女ひとり、歳をとる。

お金なしの60代、犬2匹と同居中。

不自由な自由。

2021-03-30 12:45:00 | 映画

 

きのう『ノマドランド』を観ました。

アメリカでノマドと呼ばれている車上生活者の人生を、

先回アカデミー賞で主演女優賞を受賞した

フランシス・マクド―マンドが、主人公のファーンを演じています。

企業の倒産によってすべてを失い、

キャンピングカーに生活の必要なものを積み込んで、

長年住んでいた街を出ます。

 

Amazonやキャンプ場、農作業、その他いろいろなパートが、

その日暮らしを支えていました。

ノマドのコミュニティに参加しながら、

親しい人たちができていきますが、

一緒には行動せずに、またねと言って別れるのです。

 

ファーンの車は小さなバン、

足を折り曲げて眠り、トレイはバケツで済ませます。

夜、車を停める所は有料です。

ある日、車が故障してしまい修理を依頼しますが、

修理代が車の売価の半分ぐらいするので、買い替えを提案されます。

でも、ファーンは言います。

「この車はただの車じゃない。長い間ひとつひとつ作り上げたわたしの家なの」

金銭的に追い詰められていますが、

生活のつましさよりも、自由さを感じました。

 

淡々とした日常が、広大なアメリカの景色と共に描かれていきます。

都会で価値観の違う人たちと交流しながらの暮らしは、

ファーンにはなじまない、

姉や、親しくなったノマドの男性から、一緒に暮らそうと言われますが、

ファーンはまたひとり、車で走り出すのです。

 

30年ほど前にアメリカでキャンプをしたことがありました。

とても大きなキャンプ場で、

キッチンやシャワー、ジャグジーなどがありました。

わたしたちはテントのゾーンに泊まりましたが、

近くのキャンピングカーのゾーンを見に行くと、

たくさんのキャンピングカーの中には、

タイヤを外して、表札やポストを出して、

きれいに花々が植えられている所がいくつもありました。

リーマンショック後に増えたというノマドですが、

アメリカには車で生活するという素地があったのかもしれません。

このコロナ禍でノマドが増えるともいわれています。

 

映画の評価は高いのですが、

いつも、笑いながら死ねたらいいな思っているわたしには、

笑顔のないファーンの映画は少し辛かったです。

 

白いスミレも咲きだしました。

これから右目の手術に行ってきます。