トノバンと呼ばれた男、加藤和彦

2018年12月26日 | Japanese
私はトノバンの音楽を愛する。

誰が何と言おうと…!って、誰もなんも言ってないですけど。でも断然トノバンの味方なのです!
なぜでしょう、なぜかこういう事を言いたくなる人。


彼のカタログはApple Musicにほとんどあります。
今年の夏くらい急速にハマって、聴きまくっています。
映画『この世界の片隅に』で使われたコトリンゴがカバーした「悲しくてやりきれない」。この曲が何かのきっかけでふと耳に入ってきて、あぁ、やっぱこの曲すごいなぁ、ちゃんと聴かないとなぁ加藤和彦、とか思ったのがキッカケです。

彼のソロ・ワークの代表作的な誉れ高いヨーロッパ三部作なんて、割と苦手な路線なんだけど、それでも我慢して聴き続けてたら、その良さも少し感じられている気がするし、でもそれ以上に私はやっぱりソロ初期ですわ。

1st『ぼくのそばにおいでよ』(1969)
2nd『スーパー・ガス』(1971)
サディスティック・ミカ・バンド後の
『それから先のことは…』(1976)

断然好き。
あとフォークルもミカ・バンドもかなり好きになりました。当然です。素晴らしいんだもの。

これって渋谷系がリアルタイムな青春時代を送った人間としては当然のチョイスでしょうか。でもなんでその90年代にこの人はもっと再評価されなかったんだろう!
当時の小沢健二やサニーデイ・サービスの曽我部恵一、渋谷系ではないけど奥田民生とかの諸々のミュージシャンへの影響を考えると、大瀧詠一さんや細野晴臣さん、キヨシローとかと比べてその評価の低さ、騒がれなさに、不憫と言っては失礼なほど大成功している人なのに、とても寂しい残念な気持ちになります。特に当時の小沢健二は65%くらい加藤和彦だったんだなと勝手に断定。

2代目、3代目ミカ・バンドはその都度それなりに話題にはなっていた記憶はあるけれど、それと共に加藤和彦の功績を振り返っての盛り上がり、なんかはあまりなかったように思います。それだけ現役感あったってことかもだけど。

でもその確固たる才能に対して、正当に評価された時代が彼にはあったのかしら。色々2018年暮れの今頃、ですけど。
こういう事を言いたくなる人。


何にこれほど夢中になったのでしょう。


まず、なによりも加藤和彦が音楽の人であったこと。
トノバン、ってあだ名が全てを物語ってるのではないでしょうか。大好きです、このあだ名。もちろん由来はあのドノバン。
トノバンって呼ばれる彼のことも好きだし、今も彼のことをトノバンって呼ぶ人たちが好き。


あと、彼の作るすべての音楽に通底してある、その儚さ、か細さ、弱さ。
フッて息を吹きかければ消え入りそうな心細さがどこかにある。寂寥感が半端ない。明るい曲でも。そこが、いい。怖いくらい妙に軽いとこも。
才能が突出してる分、そこに脆さが出てしまっているのでしょうか。


そして、その儚さと反して、メロディの堂々とした存在感。
「悲しくてやりきれない」や「あの素晴らしい愛をもう一度」のメロディはそれ以外はないっていうドンピシャでとても強いもので。


私はつくづく、寂しげな人が作る、寂しげだけど多くの人々の心を鷲掴みにするわかりやすいポップな音楽が好きなんだなぁと思わされます。


彼の中にあるアンビバレンツ。両極性。
儚さと強さ。
日本と英国、または米国、または諸外国。
陰と陽。
古さと新しさ。
保守的なとことアバンギャルドなとこと。
一筋縄ではいかない複雑で繊細な匂いがするところが好きです。




私の親と同世代のあなたと同じ時代を多く生きていたにも関わらず、恥ずかしいくらいすれ違ってやっと出逢えた、遅れすぎたファンが何言おうと知ったこっちゃないと思いますが、トノバン。

どれだけカッコ悪く、ダサく足掻いててでも、あなたに生きていて欲しかったですよ。
でも苦しかったのなら仕方ないですよね。
だけどあなたがいない世界はこんなにも味気ない。







【おまけのはなし】この写真↑、トノバンの音楽を聴くようになるずっとずっと前から、この写真が好きでした。
妙にポール・マッカートニーの「出ておいでよ、お嬢さん」の日本盤のシングルで使われている写真を思い起こさせるんですよ。
そんで実はさっきまでパロディで撮ったのかなって思ってたくらい、頭の中ではその2枚の写真が繋がって見えてました。
ほんでまた私がこの時期のポールがとてつもなく好きで。
で、この時期のポールの完コピ写真撮るくらい加藤和彦ってポール好きなんだ、じゃあいい人に違いない、って勝手に勘違い妄想突っ走ってました(笑)
でもその勘違いのおかげで、ずっと聴かなきゃなー加藤和彦とか思ってたんでしょうね、頭の中のどっかで。
よかった、いい勘違いしておいて。





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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (unodos)
2018-12-26 07:54:53
オワコンといわれるmixiから来ました
久々にモスコさんの音楽話を読めて嬉しいです。
私は三月で定年を迎え、再任用で働いてますが、ネットカラオケと映画館通いを楽しんでいます。
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Unknown (k-hiko)
2018-12-26 12:39:28
ご無沙汰です~
トノバンすごいメロディセンスです。
初期作品もいいですけど、最近はアイドルへの提供楽曲、不思議なピーチパイ、dou you remember meは結構いつもっ聞いちゃいます
その中でも岡崎友紀さん"YOU MAKE ME HAPPY"がめちゃくちゃお気に入りです♪
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Re:お久しぶりです (minnie-moskowitz)
2018-12-27 07:15:18
unodosさん

ご無沙汰しております。
mixiから来られたということは、何か私のブログが更新された事がお知らせされたのでしょうか?
自分のmixiにログイン出来ずもう何年経ったのかな

ひとまず定年を迎えられたという事で、お疲れ様でございました。
私も最近よくカラオケに行くようになりました。
今度、忘年会カラオケがあるので、ボヘミアン・ラプソディーぶちかましてきます!(笑)
久々の更新にも関わらず、コメントどうもありがとうございました
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Re:Unknown (minnie-moskowitz)
2018-12-27 07:23:44
k-hikoさん

ご無沙汰ですです〜

トノバンのメロディセンス、いいですよねぇ。

彼の作品を聴くだけで、まだまだアイドルトへの提供曲まで聴けてないんだけど、上げられた曲から聴いてみようかな。ピーチパイくらいしか知らないんですよ。他の人が歌ってこそ、そのメロディセンスの良さを、より感じられそうですね。

久々の更新にも関わらず、コメントありがとうございます
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あの素晴らしいブログをもう一度(笑) (ムンドリ)
2018-12-27 21:35:18
モスコさん何年ぶりのコメントかな。お久しぶり
お元気でした?

僕もブログ放置だけど、
最近では、映画『ボヘミアン・ラプソディ』観たり、
もちろんマッカのナゴヤドームも参加したりして
相変わらすデス。

では 良いお年を‼
Rock'n'Roll お年玉
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Re:あの素晴らしいブログをもう一度(笑) (minnie-moskowitz)
2018-12-29 23:20:08
ムンドリさん

お返事遅くなりました
ご無沙汰しております。
もう何年振りかもわかんないくらいですねぇ。
お元気でしたか?

マッカ行かれたのですね。いいですねぇ
私はライブも映画館も今は少し遠のいている状態です。

久々の記事にも関わらず、コメントありがとうございました
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