で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2158回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『マッドゴッド』
人類界から送り込まれた探索者が、異形の神々が戯れる地獄を巡っていくダーク・ファンタジー。
『スター・ウォーズ』、『ロボコップ』、『ジュラシック・パーク』をはじめ数々の大ヒット作の特殊効果を手がけてきた特撮界の生きる伝説フィル・ティペットが1990年前後から地道に制作を続け、およそ30年の時を経て、ついに完成させた長編ストップモーション・アニメ。
出演。
アレックス・コックス (探索者/暗殺者)
スタッフ。
製作:フィル・ティペット
撮影:クリス・モーリー
編集:ケン・ロジャーソン
音楽:ダン・ウール
『マッドゴッド』を鑑賞。
近未来、滅びかけた人類界の探索者が狂気の神々が暮らす地獄を降っていくダーク・ファンタジー。
『スター・ウォーズ』、『ロボコップ』、『ジュラシック・パーク』のストップモーションアニメなどの特殊効果担当し、特撮の生きる伝説フィル・ティペットが個人的につくってきた映像を繋ぎ新撮をし、30年かかって今、長編ストップモーション・アニメとして世に生まれ出た。
完成のきっかけは、自スタジオの若いスタッフが、放置されていた断片の映像を見つけ、これを完成させるべきとフィル・ティペットを動かしたからだそう。
フィルさん、仕事を始めると寝食を忘れて取り組むらしく、病気になっちゃったりするそうで、それで今作も止まっていたのだそう。
好きなイメージをつなげているので、まさに悪夢。
不気味なキャラクターに、ダークな世界観で、過激かつグロテスクな行い、なのにどこかユーモラスな視点で、悪夢の世界を旅させる。
地獄巡りとして、特にストーリーも無いのですが、それ去年神の世界であり、映画の悪夢を見る。全部ストップモーションでもなく、実際の人間による映像もあることで、異世界観が加わり、どこかにあったこれはどれぐらいの大きさなのかというスケール感を失い、大きなスクリーンで見ることでその感覚がさらに倍増、映画を観ている自分自身の輪郭さえ怪しくなっていく、なんだこの感覚。体験映画の新スタイルとも言える。
言葉通り、まさに見たことのない世界。
これぞ、起きて見る悪夢。
熱にうなされた時に見る夢みたいな感じなので、この映像にもその熱が映っているかのよう。
あれ、このフィルム生きているんじゃないか、とさえ思わせる。
(実際のフィルム撮影なので)
デジタルにこれ、孕める日がくるのか。
眼で見ているものの中に届かないのに、触れてないのに、手触りがある。
映画館の暗闇と相まって、脳のいろんな場所が動き出す。
椅子が柔らかくなって形を変えてないか掴んで確かめる。
精神という言葉には神が宿っている粘作。
おまけ。
原題は、『MAD GOD』。
『狂神』。
2021年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:84分
映倫:PG12
配給:ロングライド