長月一日

2009-09-01 15:37:59 | Weblog
台風一過、夏の戻り…葉月が終われば「残暑」ではありませんよね(笑)。暑いなりにも、どこか暑さの質のようなものが違います。存外、早くに本格的な冬が来るかも…私が最も信じていないのは自分の勘ですから、本当のところはわかりませんが。

「俳句は、おおらかなまっすぐな性格の人には向いていない」
佐々木幸綱が、鶴見和子(彼女は若い頃に佐々木信綱門下に入り、後年はその孫・幸綱の門下に入ったそうです)の一周忌の集まりの会場に寄せたコメントの一節。私は花鳥風月詩歌の類には無縁な人間ですから、なるほどなぁ…と思うのみ。短歌や俳句をたしなむ友人・知人の顔を具体的に思い浮かべると、納得できそうな気がするかも(笑)。

ところで、Amazonで小熊英二『1968』(上下各1000ページ超の労作)のレビューを見ていたところ、下巻の最初に田中美津本人による【第17章「リブと私」】のレビューが掲載されていました。一読し、のち爆笑。この章はウーマンリブと田中美津についての記述らしい(上巻は注文してすぐ届いたのに、下巻は何故かまだ届かないゆえに未読)のですが、田中本人の文章によると『私が「直感」の人なら、彼は「誤読・誤用・捏造」の人なんだね』とのこと。田中の指摘では64ページのうち明らかな間違いが45箇所。となると、他の章もどうなのかなぁと不安になってきます(他のレビューでも事実関係の誤りや資料分析力への疑問が指摘されていますし…)。資料を恣意的に引用・解釈・分析するスタイルはもしかしたら師匠譲りかもしれませんが、読む前からここまで不安を煽られては、下巻の到着を待って野次馬精神を持って読むしかありませんね(苦笑)。社会学って、独断と偏見に満ちた見方をするなら恣意的解釈の権化めいたところがあるから
なぁ…。上下計14280円、手痛い出費になりそうです┓( ̄∇ ̄;)┏
田中美津の本を読んだのは随分と昔のこと。ハイト・リポートがアメリカで発表され、その日本版と銘打って集英社がモア・リポートを企画・発表した頃ではなかったかしら。『ウーマンズ・ボディー』が池上千寿子の訳で出版されたのも、同じ頃だったはず。「自身の身体を知ることが、性の呪縛から解放されるための第一歩」みたいな文脈があったような気がします。ミルの「女性の解放」なんて古典のほか、田中美津、宮迫千鶴、小倉千加子などを読んでいましたっけ。いつの間にか、このジャンルの本を読まなくなったのはどうしてでしょうね。今ならもう少し深く読み解けると思うのですが、楽観的すぎるでしょうか。