど。

 

『アナと雪の女王』でもそこを言われてたけど、そもそも『雪の女王』が元ネタわけだから、ある程度のストーリーは知ってるだろうに。

古典の回帰を目指しているんだから、そういう主旨を読めない方々が物語が深くないとは言えないのではないかしら、と思ったり。

 

でも、ミアが演技のレッスンを受けたりするシーンや一人芝居をするために金策するシーンがあってもいいと思ったり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デイミアン・チャゼル監督によると、ラストのもう一つの世界は妄想ではなく、映画の世界では、これもありえたもう一つの現実と答えている。

「本当に深い感情は時空も現実も物理法則も現実も超える、ミュージカルで人々が突然踊り出すのはそれなんだ。気持ちが心から溢れたとき、天から90人編成のオーケストラが降りてきて演奏してくれるんだ。バカバカしいように聞こえるだろうけど。真実なんだ、少なくとも僕にとっては」

 

 

 

 

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