『Donkey』(2008) CSS

2008年10月29日 | 00's
これはスっゴイ好きです。
ブラジル出身のCSSの2ndアルバム!
彼女たちの1stの "Let's Make Love and Listen to Death From Above" って曲がもうなんだかやたらめったら大大好きでして、アルバム買わずに曲で買って当時リピートしまくってたんですけど、この2ndが出た今年の夏、自分の中の ”08年新譜熱波” 到来とタイミングが合ってめでたく新譜でタワレコ店頭で購入。

1曲1曲がよく出来てて、この1曲!って突出した曲はないかもだけど、ぜーんぶキャッチーでポップで、なにより聴いてて楽しい。これ大切。1stはもっともっとダンス寄りだったみたいなんだけど、これはかなり普通のロックバンド然とした佇まい。そこがまた気持ちいい。90’sオルタナ・ガールズ・バンドにニューウェーブ味とかディスコ味エレクトロ味などのふりかけかけてるみたいな美味さ。いや、ふりかけの味の方が結構強いから逆かな?私はこういうレイト70’s~80’s風味のふりかけの味は苦手のような気がしていたのだけど、彼女たちだったらすんごい興味深く面白く楽しく聴けちゃうんですよねー。馬が合うんだなー、コレ。 "Let's Make~” にベタ惚れしてる時点で恋は始まっていたのだな!

ヴォーカルのラブフォックスのヴォーカルやら雑誌のインタビューや写真から漂ってくるおもろかわいさがまたホント、ただただ楽しい。
私のお気に入りエピソードは今年のフジロック出演で来日した際、東京で買い物しすぎてカード会社にカードの利用を止められた(あまりに急に激しく使ったんで盗まれたと判断されて!)らしく(笑)で、何をそんなに買ったのかというと洋服や靴はもちろんなんだけど文房具をたくさん買ったとか!しかも別のインタビューでは「日本の糊は最高」発言があったから、主に糊?
しかもこの話、ただのセレブのバカ買い話じゃないんですよ。彼女たち、実は1stの成功時、悪徳マネージャーにお金をぜーんぶ持ち逃げされて、ツアー中にご飯食べるのもままならなかったっていうんだから・・・。やっと頑張った分使えるようになったんだもん。使いんさい、使いんさい。日本大好きみたいだし(ラブフォックスは日系・本名ルイザ・ハナエ・マツシタ)、楽しかったんだね。よかったね。

そんなラブフォックスのヴォーカルにからんでくるのが紅一点ならぬ黒一点(うそ。なんて言うんだろ、女の子バンドにおっさん1人っていうの??)のアドリアーノのコーラス。これが好き。てかアドリアーノ自体がすごい好き。この人もなんかおもろかわいい。このルックス、ウチのおとんに激似なのも親近感沸く理由なのか?彼が主に曲作り、音作りしてて、他のバンドのアドリアーノ・リミックスもいっぱいしてて才人のようです。



真ん中がラブフォックス。右のヒゲがアドリアーノ



こんな風に(?)キャラも立ってりゃ曲も立ってて、こりゃー愛さずにはいられん彼女たちなのです。
ちょい前のエロカワとかちょいワルとか全く興味なかったけど、彼女たちのこの、おもろかわいい、にはめちゃ惹かれます。
だけど音的にはかっこいいし、男前なんですよね。そこもまたよし!
あー愛すべきバンドだ。きっとアナタも音を聴けば愛しちゃいますよ。
今年のフジではレッドマーキーのトリをつとめ、11月にも単独ライブあり!な人気者なCSS。
今度は何買いまくんだろ~?






オマケ:ライブ中の Lovefoxx(ハナエちゃん)



→CSS myspace





『Free Life』(2007) Dan Wilson

2008年10月26日 | 00's
ご無沙汰しております。
先週デニス・ウィルソンの2枚組と一緒に届いたのは、良く似た名前のダン・ウィルソンのCD。
ダン・ウィルソン。90年代に活躍したセミソニックというバンドのヴォーカル、ギターでメイン・ソングライター。98年にブレイクのきっかけとなった ”クロージング・タイム” はやっぱりちょっと忘れられないナンバーで、大好きだったです。この曲が入ったアルバムも。

最近ご無沙汰していましたが、彼がソロ・アルバムを昨年2007年に出していることを知り、軽い気持ちでポチッとマイスペで試聴してみたならば!
日々の暮らしで自分の中に知ってか知らずかたまっていた澱みがドドドと涙と一緒に出まくって、まぁなんかそん時落ち込んでた時期だったんですけど、なんだかもうヤバいくらい響いてしまってマジ泣き。
衒いがなくまっすぐな、だけど心の痛みは知っているというような、そんな歌声。シンプルで気負いのないアレンジのアコースティック・ロック。
ただの「いいうた」であるということは、そしてそれを聴くということは、こんなにもこんなにも喜びに溢れていたんだなぁ、こんな単純なことなんだけど、そんなことを思うのは久しぶりだなぁ、そう思いながら、何度も何度もリピートしていました。特に"Breathless"という曲には完全に持ってかれた!

声、なんです。この声に ”癒され”るんじゃないんです、逆説的に”やられ”ちゃうんです。動揺するっていうか。良すぎて。すっと心の奥底に入ってきて、しっかり爪痕を残す声。フツーなんですけどね。それほど特徴的だとか天才だとか、そういうんじゃなく、ただただ自分に響いてくるっていう。

そんなわけで注文して(このCDが時間かかった)やっとこ手元に届いてからというもの、iPodに入れてアホみたいに聴いてます。街でも電車ん中でも眠りにつく時も。
アルバム最初の3曲 ”All Kinds”、"Free Life"、"Breathless" がやっぱりダントツに素晴らしくって(全部マイスペで聴けます)、だけどアルバム丸ごとよくプロデュースされてるというか、シンプルに曲の良さだけで勝負してて、それに成功しています。久しぶりにブログを再開して、書きたいアルバムは本当にいっぱいあるのだけれど、真っ先に、今スグ届けたいのはこのアルバムしかない、そんな特別なアルバムとなりました。

プロデュースは本人ですが、エグゼクティブ・プロデューサーにリック・ルービン(レーベルもアメリカン・レコーディングス)。彼がライナーに寄稿している文章によると、リック・ルービンにダン・ウィルソンを薦めたのはシェリル・クロウだそうで。「あんた、彼、聴いたことないの!?今アメリカで最もアメイジングな歌声を持ち、ベストな歌を作る男だわよ!」なんて言われたとか(笑)。そのシェリル姉貴はコーラスでも参加しています。

私のはオーストラリア盤なのですが、このCDデジパックでして、CDのお尻(?)にもう1枚無造作にハダカでCDが入ってるのを発見し「おろ?間違えてもう1枚同じCDが入っちゃたのかな?」なんて思いきや、それはオマケのアコースティックライブ・ミニアルバムでした(うれしい)。

しかし、うたのちから ってすごいなぁ。
全くもって売れてないと思うのですけど(特に日本で)、こういう良質な音楽を作るシンガーソングライターって昔も今もいっぱいいると思いますが、私は彼のこのアルバムと出逢えて良かったです。ホント必要な時に突然サッと現れてくれて、何かを救ってくれた、そんな気がするのです。

→ Dan Wilson myspace






『Double Dynamite』(1967) Sam & Dave

2008年10月09日 | Soul/R&B
少し前、アトランティック・レコーズが60周年記念ということで、ワーナー/アトランティック(系列)もののソウル、ジャズなどのアルバムを1500円で期間限定で発売していました。その時はその分野の炎は自分の中で燃えていなかったから無視しちゃってたのですが、今ボーボーに炎が燃えている中、必死にその残りを探し求め、買い集めたりしています。トホホ。
でももうほとんど店頭には残っていないんですよね。アトランティックのアレサなんかは1800円で再発しちゃってますし。まぁ充分安いんですけど。でもそん時しかCD化してないアルバムとかもあったみたいで、ちょいバッドタイミン。


そんな中、店頭でもオンラインでもどこ見てみても大体1500円のままでポツンと残っているカワイイやつ!
それが今日のサム&デイブの2ndアルバム『ダブル・ダイナマイト』だー!
サム&デイブは昔ベスト盤をテープで愛聴していただけなので、自分にとって彼らの初アルバムとして非常に楽しみでした。
で、中身は文句なく最高でした!


まずはこの強烈なジャケを見てください(笑)
どうです、このちょっとやそっとじゃ思いつかないような色彩感覚、そしてデザイン!
まーじーで、シビレます。このジャケのデザインはスタックスの元歌手のロニー・ストゥーツという人で、あのレコード盤が何枚も重なっているポップなスタックスのロゴのデザインもこの人なんですよ(本の受け売り)。

そんなわけでジャケでまず強烈なソウル文化に触れた後は音ですね、音!

M-1 "You Got Me Hummin'" のイントロ!ダック・ダンの重低音の戦車か何かがズンズンこちらに進んでくるようなベースの響き+ピアノ!コレはイントロから唸りますよぉ。実際かっこよろしいイントロの曲が多いんですよね、彼ら!あり得ないほど、ツカミがバッチシなのです!!

M-2 "Said I Was'nt Gonna Tell Nobody" がこれまたイントロから持ってかれるアップ系のキラーチューンなのですが・・・。
前回書いた本『スタックスレコード物語 SOULSVILLE U.S.A.』に、この曲について興味深いことが載っていました。

サム&デイブの曲については作詞・作曲・プロデュースをほとんどアイザック・ヘイズとデビッド・ポーターのチームが担当していました。

以下抜粋

テープが回り始めても、ポーターはヴォーカリストと一緒にスタジオ内に残り、指揮したり、おだてたりと、少しでもいいテイク録れるように尽力した。ポーターは大量の汗をかきながら激しく身体を動かすことも多く、熱心になりすぎ、歌声や手拍子がマスター・テイクに残ってしまうこともたびたびだった。が、スタックスではこの程度のことは重要視されず、もしもそこに魔法のような瞬間が記録されていれば、それでよしとされていた。むしろ誰かが ”取り憑かれる” ほど興奮したのは、精霊のようなものがスタジオに舞い降りた証拠であり。そのテイクを祝福しなさいということだと考えたのである。


なんともいいじゃないですかー。
この魅力的な箇所を読んだ時に早速iPodでこの曲を注意深く、かつちょっとドキドキしながら聴いてみたらですね、1分54秒辺りに確かに聴こえる!誰かの手拍子が・・・!(笑)
超微笑ましいではないですか!

しかしこんな文章に出逢うと、やはり音楽は言葉や理知的なものからはほど遠い、魔法や神秘的なものと関係するところのものなんだろうなぁという想いを改めて強く感じ、心を動かせずにはいられませんでした。デビッド・ポーターにその時思わず手を叩かせたものはなんだったのか、その何十年後の極東島国でそれを聴いている、へっぽこな私の肩を自然にグラングラン揺らせたものはいったいぜんたいなんなのか、ということです!それは言葉でなんか説明して欲しくないし、また説明出来るものではないと思うのです。
音楽の、魔法、ですよね。
このサム&デイブのアルバムにも最初から最後のしっぽまで、詰まってますぜ、魔法。

他の曲をもう少し!

M-4 "When Something Is Wrong With My Baby" (邦題:僕のベイビーに何か?)←この邦題、最高!
グッとくるスロー・バラード、たまりまへんがな~。

M-5 "Soothe Me"
ご存知サム・クックのカバー。同じソウル・デュオならサムのレーベル、サーのシムズ・ツインズ(こちらもデュオ、しかもこっちは双子!!)が先なんですよね。でも有名なのは断然サム&デイブで、彼らのはこの曲のライブ・ヴァージョンがシングル化されています。このアルバム収録曲はスタジオ録音ヴァージョンです。でもテンション十分!エキサイティング!

M-8 "I'm Your Puppet"
こちらもデュオもの、ジェイムズ&ボビー・ピューリファイの曲。でも彼らなんかはこのサム&デイブのデュオが大ヒットしたからこそ出てきた人たちですよね。これもすんごい好き。落ち着く穏やかな曲調で。

M-10 ”I Don't Need Nobody (To Tell Me 'Bout My Baby)” も、サム・ムーアの最初の曲タイトルを歌う、何にも邪魔されない天国まで続いてるような伸びやかな歌声だけで、もう最高にニンマリしちゃう。


演奏もスタッフもスタックスの美味しいところ総動員でまとめあげた、いわば本気のスタックス。
ソウル・マジックが詰まった見事なアルバム!!
彼らは亀ジャケもかわいい!stが名盤の誉れも高く人気ですが、全然こっちも素晴らしいです。
サム&デイブ、彼らが65年から68年までスタックスに残している4枚のアルバム『Hold On, I'm Comin'』、この『Double Dynamite』『Soul Man』『I Thank You』はどれもマストだな、と思った次第。










The Memphis Sound

2008年10月01日 | Soul/R&B
なんだか色々あったりで気持ちのアップダウンが激しく、やっと落ち着いたと思ったら、今度は風邪っぴきで寝込んだり・・・。
なかなか思うようにはいきまへんな~。
やっとこのブログアップです。


だけど、音楽リスナー的にはキテました!
前回の記事に書いたアレサちゃんから火がついて、アトランティック→スタックス/ヴォルトものへとソウル号で南下しておりました。ゴー・トゥー・メンフィス!
で、夢中になったついでに前から気になっていた本、『スタックスレコード物語 SOULSVILLE U.S.A.』を買ったんですが、いやー!これが面白いのなんの!!

作者ロブ・ボウマンのスタックスへ対する愛情ゆえの真実に対するこだわり、細部までしっかりした綿密なリサーチ振りで、たまらなく面白く、かつ、当時の正確な状況を伺い知れるようになっているんですよね、この本。

例えば、ヒッツヴィルU.S.A.(モータウン)には対抗意識、こっちはソウルズヴィルU.S.A.(スタックス)と銘打ってるくらいだからソウル・ミュージック的には勝ってるぜ!くらい思ってるのかと私は思っていたのですが、意外と初期なんかはヒットを飛ばしたくって、でもなかなか飛ばせない中、アイザック・ヘイズとデビッド・ポーターの作詞作曲コンビが、これまたモータウンの作詞作曲チーム、ドジャー/ホランド/ドジャーの曲の構成を徹底研究して、ついにはモノにした(拝借した)、なーんてエピソードも出てきたりして、読んでて楽しいエピソード山盛りなのです。


一緒に写っているボックスは『The Complete Stax-Volt Singles 1959-1968 』というシングル集9枚組なんですが、コレを聴きながら該当する曲の箇所を読むのがもう楽しくってたまりません。まぁ、読んでたら絶対聴きたくなってしまうようなエピソードが満載なんですよね。驚きや発見がいっぱいです。

このボックスは私は96年にアメリカに行った際、メンフィスのCD屋で買ったんです。
「かっこいい買い方じゃないの!」と自惚れていたまでははよいのですが、何度か聴くとなかなか聴き返すことがなくなっちゃったんですよね。ブックレットも英語だし、よく分からず。アーティスト単体でたまに聴き返す程度で。
要は宝の持ち腐れだったわけですが、この本を買ったことによって、宝が宝として蘇ってくれました!非常にうれしい!

その時、どんな状況の中で、その曲が演奏、録音されたのか、リアルにこちらに迫ってきて、1曲1曲がいきいきと自分の中に生きてくるようになったんです。


ルーファス・トーマス、カーラ・トーマス、ウィリアム・ベル、マッド・ラッズ(最高!)マーキーズ、ブッカーT&ジ・MGズ、オーティス・レディング、サム&デイブ、ジョニー・テイラー、エディ・フロイド、アルバート・キングetc...

こんな素晴らしいアーティストたちの曲が、また新たに新鮮に自分の中に響いています。


この本とブライアンの新作を一緒に買ったんですが、ブライアンまだ聴けていないほど、スタックスに猛然とハマリ中です!
秋の夜長の過ごし方は、まずはスタックスで決まりです!

・・・って記事を何回書こうと思って書けなかったか(苦笑)
やっと書けました(感謝)