苗苗老師的心言苗語

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☆ 好文共欣賞Ⅱ

2011-01-19 23:41:40 | ☆ 苗苗言語生活

中国語新聞『中文導報』に発表された沖浦同学的エッセイの日本語版です。

対照的に読んでみてくださいーーもっと面白いです!

中 毒

冲浦 雅美

人は嬉しい・楽しい体験をしている時、脳内に快感物質が分泌される。この快感物質が分泌されなくなると、人はそれを求め、またなくなるとまた求める。この循環に陥った状態が「中毒」だ。言ってみれば、「絶対なくてはならないもの」を欲するのではなく、「通常あるのに突然なくなったもの」を欲するのが中毒なのだ。

 

生きていく上で、絶対になくてはならないものなんてあるのだろうか。替えのきかない、失ってしまうと自分の存在が危ぶまれるもの。

 

 「豚肉や鶏肉を食べるのって、中毒みたいなもんなんだよ。例えば必要なタンパク質は肉からじゃなくて大豆で摂れるわけ。だから、肉なんて食べなくても生きていけるんだよ。必要なんじゃなくて習慣で食べてるだけ。昔の自分だったら精進料理とか無理って思ったけど、今ならアリだなぁ。」

 

 豚肉を食べながら「これは鶏肉だ」と言い、わたしの鶏肉を一切れ食べながら「これは豚肉だろ」と言いながら、食について語る割には味がお分かりでない彼は、いつもと同じく自信ありげに自論を披露した。

 

(肉食は中毒かぁ。必要最小限の食事ねぇ・・・)

 確かに面白い考えではあるけれど、なにもかも、例えば人生までもがそうだとしたら、それってすごくつまらない。

 

 替えのきかない、なくてはならないもの。そんなもの思いつかない。もしそのようなものが存在したとして、それだけで人生が成り立っている・支えられているとしたら、それはとても美しいかもしれないけど同時にすごく危険だ。

 

 なくてもいいけど、あるともっといい。そういう色々で人生は彩られている。

 

 なくてもいいけど、あるともっといい。

   

 だからあなたと一緒がいい。

  だからいつもあの人が右側にいるといい。

  だから自分の目で世界を見て回りたい。

  だから何でも自分でやってみたい。

  だからあなたのステキな部分を伝えたい。自分の魅力を知ってほしいから。

 

 こんな感じで、わたしたちは気づかぬ内に日々を強くする。なくてもいいけど、あるともっといいもの。ちいさくて幸せなことたちで。

 

 人生はうまくできている。人生を埋める色々のひとつふたつを失っても、自分がダメになったりしない。ちゃんと生きていける。いや、むしろ生きていかなきゃいけない。だからわたしたちは色んなものを集め、人生を満たしていっているのかもしれない。

  

  禁断症状がどうした。辛い思いをする時が来たって構わない。豚肉だって食べ続けちゃうもんね。健康的で味気ない生活より、おいしい毎日の方がいい!