リベンジの前に…笑

2012-06-13 19:20:37 | Weblog
昨日は寒かった…片付けそこねた長袖に出番が回ってきましたし、夜も羽毛布団に手が伸びてしまいましたよ(苦笑)。
今日も、この時期としては低めの気温のようです。
まぁ、外をウロウロしていても暑くないのは有難い(笑)。


竹橋の近美で藤田嗣治の聖戦絵画が展示されていると耳にして、菖蒲を愛でる前にちょいと寄り道…。
『吉川霊華展』も開催中でしたが、今回は遠慮申し上げました。
常設だけのために足を運ぶのは本当に久しぶりのこと…大掛かりなリニューアル以後初めてかもしれません。

とりあえず、案内された通りにエレベーターで4Fへ。
左側展示室を入ってすぐにルソーの作品があり、宙に浮く女性を見ていたら反射的に有元利夫を連想…苦笑。
この階は黎明期の洋画および日本画ですが、先日見た高橋由一と比べると、彼がいかに先駆的かつ独創的だったかよくわかります。
かつて(三十年近く前)は「これでもか!!」てな具合にあれこれてんこ盛りの展示でしたから、黒田に藤島に小出に青木に坂本に関根に岸田に安井に梅原に…一度満遍なく見て歩けば、近代日本絵画の主要作品はほぼ網羅できました(絵画鑑賞も体力勝負でした…笑)が、さすがに今はテーマを決め作品を絞っての展示になり、見易い反面物足りないような…苦笑。

フジタは3F。
「ソロモン海域における米兵の末路」という、数人の米兵が乗ったエンジンもついていないような小船が大海を彷徨い船の周囲には鮫が游いでいる作品。
彼の戦争画は概ね茶色のトーンですが、これもまた画面が暗い茶色に覆われ、米兵の姿がリアルなまでに肉感的…。
ところでこの絵から考えると、ソロモン海域での戦いでは日本が勝ったことになりますが…?
一旦勝ったものの、形勢逆転されたのかしら(なんて書くと、大納言様から呆れられそうな…苦笑)。
大まかな流れはわかっているつもりでも、個々のエリアでの戦闘になると、実のところよくわからなかったりしまして( ̄▽ ̄;)

ところで、今回はシュールレアリズムに焦点をあてたらしく、靉光「眼のある風景」や萬鉄五郎「もたれて立つ人」(「裸体美人」からの変貌ぶりが興味深い)、東郷青児「サルタンバンク」、麻生三郎「母子像」、山口薫「母子」などが印象的でした。
殊に「母子」をテーマにした麻生と山口の作品が並ぶ様は…なかなかに見応えがありました。
個人的に最大の収穫は、長谷川利行「カフェ・パウリスタ」と北脇昇の作品。
「カフェ・パウリスタ」の存在感は、私の中では国吉康男の作品と同じくらい後を引きますね。
北脇昇は多分、初見と思いますが、今回物凄く気になった画家さん。
15年前に展覧会があったようですが、当時は福岡で子育ての真っ最中でしたから、それどころじゃなかった(/_;)
時代と言うか、自分を取り巻く社会環境に正面から取り組んで表現しようとした画家さんのように感じました。
改めて、全作品を見たい…。

あと、日本画では平福百穂と鏑木清方・徳岡神泉、版画は恩地孝四郎ですか。
写真は石元泰博「シカゴ・シカゴ」(1960年前後のシカゴの様相が結構興味深い)の他に、「写真の現在4」として、有元伸也・本山周平・中村綾緒・村越としや・新井卓の五人の特集。
有元のポートレイトは実に強烈ですし、本山の作品は逆に懐かしいようなホッとするような印象。
村越の「fukushima2011」は、正直考えあぐねています。


420円でこの手応え、十分満足できる内容と言えそうです。
ただ…クイーンアリスの撤退は構いませんが、鑑賞後に一息つけるところがないのは寂しいかも(笑)。
昔は、紙コップの自販機でジュースくらい飲めた気がしましたが…私の記憶違いかしら。
ついでに…昔は階段ではなくスロープで、各階を移動していたような気がします。
古賀春江や香月泰男はスロープのあたりに展示されていたような…。