で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1560回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『サマー・オブ・84』
1984年のアメリカの郊外住宅地を舞台に、近隣で発生した連続殺人事件の犯人探しに夢中になる少年たちの危険な冒険をノスタルジックな筆致で描くジュブナイル・サスペンス・スリラー。
長編デビュー作となる前作『ターボキッド』で世界的に注目されたカナダの3人組監督ユニット“RKSS”(フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル)が80年代オマージュ満載で贈る。
物語。
1984年、夏。アメリカ、オレゴン州イプスウィッチ。
15歳の少年デイビーの趣味は、TV記者の父親の影響もあり、怪奇事件や猟奇的犯罪などの記事収集。彼の友人イーツ、ウッディ、ファラディにもからかわれていた。
周辺の町で、15人以上の行方不明者が出ており、特にデイビーと同じ年頃の子供が10人以上消えていた。その犯人から警察に、私が連続殺人犯だという告白の手紙が届く。だが、そこに手がかりはなく、捜査は難航していた。
デイビーはひょんなことから向いの家に住む警官のマッキーが犯人ではないかと、ある出来事から強く疑うようになる。
仲良し4人組で彼を捜査することにする。
出演。
グレアム・ヴァーシェールが、デイビー・アームストロング(デイビー)。
ジュダ・ルイスが、トミー・イートン(イーツ)。
ケイレブ・エメリーが、デール・ウッドワース(ウッディ)。
コリー・グルーター=アンドリューが、カーティス・ファラデイ(ファラディ)。
リッチ・ソマーが、警官のウェイン・マッキー。
ティエラ・スコビーが、ニッキ・カスズバ(DJニッキ)。
アレン・ブッチホルツが、カイル・イートン。
ジェイソン・グレイ=スタンフォードが、ランダル・アームストロング。
シャウナ・ジョハンセンが、シェイラ・アームストロング。
スージー・カスティロが、ブレンダ・ウッドワース。
スタッフ。
製作は、ショーン・ウィリアムソン、ジェームソン・パーカー、マット・レスリー、ヴァン・トフラー、コーディ・ズウィーグ。
製作総指揮は、フローリス・バウアー。
撮影は、ジャン=フィリップ・ベルニエ。
プロダクションデザインは、ジャスティン・ルートヴィヒ。
編集は、オースティン・アンドリュース。
音楽は、ル・マトス。
84年アメリカ、連続殺人事件の犯人捜査に夢中になる少年たちの危険な夏を描くジュブナイル・サスペンス・ホラー。
80年代アメリカ映画色を色濃くし、語り口や音楽まで丁寧に拾いつつ、現代的細やかさと現在だからこその視点が貫かれる。
オマージュのうまいチームの本領発揮を味わう。
キャラが記号化に埋没しちゃってるのはちょい惜しいか。
前半のゆるい展開も後半のテンポアップと一つずつ歩を進める語り口に物語愛を感じずにはいられない。
『フライトナイト』殺人鬼版、『ディスタービア』が『裏窓』現代版だったの似て非なるところが映画の面白いところ。リメイク『フライトナイト/恐怖の夜』が21世紀化したのとは真逆の方向性なのも含めて。
警官役のリッチ・ソマーがいい気味悪さ。ケイレブ・エメリーがMVP。
空間配置がいまいちなのは残念。
撮影の雰囲気はかなりよく、暗さがほどよい。
シンセのBGMもいいんですよ。
閉じ込めるというモチーフもきちんとあります。
中学生の世界への恐れに開かれた窓作。
おまけ。
原題は、『SUMMER OF 84』。
『84年の夏』。
2017年の作品。
上映時間は、106分。
製作国は、カナダ。
映倫は、R15+。
キャッチコピーは、「連続殺人鬼も誰かの隣人だ」。
劇中でも重要な言葉として冒頭に出てきます。
オレゴン州は海がある州なので、イプスウィッチは海沿いの町らしい。
だから、ベイ(湾)・フェスタが開かれているのだろう。
ややネタバレ。
有名な、【イプスウィッチ連続殺人事件】はイギリスのイプスウィッチでの事件。
なぜアメリカ人は、自転車にスタンドをつけないのか。
話題の『メランコリック』と近似なテーマとアプローチなのは作家のシンクロニシティですかね。並べて観るとかなり興味深いですぜ。
ネタバレ。
イーツとファラデーは、本気にせずに裏切ったことで、距離が生まれている。
ニッキも引っ越すし、ウッディのお母さんもあれではうまく行かないだろう。
信頼がいかに大事かを逆説的に見せている。デイビーの両親が息子を信じていたら、イーツとファラデーの行動も変わったのではないか。
次のターゲットにデイビー家族を選んでいたから、屋根裏部屋へ忍んでいたのだろう。