―TSUREZUREGUSA―

つれづれと、日々のおもひをつづること。

ポーラ美術館

2011-03-08 19:20:51 | ART・建築
日本で、久しぶりに美術館でゆっくりしたような気がする。

箱根で一番行きたかった美術館がポーラ美術館。
山の中に設計されていて、ガラスの構造体が軽やか。
美術館の構造に背後の山々の修景が溶け込んでいて、
美術館のボリュームの割に、その存在が至極自然体。


館内は大きな吹き抜け空間に、その空間をぐるりと取り巻く展示室配置。


降り注ぐ自然光が気持ち良い。
雨の日も、晴れの日も、天候を感じることの出来る空間。


特別展はアンリ・ルソー展だった。
ルソーは40歳からの遅咲きの画家で、全世界でも作品点数が少ないらしい。
確かに思い返してみると、ルソーをこれだけまとまった点数
鑑賞したのは初めてな気がする。
一つの美術館で数点あるぐらいの印象。

特別展のルソー展では、ルソーの作品と共に、
ルソーに影響を受けた画家や関わりのあった画家の作品が
興味深い順序で並べられていた。
ルソーらしい平面的で絵本の挿絵のようなほのぼのとした印象の作品が多い。
温かな色遣い。
特に木々の描かれ方をみると、 あぁルソーの絵だなぁと思う。

ゴーギャンやピカソとルソーを並べての展示が秀逸。
特にゴーギャンとルソーって、画風的に私の中で相容れないもので
並べて展示されていると不思議な感じがしたのだけれど、
テーマの観点からみると確かに共通点があって、面白かった。
ルソーの影響を受けたという岡鹿太郎氏の作品は、
静謐という言葉が良く似合っていた。
油彩なのに色鉛筆画のような印象。

常設展も、感動するくらい質が良かった。
モネ、セザンヌ、ゴッホ、ルノワール、マネ、ドガ・・・
と来たかと思うと、
次の部屋ではシャガール、モディリアーニ、マチス・・・
とがらっと現代的に。
日本画家の部屋も、坂本繁次郎や東山魁夷があって、
作品の数は少ないものの、どれも心惹かれる粒ぞろいの絵。

緑のグラデーションがきれいな絵に惹かれるなぁと改めて思った。
作品の数はいらない。
人が少ないこと、
自分のペースでみれること。
なかなか都会の美術館の特別展では叶うことのない条件が、
美術館でゆっくり過ごすには私には絶対条件みたいだ。
心惹かれる絵は数点あればいい。
ううん、一点でもいい。
その絵の前で時間を忘れて立ったり座ったりして過ごす時間は、
なんて贅沢なんだと思った。

最新の画像もっと見る