『Dust On Mother's Bible』(1966)Buck Owens

2009年12月08日 | Folk/Country
いやぁ...マヂ... 最高やなぁ...!!!と。何度呟いたことでしょう、このアルバムを聴きながら。
心からため息。大大大満足。
本日はバック・オウエンズの『バック・オウエンズ セイクレッドを歌う』です。

この前の土曜、近所のブックオフをちらりとのぞいた時に500円で見つけたんです♪
カントリー界の大物バック・オウエンズ。一度聴いてみたかったのですが、まさか田舎のブックオフにオリジナル・アルバムがあるなんてね!しかも91年に出た日本盤で、帯には「世界初CD化!」とあります。ビックラしたです。その店マメに覗いてたけど今までなかったから新しく入ってきたんだな~。しかも500円て...!おかげさまで久々の大当たり頂きましたよゲヘヘ。

バック・オウエンズ。「ナッシュビル・サウンド」とは対をなす「ベイカーズフィールド・サウンド」の第一人者。

その「ベイカーズフィールド・サウンド」なるもの、言葉だけは何となく知っていたけれど、ちゃんと知りたくて色々少し調べてみると、黄金時代のカントリー(40年代後半-50年代前半)のホンキートンク・スタイルのカントリーを少し後の時代(50年代-60年代)に西海岸で復活させたもののようで、エレキギターを使用しバックビートを取り入れた音が特徴だそう。

ナッシュビル・サウンドとの違いが私には今まだ分からないのですが、本場ナッシュビルに対抗してベイカーズフィールドは ”ナッシュビル・ウェスト” という呼び名もあったくらい、カントリー音楽に新主流の1つとして定着していったのですね。

その後のカントリー界やロック界にもたらした影響たるやすごいもんがあるのは周知のことだと思います。ご存知ビートルズの ”Act Naturally” やローリング・ストーンズの "Far Away Eyes"、エミルー・ハリスの ”Together Again” といったカバーがあったり、グラム・パーソンズ、デザート・ローズ・バンド、ドワイト・ヨーカムなどに多大なる影響を与えていたりと。

そんな誉れ高いバックさんが自身のバンド、バッカルーズと初めてこのアルバムでトライしたのはなんとセイクレッド・ソング集。そう宗教音楽。神様や信仰のことを歌う唄は何もゴスペルだけじゃないってことですね。
元々カントリーとゴスペルとブルーズは兄弟みたいなもんですものね。「有名なカントリー・ショウのグランド・オール・オプリーなんかでもセイクレッド・タイムなるセクションがもうけられていた」と、このアルバムのライナーにも解説があるように何ら不思議なことではないのです。エルヴィスのこと考えたらピンときますよね。

まぁ、そんな背景のこのアルバムなのですが!
ジャケがなんとも渋い真面目な顔して皆さんこちらを見てますが!
これぞカントリー!てな軽快で陽気で明るい!
とにかくまずそのサウンドの素晴らしさ!!
スティール・ギターの心地よい調べでイントロからもう天国気分!
そこへバックさんの艶やかに伸びる穏やかで平和な、郷愁感誘う歌声!
どっちがメイン?てな感じで大声かつ高音で伸び伸びと絡んでくるハーモニー!
このハーモニーに関しては ”Act Naturally” でリンゴの後ろでポールがエエ感じで再現してるのが今回よく分かった!
そしてどこまでも呑気に陽気に、だけど気品を決して忘れないフィドル!
アコギのリズム・ギターがまたたまらなく幸せにしてくれるバックビートのリズム!
ってそうか、バックビートってすごいんだなぁ。人を幸せにしてくれるリズムなんだなぁ。

とまぁ、すべてが至福をもたらしてくれる正に "福音"、これぞ "良い知らせ"。
もう完全にトリコ、メロメロ状態であります。
殆どの曲が2分半以内で終わる潔さも素晴らしい。12曲収録ですが30分切ってるので延々リピートしてしまいます。


初めて聴くアルバムって馴染むまでちょいしんどいとこあるじゃないですか。最初ちょっとひっかかりつつ何度目かにしっくり来出すのが面白くもあり、愛おしいとこでもあるのですが、まれに本当にまれに1発目からヒーーハァーーーッ!(カウボーイ風)と喜びの雄叫びを挙げて喜んでしまうアルバムがありまして、これがまさにそう。
ちなみにバックさんが晩年音楽界を半ば引退して出てたTVのコメディーショウのタイトルはその名もズバリ『Hee Haw』(笑)こういうスペルなんだ。

このアルバムが出たのは1966年。
リンゴが歌う ”Act Naturally” が収録されたアルバム『Help!』が出たのは1965年
この66年にバックさんはこのアルバムを併せて3枚のアルバムを出していますが、ビートルのみんなはこのアルバムも聴いていたろうな。特にジョン以外のビートル、リンゴはもちろんなんだけど、ポールもジョージもカントリー大好き!というのがすごく見えますもんね。

とにかく「出逢っちまったーーー!!」って感じです!
ベイカーズフィールド・サウンド、惚れたっ!
バックさんのオリジナル・アルバムはサンデイズドから殆ど再発されてるようで、通販なら手に入るのだ!

ヒィィ~~~~ハァーーーーーッ!!!(ブラマヨ小杉ぢゃないよ)




I SHALL BE FREE No.10

2007年10月01日 | Folk/Country
朝のコーヒーとディランの、なんと相性がイイ事でしょう。

写真左の本はkura_moさんとこで知ってから、気になるものをチョコチョコ買っては楽しんでいるお気に入りのガイドブック シリーズ。それのアメリカのフォーク ミュージック版。鈴木カツさん監修です。出たとこです。嬉しかったなぁ、本屋さんで見つけた時は!

鈴木カツさんの本、好きです。
そしてこの本にはカツさんが以前から紹介されているアルバムはもとより、見た事ないアルバムもたっくさんカラーで、これでもかって並んでて。

50's、60'sのアメリカン フォーク ミュージック特有の、硬派な色香漂う男前、女前なジャケット群に惚れ惚れとしてしまい、飽きる事なく眺めて、まだ聴かぬその音に想いを馳せるのが静かな喜び。
コーヒーもう一杯。


そんな朝のひとときに流す音楽はディランの4枚目。
コレ大好きです。優しい気がするから。感傷的な甘いメロディ、嵐の前の静けさ。ビートルズも4枚目は力の抜けた好アルバム出してたっけ。

歌の合間に時々入るディランの屈託のない笑い。自分の歌詞に笑えてきたのか、それとも演出なのか。
何にしても若いって事は、やっぱりそれだけで素晴らしい。殆んどの人は、そういった事を若さを失ってから気付くものなのでしょうか。若さをレコード(記録)する事が出来て、しかもそれを人々が楽しむ事が出来る。すごい事だと思いました。


この週末は色々あって失われてしまったけど、また今日から気持ちを新たにしてやるのです。月曜日の朝だし。それに今日から10月だ!
ずっと笑って過ごす事が出来れば、ホントはイイのだけれど、ね。

今朝のディランとこの本とコーヒーで、充電出来ましたよ。ありがとー、ボブたん。
それでは、行ってきます。



『Bluegrass Bonanza』(1927-1950) V.A.

2006年10月13日 | Folk/Country
先日やっとこ、梅田に去年できた、NU茶屋町に行ってきました。一番のお目当てはタワーレコード。BYRDさんに以前、品揃えが良いですよと教えてもらっていたので、ずーっと行きたかったのです。そして確かに品揃え良かったです!この間なくなっちゃった(哀)心斎橋店の品をそのままプラスして持ってきてるのかなぁ。ボックスもんもかなり揃っていて、ヨダレ出ました。

久々のタワレコ♪ということで、いつもだったら、洋楽のRock / Pop の棚をず~っとず~~~っと、エヘラ~、エヘラ~と彷徨うのですが、今回は何と言っても違うのです!
NU茶屋町店にもありました!Country の棚!
ここにササーッと行くのです。そしてそっから動かないのです。
だって、ここにはBluegrass、そう、ブルーグラスのコーナーがあるから!
いやぁ、いい!一杯あった!おっもしろーい!
思わず座り込んで、ウハ、ウハハと、長時間見てしまいました。
ハイ、そこのチミ、引かない!


ブルーグラス。私CD全然持ってなくて。でも、やっぱ最初はビル・モンローですよね。何と言っても彼がこのジャンルの父ですから。
んで、彼の1937ー1946年の初期音源をまとめた、コレを買おうかなぁって、以前からネットでも目を付けてたんですが・・・。

棚を見渡すと、結構同じ様な箱もので、モンロー周辺のものも色々出てたんですよね。
廉価版っていうの?3~4枚組みだけど、3500円前後みたいな。
で、そーいうののカントリーやジャズなどの廉価版ボックスのSALEもグッタイミンにやってて、ワゴンなんかも出ちゃってたもんですから、相当真剣に吟味していたのですが。

ありました。
ブルーグラス初心者の私の求めるもの全てが入っていると言っても過言でない代物が。

それが、今日ご紹介する『Bluegrass Bonanza』という4枚組。
英国のPROPERという廉価版ボックス専門みたいなトコから出てるのですが、これねぇ、色々優れてるんですよ~。

まずブルーグラスのルーツである20年代~30年代のヒルビリー、ストリング・バンドものを集めたのが1枚目!
2枚目は「The Monroe Legacy 1936-45」と題し、ビル・モンローの出発点、モンロー・ブラザーズも収録!
3、4枚目は1944-50年までの曲を収録で、ビル・モンロー・アンド・ヒズ・ブルーグラス・ボーイズ、デルモア・ブラザース、スタンリー・ブラザース、フラット&スクラッグスなど、オリジナル・ブルーグラスを代表するアーティストはもちろん、さらに渋そうなアーティストもてんこ盛り!

なんてったって、1枚に30曲弱とタップリ収録されてるから、4枚で全109曲!

しかもねー、ここがスゴイ!お値段、ビックリの1780円!!
(ね、奥さん、お得でしょ?)


他の箱とかだと、収録曲も少ないし、ビル・モンローの曲とか、50年代以降とかの再録もあるみたいだから、ヘタに手を出すのは嫌だったんだけど、これは収録曲も多い上に、ちゃんとディスク・タイトルに年代も書いてあったからパッケージだけ見ても安心して選べました。
しかも、この値段♪同じPROPERってとこの箱でも他のモノは全部4000円弱くらいだったです(それでも安いけど)。
と、まぁ廉価版だけど、侮るなかれ、な内容なのです。

さてさて、このヴォリュームで、ぜ~んぶ半世紀以上前のブルーグラスばっか。
キツそうでしょ?全部同じに聴こえそうでしょ?
それが、ぜーんぜん。だって、もともと大衆音楽だもの。曲もそれぞれ個性豊かだし、開かれてますよー。踊り出しちゃいそうです。

あとは聴いてると、同時代のゴスペルとかブルース、フォークとかと絡んでくる共通点を感じるし、後のカントリーロックやカントリー・スィングなどに与えた影響も感じて、そーゆーのも、やっぱめっちゃ面白い。全然そこら辺も勉強不足ですけどね。

それにね、なにしろ、結構自分にしっくりくるんです、この音楽。
興味のあるジャンル、アーティストの音楽を聴くときの消化力は速い。もっともっと!ていう気持ちが起こる。
そういうのって、日々の活力となりますよね?
これ聴いてる時って、そんなカンジだから。


で、今は御代ビル・モンロー曲を重点的に聴いてます。彼のマンドリンに酔いしれておりますが、他の人だとアール・スクラッグスって人の5弦バンジョーがすごい!
スクラッグスが、彼のキャリアの始まりであるモンローのブルーグラス・ボーイズで演奏して廻ると、人々は誰も彼みたいにバンジョーを演奏する人を見た事、聴いた事がなくて、各地各地でセンセーションを起こしていたようです。
そりゃそうだ!こりゃビックリしますよ。め・た・め・た速いのです!
ブルーグラス用語で、演奏が超早めになってノリノリの箇所を ”ラン” て呼ぶらしいですが、キテます、このラン!
このCD収録曲だと "Blueglass Breakdown" って曲が最初から終わりまでラン尽くしで、笑えるくらいかっちょよい!


そんなわけで、このボックス。曲ごとの作曲者、録音年はバッチシ載ってますし、ちょっとしたブックレットもついていて、初心者には充分親切です。というか、うってつけではないでしょうか。
興味が沸いたら、さらにここから単独ものを、辿って行ったらいいのです。
私は既にその思いがふつふつと沸いてきております。
でもまぁ、まずはこれを聴き狂ってからのお楽しみ、ということで。


ブルーグラス。
最っ高に聴いてて楽しいなぁ。
ドロくさ~、だけど粋だし、お洒落ですらあって。
郷愁ごころはグッと誘うけど、でも骨董品として楽しんでんじゃあないのです。
今も生きてる音楽として、すっごくイイ。
やたらと深さもあるし、どうしようもなく捕らえられちゃっています。


ここでふと考えてみる。
今聴いているのは、半世紀以上前の音楽。
果たして2070年代とかに音楽聴いて楽しんでる人は、現在の、2000年代の音楽を聴いて、心踊らせたりするのかな。
するとしたら、それは、今の、どんな音楽なのかな。








『Not for Kids Only』(1993) J Garcia, D Grisman

2006年09月15日 | Folk/Country
「子供向け」と謳っていながらも、実は大人も充分いける良質なものって世の中にたくさんありますよね。
そんなわけで、このアルバム。「子供向け、ってだけでもないよ」というイカシたタイトルの今作は、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアとデビッド・グリスマンの共同名義の第2作目のアルバムです。

デビッド・グリスマンは前回の記事で取り上げたグレイトフル・デッドの『American Beauty』でマンドリンで参加しているおやっさんで、新しいブルーグラスを作った(その名も"Dawg Music":ドーグ・ミュージック)とかいうオモシロ人。彼のあだ名自体もドーグ。最近この人にすごく興味あるんですよね。


しかし最初、これ子供聴くのかなぁ、と思ってたけど、Amazon.com見てみたら、ちゃんとKids Musicのタグが付いてたり「ウチの小さい娘もお気に入り」みたいなレビューもあったりして、日本人の私からすると、やっぱり羨ましいですね。だって内容と言えば立派なフォーク/ブルーグラス作品なんですから。渋~、ですよ。これを本当に小さい時から刷り込みで聴いてる子供って、素敵ですよ。

しかし、この2人。子供にうってつけなんだか、ヤバイんだか(笑)このジャケットのイラスト(ガルシア作!)の様に子供たちの前で演奏している姿を想像すると楽しくて、ちょっと笑えます。この怪しいひげもじゃおやじたち、曲の合間にけむりモクモクしてない?とか(笑)



さぁさ 子供たち こっちにきて
おぢさんたちのうた ききなさい



さてさて中身ですが、先程書いた様に音楽性の根っこは渋いのですが、曲自体はお茶目で楽しくてなんともイイ味なんですよね。
子供ユースということを意識して「優しさ」「楽しさ」「面白さ」「明るさ」が前面に出ていて分かり易いし、それにとっても表情が穏やかなんですよね。
これを聴いていると、ひげもじゃおやじ2人に「そんなむずかしい顔しなさんな」「そうだよ、考えても何も始まらないのさ」と、言われてる様な気がしてくるのです。そう、何とも言えずゆ~ったりした気分になります。良い音楽に身を任せる心地良さ、最高です。お昼寝タイムにも、今時の、秋の夜にもピッタシですよ。レッツ・リラクシン♪



収録曲は1曲を除きトラディショナル曲。フォーク界隈などで様々なアーティストが残している曲も多く、子供用の曲ばかりでもないようです。

ジェリーのアコギとドーグのマンドリンの演奏。に加えバンジョー、トロンボーン等々。ま、演奏は安心印、文句無しですよね。感動します。大変美しいです。

その他の楽器だとジューズ・ハープ(ジョー・ハープ、口琴)がユーモアたっぷりに活躍しているのが光ってます。ボヨ~ン、ボヨ~ンてな感じのカエルの声みたいな音の出る楽器。この楽器、私、好きなんです。1つ所有してて家でもたまにボヨ~ンってやるんですけど、このアルバムの曲みたいに色んな音色でしかも楽しいジュー・ハープの演奏は聴いた事なかった!練習しなきゃ!(笑)

あとピーター&ゴードンなどもカバーしている "Freight Train" なんか、口でその貨物列車の音を「しゅしゅしゅしゅ」言って再現。その声がバックにずっと入ってるんですが、それも巧い(笑)曲と共に走りだし、曲が終わる頃、だんだんゆっくりになって、最後「しゅー・・・」と列車が止まります(笑)

あとは馬や虫も出てきます。2人のトボケた会話も入ります。でもね、別に子供に媚びを売っているわけではないんです。逆にやっぱり大人の方が、この2人にまんまとノセられて、より楽しめるんじゃないでしょうか。

そしてそーいう演奏やら虫やらに相俟って聴こえてくるジェリー・ガルシアの鼻にかかった歌声が、またなんともええんですなぁ。こういう趣旨のアルバムにピッタリハマるあったかい声です。

そいで大ラスに仕掛けが。それまでユーモラスな流れが一転、ラストの曲 " A Shenandoah Lullaby" で、急にものすご~く感動的に締めくくられるんですけどね、それがね、またすごくイイんですよ!(泣)。ボスのシーガー・セッションでも演ってますね、この曲。雄大で優しくて切ない、夕焼けが似合いそうな曲で大好きです。


この2人名義の作品は結構何枚も出ているし、どれもこれもがすこぶる良さそうなので、これから聴いていくのが楽しみです。
ですが、私はまずはコレからしばらく離れられないかもしれません。
なんかこう、自分にピーッタリな気がしてくるアルバムなのです。





『Dust Bowl Ballads 』(1940 ) Woody Guthrie

2006年01月06日 | Folk/Country
アメリカの大恐慌下の、農民や庶民の厳しい生活や、西の約束の地を目指す、貧しい労働者たちの気持ちなどを代弁して歌い、反体制的な姿勢でも一躍人気を得たウディ・ガスリー。

歌詞や曲の構築、そして根無し草的な生き方全てに於いてボブ・ディランやその他のフォーク・シンガーたちに決定的な影響を与えた、伝説的な男、ウディ・ガスリー。

でも曲を聴いてみてくださいよ。歌詞に少し耳を澄ませてみてくださいよ。

そういった伝説的で偉大なイメージ、つまりちょっとした取っ付きにくさを吹き飛ばし、時空を超えてダイレクトに響いてくるのは、シンプルで美しい、人間の生き様を活き活きと写し取った歌詞であり、鼻声がどこか温かく、人間的で胸を打たれる歌声であり、最悪な状況の時にでも、ポッと心に灯がともる、ユーモアであります。

この盤はウディが1940年に録音した名盤『Dust Bowl Ballads』のブッダからのリマスター盤で、私の愛聴盤です。

めっちゃくちゃシンプル。音も歌詞も。
音はモチロン、ウディの一人弾き語りな訳で、歌われることも先に書いた様に、労働者たちの厳しい状況を歌ったもを集めた訳なんだけど、これが沁み入るのですよ。
聴いてると、コーヒーを思わず煎れたくなり、飲みながら、歌詞を見ながら、想いを馳せながら、今日も何度もリピート再生です。

元々私はこういった29年から33年くらい?にかけてアメリカで起こった大恐慌にまつわる農民や労働者達の生活の埃っぽいイメージに、すごーーく惹かれるところがあるんです。
ウォーカー・エヴァンズの写真とか、ジョン・フォードの『怒りの葡萄』といった映画(スタインベックの原作は未読)ですね、そのあたりのカンジの。
戦前のブルースとか、フォークとかも時代的にはも少し古いんですけど、めちゃ好きなのです。

特にエヴァンスの写真集には、心を捕らえれたままです。自分の心の原風景みたいなものが写っているんでしょうかね。
私がイメージする、どうしようもなく惹かれてしまうアメリカの原風景、私が憧れていたアメリカのオリジナルのイメージが、まさにここにあるというカンジです。
様々なイメージが喚起される、豊かで創造的な世界なんです、私にとっては。



                 Photographs By Walker Evans




そのイメージはね、決してキレイじゃないんですよ。
ホントに埃っぽくて、汚くて、貧しくて、ハードで、からっぽで。
だけどね、超シンプル。
「生きる」ということに対して超シンプル。
アメリカって元々シンプルなハズなんですよね。

そしてその辺りのイメージを音楽で言えばね、ドンピシャでウディのこの盤になるのです。
『怒りの葡萄』の話がモロに歌われる“Tom Joad“という名曲も収録されてるくらいですし。


ウディ・ガスリーという人が大好きな理由が、も1つあります。
それはこの人から漂うおおらかなユーモア。
例えばオクラホマの厳しい砂嵐にまつわることを散々シリアスに愚痴って(=Blues)おいて、最後のラインで「モテたきゃ、カリフォルニアの唄でも歌うんだな」と自分で落とすとことか。
人懐っこい歌なんですよ、この人の歌は。



風貌もひょうひょうとしていてナイス


この人は絵というか簡単なスケッチもよく書いていたようなのですが、ライナーノーツとかで垣間みれるそれがまた、すこぶる私にとっては魅力的なのですよね~。
歌と同じく人間性が出てるユニークで面白い絵なんです
そんなウディの画集を発見!05年の発売だって。
バイト頑張ろ。





ビターなひと

2005年11月29日 | Folk/Country
これぞ、コーヒーの似合う音楽。
60'sアンダーグラウンド・フォーク・シーンのヒーロー、フレッド・ニールのソロ第1作『Bleecker & MacDougal』(1965)。

若き日のボブ・ディランやスティーブン・スティルス、ティム・バックリーなどなどを憧れさせるのに充分だったと言う、グリニッチ・ヴィレッジのコーヒーハウスでの、彼の伝説的なライブの日々。
前回の記事であるドノヴァンの1stと同じく65年の作品ということで、この彼のコーヒーハウス伝説に比べて、ちょい遅めのソロ・デビューですね。
(この盤の前、64年にヴィンス・マーティンとの共同名義盤アリ)

この盤、ブルース・ハープでジョン・セバスチャン、ベースでフェリックス・パパラルディ、チップ・ダグラスなど、ニールのフォロワーたちがバックを努めているんですって。
多分嬉々としてってカンジでしょうね。
演奏からも嬉しさが伝わってくるようで、ヨイ演奏ですよ。

そして内容はというと、フォークとも言い切れず、ブルースとも言いきれず、そのどちらの成分をもフレッド・ニール味で処理したという、どのカテゴリーにも属さない、いつの時代でも新しさを感じられる、そういう類いの独特の深みやグルーヴがあります。
一言で言えば「めちゃカッコイー」です。

当時のブルース・リヴァイバルやフォーク・リヴァイバルの先陣を切っていて、さらにそこをも飛び越していって、来る70’s初頭のSSWシーンの1つのひな形となったヒップスターならでは、というカンジですね。推測ですケド。

“Mississippi Train“ や “Candy Man“(ジョン・セバスチャンのハープ最高!) などのノリノリ・グルーヴ系の曲も大変ヨイですが、 “Little Bit of Rain“ や “The Water Is Wide“ などのしっとり系の曲がこれまた、沁みます。

フレッド・ニールの声って低いんです。深くて苦い。
ドノヴァンは顔も声もあまーいカンジですが、この人はその逆ですね。
顔も声も、そして存在自体でさえも、しぶーい。
日に日に寒くなってきたこの季節には、そんな彼の渋さも、丁度ヨイ具合に染みわたってくるようです。
コーヒー飲みたい。


グリニッチ・ヴィレッジの一角に、フレッド・ニールがよくライブをしていたというコーヒーハウスが密集した地域がありますが、このジャケットはまさにその中心となるブリーカー通りとマクドゥガル通りの交差点の真ん中でパシャっと撮ったものです。
タイトル通りのジャケということです。
孤独だけれども魅惑的、といったような都会の夜の雰囲気がとてもよく出ている、大好きなジャケットです。

そいで、私も撮りましたよ、パシャッと。
え?何をって?
マネして。この交差点の真ん中に立って。
前にN.Y.を訪れた際にね ヾ(- -;)ぉぃぉぃ






メロウなひと

2005年11月27日 | Folk/Country
実はつい昨日、私、大失敗をいたしまして。今まで計画していたことが全てパァに。
まぁ、仕事でのことじゃないし、命に関わることでもないので、やり直しがきくのですが、かなりヘコミました。
で、今、やっとこ少しづつダメージを回復しつつ、冷静に考えてみる。
今は時期じゃなかった、ってこと。色々頭打って教えられました。
頭打たないと、人間って学習できないのかしら。多分そうですね。
それにしてもやっぱり、人間「やり直しが出来る」ということは、ステキです。
Qちゃんの如く華麗な復活目指して精進していきますねん(一緒にしたら叱られます)

そんなブルーでバカな私を、優しい穏やかな音色で潤わせてくれるのが、このドノヴァン1st『What's Bin Did and What's Bin Hid』です。

これはkura_moさんが、以前紹介されていて、俄然聴きたくなって買ったものです。
kura_moさん曰く「秋から冬にかけて恋しくなるのがアコギの音色、中でもブリティッシュな感じがよろしいかと・・・」。
なんかここに、そわそわしたものを感じまして(笑)
そう、秋はフォークっしょ。しかもブリテイッシュっしょ w
大体、kura_moさんが紹介されるものに弱いです。
だってホント、ヨイものを紹介されるし、文章がまたそそるし。
最近さらに立て続けにやられてまして、とても困っております(財布が)。
kura_moさん、いつもさんきゅ、です。


そしてドノヴァン。
こんな1stが存在することすら、知らなかったのですが、もーもーヨイですねぇ。
これ聴きながら、コーヒー飲みながら、んー、ホントウに落ち着きます。
それに、ジャケもかっこいいでしょ!
音はフォーク。英国のディランと言うあだ名は、そのまんまだったのですね。
けれど、私はディランが苦手。ドノヴァンのがいい。
ソフトでマイルドだし(それだけじゃないけど)。
逆に言うと、私はディランが分からないお子ちゃまなのかなー。
メローなカンジの人が好きです。ジョンよりポール、みたいな。
ま、人間的にはポールよりジョンの方がメロウな人そうですが。
M-5で、ウディ・ガスリーの “Car Car (Riding In My Car)“ を唄っているのですが、こういう子供なかわいい曲がとても似合う人、っていうのがすっごく好感触。タイプ。
人間的なとこにも興味が沸いてきました。
でも人間的、思想的なものは、ひょっとしたらジョージ・ハリソン的なとこがある人なのかな。


ドノヴァン、ちょいとディスコグラフィーを調べてみたら結構ややこしいんですね。
米盤と英盤で、収録曲違ったり、種類も色々あったりで。
私この人、昔からずーっと気にはなってはいたのですが、全く持っていなかったのです。
何故か今まで縁がなかった。
CMで “サンシャイン・スーパーマン“ が流れた瞬間、空気が変わるのを感じたくらい、「スゴ!」と思ったのですが、それでも。
今年の9月にボックスも出てるみたいで、それも気になるのですが、まぁ、ボートラ付きのオリジナルをコツコツ聴いていこうかと。
サイケ・エラ、ケルト・エラ、はたまたジェフ・ベック・グループやツェッペリンの面々がバック!?と楽しみも多いです。ワクワク。
全部いいでしょ、絶対。必須でしょ。
そう思わせてくれるアーティストにまた出逢えて、幸せです。