The End

2009年12月20日 | 日記
レッチリからジョン・フルシャンテが脱退したとか。というか1年前から既に友好的に脱退してたとかってなんじゃそら。
オアシスはノエルが抜けてから長い間の沈黙だったけど、どうやらノエル抜きでその名もオアシス2.0という名で活動続行していくみたい(これホント?)。これまたなんじゃそら。

自分にとって思い入れの強い青春だったバンドがお別れの季節を迎えている。
そして今度は私がなんじゃそらって言われる番です。


このブログ、休んだりしつつもなんとか続けてきましたが、ここで終りにします。
理由は実はまぁ以前休んだ時と全く変わらないものでして、ブログを続けている限りつきまとうお話なのです。改善できなかった。だから辞めます。
要はもっと家庭をちゃんとしていこうと、家族との時間を大切にしていこうと、そういうことです。
そういうことなら何もブログ辞めなくても、うまく出来ることだと思われるでしょうし、実際うまくされてる方も多いと見受けられますけれど。ウチはなんかその辺がうまく出来ないんだよなぁ。私がケジメがないんですよね。なので、以前みたいにお休みにすると未練が残るのでここでスパッと辞めます。

今まで4年半、合計この記事までに380個の記事書いたみたい。人一倍飽きやすいのに。
数えきれないほど、みなさんと楽しいやりとりをさせて頂きました。お1人お1人にお礼を申し上げたいです。本当にどうもありがとう。いっぱい刺激をくれて、いっぱいイイ音楽を教えてくれて、ホントにどうもありがとう。笑いとか涙とか幸せを、ホンットにどうもありがとう。いつも元気や勇気や自信をくれて、ホントにホントにありがとう。

この決断が正しいものか正しくないのか全くわからないけれど、来年は今までずっとおろそかになっていたことが「今年はちょっとできたかな」って言えるようにやっていきたいと思います。でないとこんな楽しくて大好きなこと辞める意味が全くないですものね。

まぁ、まっすぐ歩いていきますよ。来年からまた今の仕事場で新しいことを任されるみたいで、それも楽しみなのです。ますます音楽の力を借りなきゃいけません。



みなさまに、いつまでもいつまでも素敵な音楽が降り注ぎますように

さよなら






『A Strange Arrangement』(2009) Mayer Hawthorne

2009年12月13日 | 00's
この間の賞与のおかげでひっさしぶり(と言っても3ヶ月振りでした)にネット通販で超吟味&厳選してCD買ったー、昨日届いたー、聴いたー♪HMVが洋楽30%OFF&15倍ポイントってのやってたのでちょいドカ目に買った。テヘ。新品のCD久しぶりでうれしいナ!思わずこたつの上に並べたりして遊んでます。ホクホク。


今日はそん中の1枚!これ、ネットでジャケを見かけたときからヒジョーに気になって試聴したら「むむむ!」となって早く欲しかったヤツ!メイヤー・ホーソンのデビュー作!

なんか今流行のレトロ・ソウルなるものにズドン!とはまりそうな内容。同じような感じのジェイミー・リドル(今年中古で買って愛聴中♪)もものすごく思い起こさせるけど、こっちのホーソーンの方が手作り感と音楽職人の裏方感満載。

元々Hip-HopのDJ(その名もDJ Haircut)やってた人がお遊びでクラシックなソウルまんまの曲を録ったデモ・テープがストーン・スロウ・レコードのオーナー、ピーナッツ・バター・ウルフの耳に止まりデビューに至ったとか。この経歴が彼の音楽を何よりも表してると思う。そう、これは「お遊び」なのです。すごーく出来のいい遊び。だって超まんまなんだもん。フィリー系、カーティス、スモーキー、シュプリームスなどなどの一番美味しい部分を反則でしょ?ってくらい抽出してギュッて詰め込んで仕上げてるんですよね。

だからこういうのってむずかしい面もあって。コレ聴くならオリジナルの方(クラシックソウル)聴くよ!って言われればぐうの音も出ない。私も以前はそう強く思っていたし、今もそーいう気持ちが全くないと言えばウソになる。
だけど私はこういうヒトも聴いていきたいなーって最近よく思います。音楽って面白いし、もっとデッカイもんですもんね。
その作品自体がが良ければ、グッとくるものであれば、いいじゃないっていう思いが年々強くなってきてるように思います。
それにこのヒトの音楽は聴けば一発で分かるのです。
コイツ、手の付けられない愛すべき ”音楽バカ" だって。

「白人だけどソウル歌って何がワルイ?」っていうアーティスト感覚よりも、もうソウル・ミュージックが好きで好きでしょーがない、好きすぎてとうとう自分でも作ってしまいました、テヘ♪的な、あくまでもリスナー感覚。
アルバム作りが「こんなイイ音楽をオレは知ってんだ」「こういう音楽がオレは好きなんだ」ということを表す為の行為になってるということが、DJと変わらないスタンスを感じて、そこが、そここそがこのアルバムの面白さだと強く思います。サンプリングを使わずオリジナルの生音でモータウンのあのドラムのビートやデルフォニックス印のフレンチ・ホルンとかが魅力的にバンバン飛び出してきたり、なんちゃってファルセットでそれっぽく歌ったり。楽しいったらありゃしない。
歌はそんなうまくないけど「え、コレ白人の眼鏡くんが歌ってるの!?」ってビックリするくらい雰囲気バッチシ。

知られざる発掘盤のような妙味。マニー・マークのアルバムでたまにめちゃくちゃメロウでソウルフルな曲とか挟まれたりするけど、あれで全編作られてるような感覚。でもそれって個人的には最高ってことなので、このアルバムもしばらく聴き続けるだろな!とりあえず絶賛リピートしまくり中です!

なんたって全部アナログ録音!
全12曲で収録時間35分切ってるトコも魅力!
このジャケの雰囲気にピンと来たヒト、要注意!
子供のタヌキみたいなちょいキモのタレメ顔、逆にイケてるぼっちゃん風ルックスも個人的にすごい好き。かわいい。

これって私やあなたがホントはやりたかったことなんじゃないのかなー。なんて。


Just Ain't Gonna Work Out
1stシングルで代表曲、コレのPV最高。このシングルは実際にハート形の7inchで発売されました。欲しい!

Maybe So Maybe No
2ndシングル、これも最高。ヴァイナル愛に溢れてる!やっぱりこの子ダヌキかわいい♪



『Live At Massey Hall 1971』(2007)Neil Young

2009年12月10日 | ニール
美しい歌声。美しいギターとピアノの響き。美しい歌。
ここにいるのは黄金の心を探し続ける美しい男ただ一人。

長い長いニールの音楽人生の中でも特に重要な時期の重要なライブ。
この頃ロックの神様に相当愛されてたんじゃないの?ってくらい才能がほとばしってて。
それが音の端々に現れてるんだからたまんない!

曲間の際にいつもの冗談なんだか本気なんだかよく分からないMCをかましてる間にも手は動いててギターやピアノの音が鳴っているのだけれど、それが奇跡的なまでに美しい!聴いたことあるようなないようなフレーズがポロポロ流れ出し、今から一体何が始まるのだろう、どこの惑星に連れてかれるんだろうくらいのトキメキがあって。今も変わらないスタイルのこの語り部分こそ、ニールアコギライブの真骨頂なんじゃないかと。少なくとも私的には重要な部分です。チューニングの音にもトキメいちゃうものね。

そして曲が始まると当然もっと美しい、最初から完成されていた世界が現れてくるという、夢のようなライブ・アルバム。

ニールのライブは、クレイジーホースと一緒の時の激しいものでも、これのようにアコースティックで静か目なものでも、いつでもケタはずれにすばらしいもので。実際の体験に比べればヘでもないんだろうけど、それでもやっぱりこの特別なライブを疑似体験出来るとうことはすばらしいことです。オフィシャルだから当然音抜群にいいし、先ほど書いた曲間のMC含め全てが真空パックされてるようで、実際そこにいるかのような錯覚に陥ります。入り込めるのです、その世界に。音の良さもあって。


一人でやるライブ、一人で作るアルバム、私、大好き。
だってもうそこにあるのはその人純度100%のものだけじゃないですか。
なんせ一人だからものすごく個人的。そこがいい。
一人でそれだけ1つの世界感を作り出せるってこともすごいし。


”On The Way Home” このライブ用のアレンジ、好きなんですよね~。イントロとか素敵でね。原曲より好きかも。

”Journey Through The Past”
”Helpless”
”Love In Mind”
”A Man Needs A Maid/Heart Of Gold Suite”

前半にある、以上の4曲の流れがものすごイイ!
”A Man Needs A Maid/Heart Of Gold Suite”とかイントロのMCのバックで弾いてるピアノのメロディとか聴いてると泣きそう。組曲になってんのもまた泣かせる。唐突に ”Heart Of Gold” が歌われる瞬間とかまたきゅんとなるし。ピアノでサラッと演ってんのがまたいいのです。

”See The Sky About To Rain”とかたまんない。めっちゃメロウな気分になってしまいます。

バッファロー聴いたらなんだかニール風が吹いてきてしまって何気に久々聴いたのですがやっぱすごいなぁ。
自分と音楽とギターと対峙してるって感じのこのライブ。
冬の夜更けにいいです、コレ。





『Dust On Mother's Bible』(1966)Buck Owens

2009年12月08日 | Folk/Country
いやぁ...マヂ... 最高やなぁ...!!!と。何度呟いたことでしょう、このアルバムを聴きながら。
心からため息。大大大満足。
本日はバック・オウエンズの『バック・オウエンズ セイクレッドを歌う』です。

この前の土曜、近所のブックオフをちらりとのぞいた時に500円で見つけたんです♪
カントリー界の大物バック・オウエンズ。一度聴いてみたかったのですが、まさか田舎のブックオフにオリジナル・アルバムがあるなんてね!しかも91年に出た日本盤で、帯には「世界初CD化!」とあります。ビックラしたです。その店マメに覗いてたけど今までなかったから新しく入ってきたんだな~。しかも500円て...!おかげさまで久々の大当たり頂きましたよゲヘヘ。

バック・オウエンズ。「ナッシュビル・サウンド」とは対をなす「ベイカーズフィールド・サウンド」の第一人者。

その「ベイカーズフィールド・サウンド」なるもの、言葉だけは何となく知っていたけれど、ちゃんと知りたくて色々少し調べてみると、黄金時代のカントリー(40年代後半-50年代前半)のホンキートンク・スタイルのカントリーを少し後の時代(50年代-60年代)に西海岸で復活させたもののようで、エレキギターを使用しバックビートを取り入れた音が特徴だそう。

ナッシュビル・サウンドとの違いが私には今まだ分からないのですが、本場ナッシュビルに対抗してベイカーズフィールドは ”ナッシュビル・ウェスト” という呼び名もあったくらい、カントリー音楽に新主流の1つとして定着していったのですね。

その後のカントリー界やロック界にもたらした影響たるやすごいもんがあるのは周知のことだと思います。ご存知ビートルズの ”Act Naturally” やローリング・ストーンズの "Far Away Eyes"、エミルー・ハリスの ”Together Again” といったカバーがあったり、グラム・パーソンズ、デザート・ローズ・バンド、ドワイト・ヨーカムなどに多大なる影響を与えていたりと。

そんな誉れ高いバックさんが自身のバンド、バッカルーズと初めてこのアルバムでトライしたのはなんとセイクレッド・ソング集。そう宗教音楽。神様や信仰のことを歌う唄は何もゴスペルだけじゃないってことですね。
元々カントリーとゴスペルとブルーズは兄弟みたいなもんですものね。「有名なカントリー・ショウのグランド・オール・オプリーなんかでもセイクレッド・タイムなるセクションがもうけられていた」と、このアルバムのライナーにも解説があるように何ら不思議なことではないのです。エルヴィスのこと考えたらピンときますよね。

まぁ、そんな背景のこのアルバムなのですが!
ジャケがなんとも渋い真面目な顔して皆さんこちらを見てますが!
これぞカントリー!てな軽快で陽気で明るい!
とにかくまずそのサウンドの素晴らしさ!!
スティール・ギターの心地よい調べでイントロからもう天国気分!
そこへバックさんの艶やかに伸びる穏やかで平和な、郷愁感誘う歌声!
どっちがメイン?てな感じで大声かつ高音で伸び伸びと絡んでくるハーモニー!
このハーモニーに関しては ”Act Naturally” でリンゴの後ろでポールがエエ感じで再現してるのが今回よく分かった!
そしてどこまでも呑気に陽気に、だけど気品を決して忘れないフィドル!
アコギのリズム・ギターがまたたまらなく幸せにしてくれるバックビートのリズム!
ってそうか、バックビートってすごいんだなぁ。人を幸せにしてくれるリズムなんだなぁ。

とまぁ、すべてが至福をもたらしてくれる正に "福音"、これぞ "良い知らせ"。
もう完全にトリコ、メロメロ状態であります。
殆どの曲が2分半以内で終わる潔さも素晴らしい。12曲収録ですが30分切ってるので延々リピートしてしまいます。


初めて聴くアルバムって馴染むまでちょいしんどいとこあるじゃないですか。最初ちょっとひっかかりつつ何度目かにしっくり来出すのが面白くもあり、愛おしいとこでもあるのですが、まれに本当にまれに1発目からヒーーハァーーーッ!(カウボーイ風)と喜びの雄叫びを挙げて喜んでしまうアルバムがありまして、これがまさにそう。
ちなみにバックさんが晩年音楽界を半ば引退して出てたTVのコメディーショウのタイトルはその名もズバリ『Hee Haw』(笑)こういうスペルなんだ。

このアルバムが出たのは1966年。
リンゴが歌う ”Act Naturally” が収録されたアルバム『Help!』が出たのは1965年
この66年にバックさんはこのアルバムを併せて3枚のアルバムを出していますが、ビートルのみんなはこのアルバムも聴いていたろうな。特にジョン以外のビートル、リンゴはもちろんなんだけど、ポールもジョージもカントリー大好き!というのがすごく見えますもんね。

とにかく「出逢っちまったーーー!!」って感じです!
ベイカーズフィールド・サウンド、惚れたっ!
バックさんのオリジナル・アルバムはサンデイズドから殆ど再発されてるようで、通販なら手に入るのだ!

ヒィィ~~~~ハァーーーーーッ!!!(ブラマヨ小杉ぢゃないよ)




『Buffalo Springfield』(1966) Buffalo Springfield

2009年12月06日 | ニール
うわい!賞与が出た!
あんま期待してなかったから嬉しかったなぁ。今年は勤務時間が伸びた分頂ける金額も多くなっちゃってウシシシ。ボーナスとまで呼べる額ではないですけどね。でもホント有り難いっ。
でも私、バカだから欲しいものってCDかレコードしかないのですよ、みなさん。
ってここ読んでるみなさんもそう?そうですよね??(笑)

そんなわけでちょい久々にネットで心置きなくCDを物色してウキウキ気分。音楽聴く意欲も満々!
そんな中、今日はバッファロー・スプリングフィールドの1st。
ホントは秋先に似合うアルバムなのかな、という気もしますけれど。

それこそ前回の『サーフズ・アップ』同様、このバッファローの『アゲイン』や『ラスト・タイム・アラウンド』も高校の時にドップリハマりましたです。同時期にリアルタイムのフリッパーズ・ギターがガッツリ引用してたもんだから盛り上がったなぁ。一人で(苦笑)

だけどこの1stは聴けてなかったのです。随分後になって97年に出たSTEREO/MONO収録した再発盤出た時にそれ買って。
その後に決定版のバッファロー・ボックスが出てそれも手に入れて。そのボックスの中にこの1stの MONO のアルバム丸ごと入ってるから単独のCDは売ってもいいんだけど何故か売れなくて手元に今もあります。
コレ、ジャケットも好きなんです。特にこのバンド名のロゴ・デザイン。ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』にもちょい似てるけど、こっちのがよりポップ。このフォント大好き。
黒でキュっと引き締まった中にこのポップなフォント!そして右の方で不適に微笑むニール!(笑)何気なくお見事。アトコのオリジナル盤で是非欲しいわー。

そうやってバッファローの中でも一番新しく出逢った1stは、比較的まだ新鮮な気持ちで聴けるし、そして徐々にどんどん愛おしくなってくるバッファローなのです。
後の2nd、3rdと比べて曲の粒がそれほど立っておらず、ちょっと緊張気味というか固いとこがあるんだけど、でもどれも統一感のあるフォーク・ロックてな質感がとてもいいんですよね、このアルバム。
あ、あとから追加収録された ”For What It's Worth” は別格で。コレは粒どんだけ立っとんねん!てなモンスター・チューンですもんね。
まぁ、これは明らかに1st収録曲とは捕らえない方がいいかな。この曲が入らない方がアルバムとしてはバランスが良いですもんね。


この1stは、ニール・ヤング作でリッチー・フューレイが歌う3曲がなんと言っても大好き!
”Nowadays Clancy Can't Even Sing” と ”Flying On The Ground Is Wrong” と ”Do I Have To Come Right Out And Say It” の3曲!
早くもニールのメロウな資質がバリバリに出ちゃってて、リッチーの甘い声とスティルスの男らしいハーモニーで彩られて絶品なこの3曲。
ニールの作なのに自分で歌わないという、こういうことって後になるとないことじゃないですか。ボックス収録のヴァージョンででニールが歌うデモを聴けるのですが、このデモ聴くとよく分かるんだけど、ニールこの時は自分で歌うことにまだ自信がなかったんですよね。緊張してるのがすごく伝わってきてコレはコレで好きですけれど。

でもそうは言っても一番存在感があるのはやっぱスティルスで!スティルス作の "Go and Say Goodbye" "Sit Down I Think I Love You" "Baby Don't Scold Me" なんかは既に早々とクラシックの域に達してるというか。曲としても歌い手としても堂々としたもんです。

本格的に寒くなってまいりました。アメ・ロックで心暖めるといきましょうか♪


『Surf's Up』(1971) The Beach Boys

2009年12月03日 | BB5/ブライアン
このアルバムには一方ならぬ思い入れを持っています。
なぜだろう。
多分このジャケと、そして最後に収録されている ”'Til I Die" と "Surf's Up" のせい。

いくらカールがすばらしい2曲目の ”Long Promised Road” のかっこよさにうなされようとも、ブルースの大傑作、4曲目の ”Disney Girls (1957)” に心から癒されようとも、この2曲が最後に必ずやってくる。これもまた恐ろしいアルバム。


”'Til I Die"
歌詞が分かっていない時から好きだったこの曲。
歌詞を知って愕然として、より好きになった曲。
1人の人間の根源的な心の叫びがここにはあって、一言で言えば「心細いよぉ~!」と言うことかもしれないけれど、これほど途方に暮れた状態というのを曲にしてしまったものを、私は他に知りません。だって普通、人は途方に暮れている最中は曲なんか書けないから。ブライアンはそれが出来た。

この曲の歌詞の素晴らしさは、子供の時にふと思うようなごく自然でシンプルな疑問のような形を取って絶望や生きることの恐怖を書ききれているところ。
天才とは常に自分の中に幼児性を保っているため、時には世界と対峙する時もそのような子供のように無防備な姿でさらされなければならないのかもしれない。それは相当キツいことだろうけど、ブライアンはそれが出来た。
マイケル・ジャクソンは去ってしまったけど、ブライアン・ウィルソンは耐えた。こんな曲を作り出しながら。


”Surf's Up”
レナード・バーンスタインのTV番組の中で、この曲を一心不乱にピアノで弾き語るブライアンの姿。ビーチ・ボーズの傑作ドキュメンタリー映画『An American Band』の中で目に焼き付いたその映像。『スマイル』期に撮られたその映像は今やいつでもどこでも見られるものとなっているのだけれど。
よくミュージシャンが「創造の神が降りてきて曲を一気に書き上げた」なんて言ってるのを聞くけど、あれこそ正に「降りてる」姿そのもの。恐ろしさと美しさとがちょうど半分半分の姿。この頃はまだ『スマイル』はビーチ・ボーイズの、というよりはヒップなブライアン・ウィルソンの来るべきアルバムとして、一部で待たれていた時期だった。

この5年後の1971年のアルバムで、1つのストックとして『スマイル』箱から持ってきて再録音したカールのヴォーカル・ヴァージョンよりも、1993年に出た『Good Vibrations Box』に収録された前途の映像と同時期の1966年のブライアンのピアノ弾き語りヴァージョンの方がより鬼気迫っていることは言うまでもありません。


半ば神がかったような ”Surf's Up” にはものすごくいまだに魅せられ続け、平伏すしかないのだけれど、ちっぽけな人間として自分と一緒に途方に暮れてくれる ”'Til I Die" の方が今は好き。


こんなに暗くて重いアルバムを、高校の時のクラブの夏の合宿の時に持っていっていて、ちょっとした一人の時間の時にウォークマンでよく聴いていたことを思い出しました。
みんなでワーワー言った後のふとした空き時間とかに、畳んだ布団にもたれかかって一人で静かに落ち着いて聴いたりするのが妙に心地好かったのです。