遠方銀河までの正確な距離の測定から、
ハッブル定数の値が73.2と高精度で求められました。
この値は、宇宙の膨張速度が従来の予測より5~9%も速いことを示していて、
まだ解明されていない力が働いているようです。
ハッブル定数
今回の研究では、
ハッブル宇宙望遠鏡とハワイのケック望遠鏡を用いた観測で、
現在の宇宙の膨張率を測定しています。
宇宙の膨張率は、
ある銀河までの距離とその銀河の後退速度(私たちから遠ざかっていく速度)から、
知ることができます。
そこで、銀河までの距離を測定するため研究チームが行ったのは、
ケフェイド変光星とIa型超新星の両方が存在する銀河を探し出すことでした。
ケフェイド変光星の変光周期は絶対等級と関係があり、
周期から本来の明るさを知ることができます。
また、Ia型超新星は遠方にあっても観測できるほど明るく、
本来の明るさが全て一定とされています。
どちらも真の明るさを理論的に知ることができるので、
それと見かけの明るさとを比較することで、
天体まで(=天体が属する銀河まで)の距離を求めることができるんですねー
研究チームは、両タイプの天体が存在する銀河までの距離を測定してデータを較正し、
さらに遠方銀河に存在する約3000個のIa型超新星までの距離を計測。
一方で銀河の後退速度は、
銀河からの光の波長が、どの程度引き伸ばされているかを測定して知ることができました。
そして銀河の距離と後退速度から求められた、
ハッブル定数として知られる宇宙の膨張率を表す値は、
73.2km/s/Mpcとなりました。
この値が表しているのはは、
1Mpc離れるごとに膨張速度が秒速73.2km大きくなるということ。
1メガパーセクトは約326万光年。
未知の力の存在
今回求められた現在の宇宙のハッブル定数は、
不確定性が2.4%しかない極めて正確な値でした。
でも、ビッグバンの残光である宇宙背景放射の観測から予測されるものとは、
合致していないんですねー
NASAのマイクロ波観測衛星“WMAP”による観測から予測される値は今回の結果より5%小さく、
ヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星“プランク”のデータによる予測は9%小さいからです。
この違いを説明できる可能性があるのが、
宇宙を加速膨張させているダークエネルギーのふるまいや、
ダークマターの未知の性質です。
今回の結果は、
宇宙の95%を占めているダークエネルギーやダークマター、
暗黒放射といったものの謎に迫る、重要な手がかりになるのかもしれません。
こちらの記事もどうぞ
宇宙膨張の謎を解く立体地図
宇宙の加速膨張に迫る “バリオン音響振動分光サーベイ”
宇宙の3次元地図を作ってみると、一般相対性理論の正しさが検証できた
ハッブル定数の値が73.2と高精度で求められました。
この値は、宇宙の膨張速度が従来の予測より5~9%も速いことを示していて、
まだ解明されていない力が働いているようです。
ハッブル定数
今回の研究では、
ハッブル宇宙望遠鏡とハワイのケック望遠鏡を用いた観測で、
現在の宇宙の膨張率を測定しています。
宇宙の膨張率は、
ある銀河までの距離とその銀河の後退速度(私たちから遠ざかっていく速度)から、
知ることができます。
そこで、銀河までの距離を測定するため研究チームが行ったのは、
ケフェイド変光星とIa型超新星の両方が存在する銀河を探し出すことでした。
りゅう座の銀河UGC 9391。 ○の部分はケフェイド変光星、×の部分はIa型超新星2003du。 |
ケフェイド変光星の変光周期は絶対等級と関係があり、
周期から本来の明るさを知ることができます。
また、Ia型超新星は遠方にあっても観測できるほど明るく、
本来の明るさが全て一定とされています。
どちらも真の明るさを理論的に知ることができるので、
それと見かけの明るさとを比較することで、
天体まで(=天体が属する銀河まで)の距離を求めることができるんですねー
ハッブル定数を求めるための3ステップの説明図、 天の川銀河の中(太陽系の近く)はケフェイド変光星とその視差、 近傍銀河はケフェイド変光星とIa型超新星、 遠方銀河はIa型超新星を用いて測定。 |
研究チームは、両タイプの天体が存在する銀河までの距離を測定してデータを較正し、
さらに遠方銀河に存在する約3000個のIa型超新星までの距離を計測。
一方で銀河の後退速度は、
銀河からの光の波長が、どの程度引き伸ばされているかを測定して知ることができました。
そして銀河の距離と後退速度から求められた、
ハッブル定数として知られる宇宙の膨張率を表す値は、
73.2km/s/Mpcとなりました。
この値が表しているのはは、
1Mpc離れるごとに膨張速度が秒速73.2km大きくなるということ。
1メガパーセクトは約326万光年。
未知の力の存在
今回求められた現在の宇宙のハッブル定数は、
不確定性が2.4%しかない極めて正確な値でした。
でも、ビッグバンの残光である宇宙背景放射の観測から予測されるものとは、
合致していないんですねー
NASAのマイクロ波観測衛星“WMAP”による観測から予測される値は今回の結果より5%小さく、
ヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星“プランク”のデータによる予測は9%小さいからです。
この違いを説明できる可能性があるのが、
宇宙を加速膨張させているダークエネルギーのふるまいや、
ダークマターの未知の性質です。
今回の結果は、
宇宙の95%を占めているダークエネルギーやダークマター、
暗黒放射といったものの謎に迫る、重要な手がかりになるのかもしれません。
こちらの記事もどうぞ
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宇宙の加速膨張に迫る “バリオン音響振動分光サーベイ”
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