行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

メニエール病 最初の発作 ①

2015-11-18 10:13:56 | 日記・エッセイ・コラム

 30年以上前、朝、布団から上半身を起こした途端、突然目が回った。尋常なめまいではない。目が眩むというのではない。本当にくるくると回る。しかもだた回るのでなく、約180度余り回ったと思ったら、瞬時にもとにもどる。そしてまた回る。これが凄い勢いで延々続く。

 ガクッと倒れるようにもう一度布団に仰向けになった。めまいは止まらない。目を開けてられなくて閉じた。でも閉じれば今度は暗闇が回る。止まらない。何だこれはと思うが、初めての経験で全く分からない。暗闇が回るよりも見える物が回った方が少しは楽なような気がして目を開けてみたが変わらない。また目を閉じた。

 少しの間、10分位か?でもとても長く感じたが、じっとしていたら少し楽になった。気分は悪い。頭痛も吐き気もする。でもくるくる回る感じは殆どなくなった。

 もしかして大丈夫か?今何時だろう?とりあえず時間だけ確認しようと恐る恐る目を開けて視界の隅にある壁掛け時計を見るために首を僅かに右に回した。途端、またくるくると凄い勢いで目が回る。少しでも頭を動かすと駄目なようだ。慌ててそのまま固まった。

 8時。土曜日で会社は休み。その点はまずクリア。

 近くに少し大き目の病院があった。何科にかかればいいのか分からないが、這ってでも行ける病院といえばそこしかない。歩いて5分もかからない。よたよた這うようにして行っても10分はかからないだろう。救急車を呼ぶより早い。第一救急車なんて目立つことは真っ平だ。9時からだったと思う、土曜日は開いていたと思う。閉まっていれば致し方ない、確か病院の前に電話ボックスがあったから、そこから救急車を呼ぼう。それまで、9時少し前まで、耐えていよう。

 冬の朝、起きようとして布団を半分以上めくった状態で倒れたので、布団は膝までしか掛かっていない。寒い。寒さの感じ方がひどいのはめまいにかかわる病気のせいかも分からなかったが、さっきからガタガタ震える。歯が鳴る。このままでは時間まで我慢できない。

 頸はさっき時計を見たまま固まっている。やや不自然な姿勢。頸が痛い。直したいが、頭を動かすとまた目がまわるだろう。布団を掛けようとしても頭は動く。これもまた目が回る。しかしこのままじっとはしていられない。そこで考え直した。9時まで待つことはない。いっそのこと起き上がって、コートだけ羽織って、財布と保険証を持って病院へ行こう。目が回っても病院までなら耐えられるかもしれない。9時前でも誰かいるだろう。診てくれるかもしれない。

 駄目だった。起きようとして僅かに頭が動いた途端、激しいめまいが戻ってきた。そこまでは織り込み済みなので、めまいを無視して上半身を起こして、立ち上がろうと膝を曲げた。でもそこまでが限界だった。身体を動かせば動かすほどめまいはひどくなる。グルングルンと遊園地のティーカップに入れられたようだ。回るスピードが速くなる。何とか布団の端を掴んで倒れるように仰臥の姿勢に戻った。