物部の森

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所有不動産について本気で考えているか?

2009年04月26日 | Weblog
 日経ビジネス4月13日号の「1300万人が抱えるマンションリスク」という特集記事は、普段住居について考えていることと関係することが書いてあり、かなり興味深く読めた。人口が減る中で、毎年新たなマンションが大量に供給され続け、既存のマンションは短期間でデフレ圧力によりその価値を失っていくという話である。
 事例の一つとして、あるマンションの修繕積立金値上げの話が紹介されていた。80年代に建てられたその物件は、新築時に設定されていた修繕積立金では大規模修繕コストをまかなうことができず、結果、現在は新築時の10倍もの積立金を徴収されているという。確かに新築時点では長期に渡り精緻な資金計画を立てるのは相当困難であり、長年経過した後で計画の改定、ひいてはそれによる修繕積立金の値上げというのは当然考えられることである。

 私が個人的に心配するのはさらにその先の話である。老朽化したマンションの最後(最期)をどうするのか?ということ。
 使用されたRCの材質や竣工後のメンテナンスの良し悪しでマンションの寿命は30年~100年くらいの幅が出るらしいが、一般的にはその間をとって?耐久年数は50~60年といわれている。また通常、修繕積立金は、外壁の塗り替えだとか屋上防水工事だとかの大規模修繕工事のための費用であって、建替え費用は想定していない。いくら小補修や大規模修繕を重ねてもマンションは老朽化していく。そうして最後、入居者たちは、その物件を建替えるのか、あるいは解体して更地にし売り払うのか等々、終(しま)いについて判断を迫られるのである。新しいマンションであれば、その判断をする役目は現在居住している「現役世代」ではなく、その「孫世代」くらいが担うことになる。管理組合の修繕積立金の残高、居住者個々の資産状況、融資の有無、またどこまでそこに住み続けるのかというこだわり、等々で入居者の合意形成まで辿り着くのは難しい。

 日本にRCのマンションが本格的に建ち始めたのは、1960年代からである。現在既築マンションのストックは540万戸、そのうち築30年以上経過した「建て替え予備軍マンション」は63万戸。これらが随時「終局」を迎えることになるのだが、実際建て替え工事を完了したマンションは全国でまだ120件余りしか例がない。つまり今後、「この古いマンションどうすんねんっ!?」という話がぞくぞくと噴出してくるのである。

 そしてもちろん、これは集合住宅に限ったことではない。戸建住宅だと長期修繕と建て替えについて、その責任と判断は入居者単独で行うことになる。管理組合といった組織がない分、施主が意識して計画的に行わなければならない。
 私は現在住んでいる家については、後輩の建築士に依頼して、外装・内装・設備等をチェックし、残り寿命と改修・更新にどれくらい費用がかかるかを算出してもらった。これをもとに長期に渡ってこの家をどうしていくか考えていく。
 微々たる利息の差を追い求めて、よく分からない金融商品を研究するならば、手持ち不動産の資産価値を、どのように維持向上させていくかに腐心する方が賢明である。
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