で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1861回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『アウトポスト』(2020)
2009年のアフガニスタンで最悪の立地条件のアメリカ前哨基地がタリバンからの総攻撃を受ける戦争アクション。
アフガニスタンで米軍とタリバンの最大の戦闘の一つとされる“カムデシュの戦い”を完全再現している。
主演はスコット・イーストウッド。
共演は、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルーム。
監督は、『ザ・コンテンダー』のロッド・ルーリー。
物語。
2009年10月、ロメシャ2等軍曹らが派遣されたのは、アフガニスタンに展開する米軍の重要拠点とされるキーティング前哨基地(アウトポスト)。
そこは、四方を山に囲まれた谷底にあり、敵からの攻撃に多くの弱点を持つ最悪の立地だった。タリバンとの武力差と住民の協力だけがアメリカ軍を支えていた。
だが、毎日ともいえる銃撃と敵の総攻撃という疑念が基地に蔓延し、不穏な予感は慣れに変わっていく。
原作:ジェイク・タッパー
脚本:ポール・タマシー、エリック・ジョンソン
出演。
スコット・イーストウッド (クリント・ロメシャ2等軍曹)
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ (タイ・カーター特技兵)
オーランド・ブルーム (キーティング大尉)
ジャック・ケシー (ジョシュ・カーク3等軍曹)
コリー・ハードリクト (ヴァーノン・マーティン3等軍曹)
マイロ・ギブソン (ロバート・イエスカス大尉)
ジェイコブ・スキーピオ (ガルエゴス)
テイラー・ジョン・スミス
ジェームズ・ジャガー
ジョナサン・ヤンガー
クワァム・パターソン (ブロワード大尉)
ジョージ・アーヴィッドソン (コロドヴァ大尉)
スタッフ。
製作:マーク・フライドマン、ジェフリー・グリーンスタイン、ジョナサン・ヤンガー、レス・ウェルドン、ポール・メリーマン、ポール・タマシー
製作総指揮:アンドレイ・ゲオルギエフ、アヴィ・ラーナー、トレヴァー・ショート、ロバート・ヴァン・ノーデン、ボアズ・デヴィッドソン、ジョン・カラファティス、トミー・ヴラホプーロス、ジョアンナ・カラファティス、ジェイク・タッパー、エリック・ジョンソン
撮影:ロレンツォ・セナトーレ
プロダクションデザイン:P・エリク・カールソン
衣装デザイン:アンナ・ジェリノーヴァ
編集:マイケル・ドゥーシー
音楽:ラリー・グルーペ
『アウトポスト』(2020)を鑑賞。
2009年アフガニスタンで最悪の立地条件のアメリカ前哨基地がタリバンからの総攻撃を受ける戦争アクション。米軍とタリバンの最大の戦闘の一つ“カムデシュの戦い”完全再現。
前半の不穏と後半の戦闘ともはやホラー映画のような危機と戦闘のつるべ落とし。
章が交代する指揮官ごとになっており、なかなか珍しい構成。
人数が多いのでキャラに字幕で名前が出るけど、それでも覚えづらいからロメシュとカーターとガルエゴスだけ覚えておけばよい。あとは、その時ごと気になったらで。
空間をあえて把握させないことで、混乱を演出しているが、後半はもうちょっとわからせて欲しかった。
とはえい、実話でまだ生きている方々が多いので、なかなかリアルな人物造型と出来事の奇なり感。現代戦争の恐ろしさを体感できる、映画の戦闘の代名詞『プライベート・ライアン』は第二次世界大戦だからね。現代戦闘の代名詞と言っていいと思う。戦争戦闘描写の質で『突撃』→『地獄の黙示録』→『プライベート・ライアン』→『ブラックホーク・ダウン』→『シンレッドライン』→『ワンス・アンド・フォーエバー』→『ハートロッカー』→『ハクソー・リッジ』→『ダンケルク』→『1917』に続く。
『ハクソー・リッジ』から採用されるようになった新しい爆破効果がふんだんに使われて迫力満点。
映画館の音響で浴びる弾幕は戦争映画の両面(恐怖と興奮)に引き裂く。
ドラマの薄さがまた怖い。
全キャストの献身を感じます。スコット・イーストウッドの若い渋みと普段と逆のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの正気を見よ。脇キャラ愛も。
アメリカ軍ではあく、兵士への追悼で、アメリカ軍や組織への批判(それはアフガニスタン側にも向けられる)がしっかりとある。
アウト(問題ある)なポスト(立場)に行かされる尿作。
おまけ。
原題は、『THE OUTPOST』。
『前哨基地』。
2020年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:123分
映倫:G
配給:クロックワークス
同名の『アウトポスト』(1995)というSFスリラーがあります。
質が高い戦闘描写の戦争映画を時代別でいくつか。
南北戦争:『パトリオット』
第一次世界大戦:『突撃』、『1917』
第二次世界大戦:『プライベート・ライアン』、『シンレッドライン』、『スターリングラード』(1993)、『スターリングラード』(2000)、『フューリー』(2014)、『ハクソー・リッジ』
ベトナム戦争:『地獄の黙示録』、『ワンス・アンド・フォーエバー』、『デンジャー・クロース 極限着弾』
現代戦争:『ブラックホーク・ダウン』、『ハートロッカー』、『ホースソルジャー』、『アウトポスト』、『アルマジロ』(ドキュメンタリー)
SFや個人戦闘だと『トゥモロー・ワールド』、『タイラー・レイク -命の奪還-』も。
ネタバレ。
リアルではあるが、やはり専門家が見ると、軍備などでちょくちょくおかしな点はあるようですが、リアルとどう違うかの検討が難しいとも。理路整然と全てのデータが残る戦争などほぼない。戦争とは混乱と同義ともいえるのだ。
アフガン軍兵が逃げ出したのは史実。
ただ、戦った兵士もいた(劇中でも戦っている兵士が写っている)。
戦死したアフガン軍兵士は4名いた。
指揮官で章立てしているように、上下の関係を画面と構成に反映させている。
ヘリで山の中の平地に降りる兵らは、一番底にいる。
そこで上層部に翻弄され、敵もまた上から攻撃してくる。
指揮官もみなトラックで落ちる、橋の上で爆殺、下の世話をさせるなど、上下が意識されるような描写になっている。(実話だとしたらまさに奇なりだ)
地面を這って生き延び、生き残った兵士たちはヘリで去る。