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【冥王星探査】“ニューホライズンズ”が最接近のデータを本格送信

2015年09月24日 | 冥王星の探査
7月14日のこと、NASAの探査機“ニューホライズンズ”が、
冥王星を接近通過“フライバイ”しました。

この時、“ニューホライズンズ”が取得したのは膨大な観測データ。
このデータの送信が本格的に始まったんですねー

新たなデータからは冥王星のクローズアップ画像も作られ、
約1か月半ぶりに公開されています。


膨大なデータから分かったこと

これまでに公開された画像などは、
“ニューホライズンズ”が取得した情報のうち、
ほんの一部から作成されたものでした。

なのでデータ送信が始まると、
完了までには約1年半ほどかかるそうです。

約1か月半ぶりに公開された最新画像は、
1ピクセルあたり400mの高解像度。

そこに写っていたのは、砂丘のような地形や、
山岳地帯から平原に向かってじわじわと流れる窒素の氷河、
冥王星の表面を流れる物質によって削り取られて出来たと思われる渓谷、
さらには無秩序に乱立する山々などでした。
7月14日に8万キロの距離からとらえたクトゥルフ領域(右下の暗い領域)と、
その上のスプートニク平原(地名はどちらも非公式)。

冥王星の表面はどこから見ても火星と同様に複雑。

雑然と存在する山々は、
スプートニク平原内の凍った窒素の堆積物中に浮かぶ、
巨大な水の氷塊なのかもしれません。
7月14日に8万キロの距離からとらえられた冥王星の表面。
幅350キロの領域に暗く深くえぐられたような古いクレーターと、
平らな若い地形が見られる。

見えているものが砂丘のようなものだとすると、
完全に誕生当時のままの状態だと考えることができます。

なぜなら、今日の冥王星の大気は非常に薄いので、
砂丘の形成は、今よりも厚い大気を持っていた過去の冥王星で、
行われた可能性が高いからです。

ひょっとすると、
私たちの知らないプロセスが働いてできたのかもしれません。

また、冥王星の大気のもやが、
予想以上に多くの層を持っていることも明らかになりました。

さらに、研究者にとってボーナスといえるデータもありました。

それは、太陽光が直接当たらなかったところも観測できたこと。
もやが冥王星の夜側の地形を、ほのかに照らしてくれたので可能になったそうです。
再接近から約16時間後に、77万キロの距離からとらえられた冥王星のもや。
画像処理を進めた右の画像では、
もやの多層構造や、夜側の冥王星の地形(右上)が見える。

“ニューホライズンズ”は現在、
地球から約50億キロの距離を航行していて、
冥王星からは、すでに7300万キロ以上も遠ざかっています。

探査機の状態は良好で、
システムもすべて正常に稼動しているそうです。


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