信州大学などの研究グループが、クエーサーを3年以上にわたってモニター観測し、
クエーサーから放出されるアウトフローが、時間変動する原因を確認したんですねー
どうやらクエーサーからの放出には、
クエーサーの明るさの変動が関わっているようです。
アウトフロー
遠方宇宙の銀河には、
その中心部分が銀河全体に比べておよそ100倍以上の明るさで輝く、
“クエーサー”というタイプのものがあります。
そして“クエーサー”からは、
アウトフローと呼ばれるガスが高速で噴き出しています。
アウトフローには、大きなエネルギーと様々な元素が含まれていて、
自身が属する銀河だけでなく、周辺各所に大きな影響をもたらしているんですねー
なので“クエーサー”の研究において、
アウトフローは重要な要素の1つになります。
ただ、アウトフロー自身は輝かないので、
背後にある発光領域の光を吸収した痕跡(吸収線)を調べることになります。
吸収線の変動
アウトフローの吸収線は、
数か月から数年という長い時間スケールで変動していて、
このことは、アウトフローのガス密度や温度が変動していることを示しています。
でも、時間変動の原因はよく分かっていないんですねー
変動を説明する様々な仮説のうち最も有力視されているのは、
“クエーサー”の明るさが変化すると、アウトフロー中の特定イオンの相対的な量が変化し、
対応する吸収線の強度が変化するというもの。
この説は“電離状態変動シナリオ”と呼ばれ、
検証するには長期にわたるモニター観測が必要になります。
モニター観測
今回の研究では、
東京大学木曽観測所の木曽105センチ シュミット望遠鏡/
KWFC(木曽広視野カメラ)
国立天文台岡山天文天体物理観測所の188センチ反射望遠鏡/
京都岡山可視低分散分光撮像措置(KOOLS)
が用いられています。
長期モニターは2012年から3年以上にわたり、
9つの“クエーサー”の観測を行いました。
線幅が広いBALという分類の吸収線を持つ“クエーサー”のモニター観測では、
すでに仮説を支持する結果が得られています。
なので今回の研究では、
観測対象を幅の狭い吸収線であるNALを持つ“クエーサー”に絞ることになります。
かんむり座の方向にあるNALを持つ“クエーサー”“HS 1603+3820”では、
3年間の間にクエーサーがまず暗くなり、その後明るくなりました。
一方、アウトフローによる吸収強度は増加後に減少し、
変動パターンに数か月のズレがあるものの両者の同期が確認できました。
クエーサーの変光によってイオンの電離や再結合が起こり、
吸収に寄与するイオンが増減したことが変動の理由だと考えられ、
NALを持つクエーサーに対しても“電離状態変動シナリオ”が適用できることを、
示す結果になりました。
ただ、“HS 1603+3820”で確認された光度変動の最大値は、
およそ0.23等級(クエーサーからの光の量が20%減)になり、
この値は吸収強度の変化を説明するには小さすぎるという問題が残ることに…
他のクエーサー8天体の変光幅も0.3等級程度で、
吸収強度の変化に必要な変光量には遠く及びませんでした。
どうやら、アウトフローの時間変動を説明するためには、
クエーサーの変光の他にも、何か別のメカニズムが同時に働く必要がありそうです。
アウトフローよりも高温状態にある別のガス(暖かい吸収体)の変動が、
可能性のある要因の1つと考えられるので、
研究グループではX線での同時モニター観測を計画しているそうです。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 100億光年彼方のクエーサーを複数アングルから観測
クエーサーから放出されるアウトフローが、時間変動する原因を確認したんですねー
どうやらクエーサーからの放出には、
クエーサーの明るさの変動が関わっているようです。
アウトフロー
遠方宇宙の銀河には、
その中心部分が銀河全体に比べておよそ100倍以上の明るさで輝く、
“クエーサー”というタイプのものがあります。
そして“クエーサー”からは、
アウトフローと呼ばれるガスが高速で噴き出しています。
クエーサーから吹き出すアウトフローのイメージ図(白く竜巻状に描かれた部分) |
アウトフローには、大きなエネルギーと様々な元素が含まれていて、
自身が属する銀河だけでなく、周辺各所に大きな影響をもたらしているんですねー
なので“クエーサー”の研究において、
アウトフローは重要な要素の1つになります。
ただ、アウトフロー自身は輝かないので、
背後にある発光領域の光を吸収した痕跡(吸収線)を調べることになります。
吸収線の変動
アウトフローの吸収線は、
数か月から数年という長い時間スケールで変動していて、
このことは、アウトフローのガス密度や温度が変動していることを示しています。
でも、時間変動の原因はよく分かっていないんですねー
変動を説明する様々な仮説のうち最も有力視されているのは、
“クエーサー”の明るさが変化すると、アウトフロー中の特定イオンの相対的な量が変化し、
対応する吸収線の強度が変化するというもの。
この説は“電離状態変動シナリオ”と呼ばれ、
検証するには長期にわたるモニター観測が必要になります。
モニター観測
今回の研究では、
東京大学木曽観測所の木曽105センチ シュミット望遠鏡/
KWFC(木曽広視野カメラ)
国立天文台岡山天文天体物理観測所の188センチ反射望遠鏡/
京都岡山可視低分散分光撮像措置(KOOLS)
が用いられています。
長期モニターは2012年から3年以上にわたり、
9つの“クエーサー”の観測を行いました。
線幅が広いBALという分類の吸収線を持つ“クエーサー”のモニター観測では、
すでに仮説を支持する結果が得られています。
なので今回の研究では、
観測対象を幅の狭い吸収線であるNALを持つ“クエーサー”に絞ることになります。
かんむり座の方向にあるNALを持つ“クエーサー”“HS 1603+3820”では、
3年間の間にクエーサーがまず暗くなり、その後明るくなりました。
一方、アウトフローによる吸収強度は増加後に減少し、
変動パターンに数か月のズレがあるものの両者の同期が確認できました。
クエーサーの変光によってイオンの電離や再結合が起こり、
吸収に寄与するイオンが増減したことが変動の理由だと考えられ、
NALを持つクエーサーに対しても“電離状態変動シナリオ”が適用できることを、
示す結果になりました。
“HS 1603+3820”の明るさの変化(上)と吸収線の強さの変化(下)。 明るさの変化から数か月遅れて吸収線の強さも似た傾向で変動している。 |
ただ、“HS 1603+3820”で確認された光度変動の最大値は、
およそ0.23等級(クエーサーからの光の量が20%減)になり、
この値は吸収強度の変化を説明するには小さすぎるという問題が残ることに…
他のクエーサー8天体の変光幅も0.3等級程度で、
吸収強度の変化に必要な変光量には遠く及びませんでした。
どうやら、アウトフローの時間変動を説明するためには、
クエーサーの変光の他にも、何か別のメカニズムが同時に働く必要がありそうです。
アウトフローよりも高温状態にある別のガス(暖かい吸収体)の変動が、
可能性のある要因の1つと考えられるので、
研究グループではX線での同時モニター観測を計画しているそうです。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 100億光年彼方のクエーサーを複数アングルから観測