宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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宇宙は、ゆっくり死に向かっている!?

2015年08月15日 | 宇宙 space
宇宙は、
永遠の眠りを待ちながらソファで休んでいる人のように、ゆっくりと死を迎えつつある
という研究報告が発表されました。
さまざまな波長でとらえられた銀河。

この研究報告は、20万個の銀河から生成されるエネルギーを測定した、
観測プロジェクトに基づく結果だそうです。

今回の研究では、
宇宙空間の大半の領域におけるエネルギー生成量について、
これまでに完了した中で最も高精度の測定を実施。

その結果、現在のエネルギー生成量が20億年前の約半分しかなく、
徐々に減少していることが分かります。

研究チームは、宇宙論および銀河の形成・進化を調査をするプロジェクト
“Galaxy and Mass Assembly Survey, GAMA”の一環として、
世界有数の性能を持つ望遠鏡7台を使用し、
紫外線から遠赤外線までの21種の異なる波長域で銀河を観測。

研究では、豪ニューサウスウェールズ州の人里離れた地域にある、
アングロ・オーストラリアン望遠鏡で8年にわたり収集された観測データと、
NASAやヨーロッパ宇宙機関が運用する、
地球軌道を周回する宇宙望遠鏡で得られたデータが併せて使用されています。


銀河の減速

宇宙に充満しているエネルギーは、
ビッグバン直後に生成されたものが大半を占めているのですが、
そこには水素やヘリウムなどの元素の核融合によって、
恒星から放出されるエネルギーが常に追加されています。

この新たに生成されるエネルギーは、
発生源の恒星が存在する銀河を通る間にチリに吸収されるか、
もしくは、銀河間空間に脱出し、他の恒星や惑星、
そして非常にまれなんですが、望遠鏡の鏡面にぶつかるまで進むことになります。

宇宙の星形成率が減少していることは、以前から知られている一方、
今回の最新データは、エネルギー生成率が全波長域にわたって、
同様に減少していることを示しているんですねー

宇宙が膨張し、その膨張率が加速するにつれ、
銀河が進化を続けることのできるペースが、減速することは知られています。

これまでに測定することができた銀河内で、
星が形成される速度に、この減速が反映されています。

今回の観測データは、さまざまな種類の銀河がどのように形成されるかについて、
理解を深める助けになることが期待されています。

また研究チームは、
エネルギー生成のマッピングを行う現在の観測プロジェクトを、
最新の観測施設を用いて宇宙の歴史全体に拡張したいと考えています。

この観測施設には、
今後10年間でオーストラリアと南アフリカに建設が予定されている、
世界最大級の電波望遠鏡“スクエア・キロメートル・アレー”が含まれているそうです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ ビッグバン直後に、なぜ宇宙は崩壊しなかったのか?



いまだ解決せず… 地球観測衛星“SMAP”のレーダー故障

2015年08月15日 | 地球の観測
“SMAP”はNASAのジェット推進研究所が運用する地球観測衛星で、
地球全体の土壌に含まれる水分と、
凍結している個所の融解具合を見ることを目的としています。

ただ、7月7日に発生したレーダー機器の不具合が未だ解決せず…

“SMAP”に搭載されている観測機器のひとつ、
合成開口レーダーに何らかの問題が発生し、動かせない状態になっているんですねー

復旧は少し先に

これまでの分析から分かったことは、
レーダーの大電力増幅器“HPA”の低電圧電源に問題があるらしいこと。

“HPA”はレーダーのパルスの出力を強くするための装置。

これまでに得られた衛星の状態を示す信号が示している状態から、
問題は、この低電圧電源内で起きていて、
原因としていくつかの候補が考えられています。

でも発表されたのは、
これまでに行われた復旧の試みが、すべて失敗していること…

ただ、その過程で貴重なデータが得られ、
問題の状況や原因を理解するのに役立っているんですねー

今後も引き続き、分析と地上での試験を続け、
早ければ8月下旬にも、再び復旧を試みるそうです。


“SMAP”ミッション

もうひとつの観測機器の放射計は問題なく動いていて、
現在もデータを集め続けています。

“SMAP”はNASAのジェット推進研究所が運用する地球観測衛星で、
地球全体の土壌に含まれる水分と、
凍結している箇所の融解具合を、見ることを目的にしています。

得られたデータは、
天気予報や気候変動の予測の改善、洪水や干ばつといった災害の予防、
農業の生産性の向上といったことに役立てられることになります。

衛星は直径6メートルの傘のようなアンテナを持つ、
大変ユニークな姿をしています。

このアンテナは合成開口レーダーと放射計の、2種類の装置の目と耳として機能。

合成開口レーダーとは、電磁波を地上に向けて照射し、
反射して衛星に返ってきた信号を分析することによって観測する装置で、
放射計は地表から出る電磁波の放射を計測する装置です。

土に含まれる水分を能動的、受動的に観測“Soil Moisture Active Passive”の、
頭文字から取られた“SMAP”です。

“SMAP”ミッションは、
もともとNASAで開発されていた“ESSPハイドロス”という衛星が、
基になっています。

っというのも“ESSPハイドロス”が2005年に、NASAの予算削減が原因で中止されたからで、
その遺産を活用したのが“SMAP”になります。

打ち上げ時の質量は944キロ。
高度685キロ×685キロ、軌道傾斜角98.1度の太陽同期軌道で運用され、
8日ごとに同じ地点の上空を通過するそうです。

設計寿命は3年が予定されているようです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 地球観測衛星“SMAP”打ち上げに成功!