行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

いったいこいつは誰に似たのか?

2015-11-14 09:39:38 | 日記・エッセイ・コラム

 男の子は弱いと言うが、うちの息子も例外ではなく、二歳から三歳頃は二か月に一度は夜間診療所へ連れて行った。

 その後は他人に比べ特に弱いという事は無かったが、20年近く前の小学一年の頃、風邪をひいた時のこと。朝、具合が悪く、熱も高かったので、もう少し様子を見て、駄目なら学校を休ませたら、と女房に言って家を出た。

 仕事から帰ると、少々の熱では飛び回っている子が、顔を真っ赤にして息も荒くリビングの床に敷いた布団にくるまっている。ハーハー荒い息をして苦しさを訴える。

 「お父さん、ぼくもう駄目!死ぬ!苦しい!ぼく死んじゃう。病院行く」

 私の手を求め、握りしめてくる。眼にはうっすら涙さえ滲んでいる。

 ところが、傍らの母親に目をやると、そんな息子を無視して、TVを見ながらミカンなど食べている。児童虐待?ネグレクト?そんな言葉が頭に浮かぶ。

 「おい!何とかしてやれよ!頭冷やしてやるとか、身体撫でてやるとか、抱いてやるとかさあ」

 少し口調がきつくなった。すると、さらにきつい口調で反撃された。

 「もーう!うるさい。誰に似たのか、大げさなんだから。何処で覚えたのか朝から死ぬ死ぬってうるさくてしょうがない。学校は休ませました!病院にも連れて行きました!少し喉が赤いだけ!お腹に優しい物を食べておとなしくしてればすぐ治るって」

 「だって、こんなに苦しがってるじゃないか」

 「午前中に病院へ連れて行って、帰ったらすぐお腹がすいたと言うからおかゆさん食べさせて、その後、カステラも食べて、寝かせようとしたら私に抱きついてきて放してくれないから、夕方まで一緒に寝てたの。掃除する間だけ自分のベッドで寝てなさいと言っても駄目。だから何もできなかったの。掃除も洗濯も貴方の食事の用意も!だって、起きようとすると抱きついてきて死ぬ―!死ぬ―!って、放してくれないんだもん。そのくせ婆ちゃんがお見舞いってメロン持って来てくれたら、少しにしなさいよっていうのに四分の一ペロッと食べて、今まで、飛び回ってたの。やっとここだけ掃除機かけて、寝てなさいって怒ったら、またお腹が痛いだの、死ぬだのっていうから無視して放っておいたの。熱は下がってる。子供の37度位は平熱よ!顔が赤いのは騒いだから。頭を冷やさないのは熱は下がってるから。死ぬ―、死ぬ―ってうるさいのは、私に無視されたからあなたに甘えてるだけ!さっきまで婆ちゃんにもそう言って甘えてた。誰かさんに似て大袈裟なの!もう、頭きた!婆ちゃんも児童虐待みたいに言うし、いつもの事じゃない!ほっとけばいいの!それより、そういうことで、夕飯作ってないけど宅配ピザでいい?久し振りに私も食べたいし」

 すると下から息子が苦しそうな声で

 「ぼくミックスピザがいい。ピーマン抜きね。チキンもつけて、あとコーラも」

 さて、この性格、誰に似たのか?私ではないと思うのだが。