一寸だけ小ネタ。先日KBS京都ラジオ聴いていたら(妹尾さんと奈美ちゃんの番組)、お便りのあて先「京都市上京区烏丸上長者町」。 昔からこの宛名で耳にしていますけど、このところ事情があって京都の町名について調べており、ちょっと耳に残りました。
あ、京都と言うのは、京都市のことですからね。しかも昔からの上京・下京の町についての考察。
この“京都市上京区烏丸上長者町”は、「きょうとし かみぎょうく からすまかみちょうじゃまち」と読みます。ちなみに上京区には烏丸上長者町という町は存在しません。烏丸通と上長者町通の交差点に位置するからなのですが、上長者町通の読み方は「かみちょうじゃまちどおり」。で、通(とおり)を省いて「からすまかみちょうじゃまち」になります。(本当は烏丸通上長者町下ルになります)
さてKBS京都の所在地は「京都市上京区烏丸通り一条下ル龍前町600番地の1」です(京都放送の会社概要より)。「龍前町」という町名がありますけどこの龍前町、読み方は「たつまえちょう」。「ちょう」と「まち」が混在していますね。
これ実は京都市内の町は原則「ちょう」と読みます。一方で通り名で町がつくのは「まち」と読むのが多いです。今回は通り名の方はご退場いただき、町名について。
前記の通り京都の町についてごちゃごちゃ調べているのですが、そこで最近気が付いたことに、実は京都の町名には「~まち」という名もあることを知りました。これ意外です。いや東山区の本町のように例外もあるとは思っていましたけど、結構見つかったんです。全部載せるわけにはいかないですが、そのいくつか。( )内は元学区です。
- 上京区 (成逸)天神北町 てんじんきたまち
- 同 (室町)宝鏡院東町 ほうきょういんひがしまち
- 同 (正親)高台院竪町 こうだいいんたてまち
- 中京区 (初音)東片町 ひがしかたまち
- 東山区 (清水)八坂上町 やさかかみまち
- 同 (修道)慈法院庵町 じほういんあんまち
- 下京区 (皆山)亀町 かめまち
これ見てて、やっぱりある種の法則がありました。何々北町とか、何々竪町のように方向性や位置の従属性を表す文字が付くと、その後の町は「まち」になるみたい。もちろん「西五辻北町(上京区乾隆元学区)」のように「ちょう」読みするところもあり、やっぱりマチマチです。ちなみに「竪町」は縦の意味。対義語は「横町」。「片町」は通りの片方の意味。
そうして方向性の意味を持たずに「まち」なのが、東山区の慈法院庵町、下京区の亀町ぐらいなもので、やっぱり町は「ちょう」で中世から続いてきたようです。
ところで、KBS京都の所在地、「烏丸通り一条下ル」とはえらいところから下がってきたものですね。龍前町は6通りの上ル下ルで示される表記があるうちの一つですけど、一条からは下がり過ぎ。通称と同じ上長者町ではいけないのだろうか。
「京都ネタ」という事で、お約束どおり釣られてみました。
「ちょう」か「まち」か、教えて頂くまで知りませんでした。
とても深いものを感じました。
京都の町も、秋の訪れなのでしょうね。
まぁ、ヨソの人間が京都の街中で「何々町」を意識することは、とても少ないと思います。
京都の街の特徴で、こんなもんだという程度のお話ということで。
京都の町名を調べる過程で、角川日本地名大辞典はとても参考にしておりますが、街の成り立ちで出てくる「戦国時代から」とか、「室町時代から現在の町」という記述を見ると、確かに深いものを感じます。
京都の街中では秋の彩りはまだですが、そろそろ北山の方からは紅葉の便りが聞こえてきそうです。